相続の期限まとめ:7日・14日・3か月・4か月・10か月で何をする?

相続は「やることが多すぎて、期限がごちゃごちゃになる」のが一番つらいところです。
結論から言うと、まず押さえる期限はこの5つ。7日・14日・3か月・4か月・10か月です。
この5つを“カレンダー”として先に並べ、①止める手続き(年金・保険)②引き継ぐ/放棄する判断③税金の締切の順で進めると、焦りが減ります。

この記事のゴール
・5つの期限で「何をするか」が一目で分かる
・家族で揉めにくい“進める順番”が分かる
・見落としやすい注意点(期限の起算点、やってはいけない行動)も押さえられる


目次


1. まず全体像:5つの期限で相続は8割整理できる

先に「期限→やること」を表で見ておくと、気持ちが落ち着きます。
(※自治体や状況で提出先・必要書類は変わることがあります。迷うときは窓口確認が確実です)

期限 主にやること つまずきポイント
7日 死亡届/火葬許可(埋火葬許可)など 書類(死亡診断書)・提出先の確認
14日 世帯主変更、健康保険の喪失/切替、年金(必要な場合)など 「止める」「切り替える」が混ざって混乱
3か月 相続放棄(する/しない)の判断・申述 起算点(いつから数える?)と“遺産に触る”リスク
4か月 準確定申告(故人の所得税) 「必要な人」と「不要な人」が分かれる
10か月 相続税の申告・納付(必要な場合) 不動産評価・特例適用・遺産分割が間に合うか

2. 【7日以内】死亡届・火葬許可:最初の「役所ルート」

まず最初の山は「死亡届」です。多くの場合、葬儀社がサポートしてくれますが、期限感だけは知っておくと安心です。

やること(目安)
  • 死亡届 市区町村へ提出(死亡の事実を知った日から7日以内が原則)
  • 火葬許可 死亡届と同時に申請し、火葬許可証を受け取る
ここでのコツ
  • 死亡診断書(または死体検案書)は、後の手続きでも使うのでコピーを確保
  • 提出先は「死亡地・本籍地・届出人所在地」など複数候補があるため、実務上は葬儀社/役所の案内に従うのが確実

3. 【14日以内】世帯・保険・年金:止める/切り替える手続き

14日以内に出てくるのは、相続(財産分け)というより生活の制度を整える手続きです。
ポイントは、「止める」「切り替える」を分けて考えることです。

(A)役所で出やすい:世帯主変更(必要な場合)
  • 世帯主変更届 変更が生じた日から14日以内が目安(自治体案内に従う)
(B)保険:資格喪失/切替(国保・後期・扶養など)
  • 国民健康保険 死亡など喪失事由が発生したら14日以内の届出が案内されている自治体が多い
  • 扶養の切替 故人の扶養に入っていた家族は、国保加入や勤務先保険への切替が必要になることがあります
(C)年金:死亡届が「必要な場合」がある

年金は、マイナンバーが収録されている場合は原則不要とされる一方で、状況により死亡届が必要なことがあります。
必要な場合の期限として、10日(国民年金は14日)という案内が出ています。
また、未支給年金など「遺族側が行う手続き」が別にあります。

14日パートのコツ
・ここは“相続人全員の合意”を待たずに進められるものが多いです
・迷ったら、役所で「死亡後の手続きチェック」を一緒に確認すると、漏れが減ります


4. 【3か月以内】相続放棄の判断:起算点と“触ってはいけない”

相続の期限で最重要のひとつが、相続放棄(または相続する)を決める3か月です。
借金の有無が不明なとき、疎遠だったとき、空き家など負担が大きいときは、早めに検討するだけで安心感が変わります。

3か月はいつから数える?(起算点)

原則は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」です。
つまり、亡くなった日固定ではなく、知ったタイミングが絡むことがあります。

やってはいけない行動(代表例)
  • 遺産の処分 預金を引き出して使う/車や不動産を売る/家財を換金する など
  • 分け方の合意 放棄したいのに遺産分割協議に参加してしまう
決めきれないときの現実策:「熟慮期間の伸長」

3か月で判断できない事情があるときは、家庭裁判所に申立てをして、熟慮期間を伸ばせる場合があります。
「期限が迫っているのに調査が終わらない」ケースほど、早めに検討すると安全です。


5. 【4か月以内】準確定申告:故人の所得税をまとめる

準確定申告は、亡くなった方の「その年1月1日〜亡くなった日まで」の所得を、相続人が申告するものです。
期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内とされています。

やること(必要になりやすい例)
  • 確定申告が必要だった人 事業所得がある/不動産収入がある/医療費控除等で申告していた
  • 還付が見込める 亡くなった年に医療費が多いなど、戻る可能性がある
準備のコツ
  • 源泉徴収票、控除証明書、医療費領収書などを一箇所に集める
  • 「申告が必要かどうか」だけでも早めに仕分けすると、後半が楽になります

6. 【10か月以内】相続税:かかる人・かからない人でもやることがある

相続税は、全員が必ず申告するわけではありません。
ただ、申告が必要なケースでは、期限が「死亡を知った日の翌日から10か月以内」で、準備に時間がかかるため、早めの見通しが大切です。

10か月で主にやること
  • 財産評価 不動産・預金・有価証券・保険などを把握し、評価する
  • 特例の検討 小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減など(要件確認が重要)
  • 申告・納付 必要なら申告書を提出し、原則として期限までに納付
よくある詰まりポイント
  • 遺産分割が未確定 10か月に間に合わず、特例が使いにくくなる不安が出やすい
  • 不動産評価 資料集め(固定資産税評価証明・登記事項など)に時間がかかる

10か月をラクにする考え方
「申告が必要かどうか」を早めに判定し、必要なら7〜8か月目に“申告の形”が見える状態を目標にすると、ギリギリ感が減ります。


7. 失敗しない「進める順番」:家族が動きやすい段取り

期限を守るコツは、「期限が短い順に片付ける」よりも、次の順で“詰まりやすい所”を先に抜くことです。

  1. 7日・14日:役所系(死亡届、世帯、保険、年金)を済ませて生活の土台を整える
  2. 3か月:借金・保証・空き家負担を調査し、放棄の可能性がある人は最優先で判断
  3. 4か月:準確定申告が必要か仕分け(必要なら資料を集めて申告へ)
  4. 10か月:相続税が絡むなら、早期に概算→評価資料→特例検討→申告の形へ

この順で進めると、「放棄したい人が遺産に触ってしまった」「税の期限だけ迫って揉めた」といった失敗を避けやすくなります。


8. すぐ使えるチェックリスト(期限別)

  • 7日 死亡届・火葬許可の手続きの段取りができている
  • 14日 世帯主変更(必要なら)/健康保険の喪失・切替/年金(必要な場合)の確認ができている
  • 3か月 借金・保証・カード・督促の有無を調査し、放棄の可能性がある人の方針が決まっている
  • 4か月 準確定申告が必要か仕分けできている(源泉徴収票・控除資料の所在が分かる)
  • 10か月 相続税の申告が必要か概算できている(不動産資料・預金残高の把握)

相続は「全部を完璧に」よりも、期限のあるものだけ先に押さえるほうがうまく回ります。
特に3か月(相続放棄)と10か月(相続税)は、後から取り返しにくいことがあるため、早めに見通しを立てるのがおすすめです。


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