未登記の建物の相続手続きをやさしく解説|押さえるべきポイントと注意点
目次
「未登記の建物」とは何か
建物を建てたとき、本来は法務局に登記(登録)する義務があります。しかし、古い建物や農村部の家屋を中心に、登記されないまま何十年も存在する建物が数多く残っています。こういった建物を「未登記建物」と呼びます。
特に昭和40〜50年代以前に建てられた建物に多く見られます。建築当時は現金で建てたためにローンを組まず、銀行から登記を求められなかったケースが典型的です。「固定資産税は払っているのに登記がない」という状況は、全国に非常に多くあります。
なぜ問題になるのか
未登記のまま相続してしまうと、以下のような深刻な問題が生じます。
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 売却できない | 登記がないと買主が安心して購入できず、不動産取引が成立しない |
| 融資を受けられない | 金融機関が担保として扱えないため、住宅ローンや借入れに利用できない |
| 権利が不明確 | 誰の所有か法的に証明できず、隣地との境界トラブルにも発展しやすい |
| 相続争いのリスク | 複数の相続人がいると、誰が取得するか揉めやすい |
| 次世代への負の遺産 | 放置すると相続人が増え続け、手続きが複雑化・長期化する一方 |
手続きの全体の流れ
大きくは「現状確認 → 相続人確定 → 協議 → 登記」の順に進みます。④表題登記と⑤所有権保存登記は異なる専門家が担当する別々の手続きである点を押さえておきましょう。
各ステップの詳細とポイント
① 未登記かどうか確認する
法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して確認します。オンライン申請(登記ねっと)でも取得可能です。
② 相続人を確定する
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍をすべて収集し、相続人全員を確定させることが大前提です。戸籍が複数の市区町村にまたがる場合は、それぞれの役所への請求が必要になります。
③ 遺産分割協議
相続人全員で「誰がこの建物を取得するか」を話し合います。全員の合意が必要であり、一人でも欠けると協議は無効です。合意内容を「遺産分割協議書」に記載し、相続人全員が実印で押印します。
④ 表題登記(最初の登記)
未登記建物に初めて登記簿を作る手続きです。土地家屋調査士に依頼するのが一般的です(自分でも可能ですが、専門的な知識が必要です)。
・建物の図面(各階平面図・建物図面)
・建築確認済証や検査済証(ない場合は代替書類)
・固定資産税の評価証明書
・遺産分割協議書
・相続人全員の戸籍・住民票
⑤ 所有権保存登記
誰の所有かを登記簿に記録する手続きです。司法書士に依頼するのが一般的です。登録免許税がかかります(固定資産税評価額 × 0.4%)。
特に注意すべき4つのポイント
1. 相続登記の義務化(2024年4月〜)
2024年4月から、相続によって不動産を取得した場合、知った日から3年以内に登記する義務が生じました。正当な理由なく放置すると10万円以下の過料が科される場合があります。すでに相続が発生している方も対象になりますので、早めの対応が必要です。
2. 建築図面が残っていないことが多い
古い建物は図面が残っていないケースが大半です。その場合、現地調査や測量が追加で必要になり、費用・時間がかかります。建築確認済証がない場合も固定資産税の課税資料などで代替できる場合がありますが、専門家への確認が不可欠です。
3.「相続土地国庫帰属制度」の活用も検討
建物を解体して更地にした場合、一定の条件を満たせば国に土地を引き取ってもらえる制度(2023年〜)も選択肢の一つです。維持管理が難しい地方の土地などでは有効な手段となり得ます。ただし審査があり、すべての土地が対象となるわけではありません。
4. 固定資産税と「現所有者申告」
未登記でも固定資産税はかかっています。相続後は市区町村への「現所有者申告」も必要です。申告を怠ると、納税通知書が元の名義人宛に届き続け、未払いと扱われるリスクもあります。市区町村によって申告様式が異なりますので、早めに確認しましょう。
費用の目安
| 手続き | 依頼先 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 表題登記 | 土地家屋調査士 | 8〜15万円程度 |
| 所有権保存登記 | 司法書士 | 3〜8万円程度 |
| 登録免許税 | 国(納付) | 評価額 × 0.4% |
| 測量・図面作成 | 土地家屋調査士 | 追加5〜20万円程度 |
※費用は建物の状況・地域・書類の有無によって大きく変わります。まずは専門家にご相談ください。
まとめ:早めの対応が大切
相続人が増えるほど協議が難航し、書類も集めにくくなります。2024年4月からの義務化もあり、先延ばしはリスクになるだけです。
まず確認・実行すべきこと:
✅ 固定資産税の納税通知書で建物の存在を確認
✅ 土地家屋調査士・司法書士・行政書士に早めに相談
✅ 相続登記の義務化(3年ルール)を意識する
✅ 市区町村へ現所有者申告を行う
専門家への相談は、多くの市区町村や法務局で無料相談窓口が設けられています。ただし、複数の手続きが絡む未登記建物の相続は、最初から相続を専門とする事務所に相談することで、手戻りなくスムーズに進むことが多いです。
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