自動車の相続手続き(名義変更)まとめ|車検証・ローン残・売却までの流れ

自動車の相続でまず確認すべき3つのこと

家族が亡くなり、自動車が遺産に含まれる場合、名義が故人のまま放置されると売却も廃車もできなくなります。まず以下の3点を確認することが、手続き全体をスムーズに進める出発点です。

確認① 車検証(自動車検査証)の名義人は誰か
グローブボックス等に保管されている車検証を取り出し、「所有者」欄を確認します。所有者が故人本人でなくディーラー・ローン会社になっている場合は、別の手続きが必要です(後述)。

確認② 自動車ローンの残債はあるか
ローン残がある場合、所有者がローン会社になっているケースがほとんどです。残債の確認なしに名義変更・売却はできません。

確認③ 誰が引き継ぐか・売却するか・廃車にするか
相続人間で方針を決めてから手続きを進めます。方針によって書類・手続き先が変わります。
⚠️ 名義変更しないまま乗り続けることには法的リスクがあります。
故人名義のまま車を使用することは、事故時の保険対応・売却・車検更新に支障をきたします。相続後はなるべく早く名義変更を完了させることが重要です。

車の種類別・手続き先の違い(普通車と軽自動車)

自動車の相続手続きは、普通車(登録自動車)と軽自動車で窓口・必要書類が異なります。まずどちらの種類かを車検証で確認しましょう。

普通車(登録自動車) 3ナンバー・5ナンバー等
手続き先:管轄の運輸支局(陸運局)
印鑑:相続人の実印が必要
印鑑証明:必要
遺産分割協議書:原則必要
登録手数料:500円程度
軽自動車 黄色ナンバー
手続き先:管轄の軽自動車検査協会
印鑑:認印で可(実印不要)
印鑑証明:不要
遺産分割協議書:原則不要(申請依頼書で対応)
登録手数料:無料
💡 軽自動車は手続きが簡略化されています。
軽自動車の名義変更は実印・印鑑証明が不要なため、普通車と比べて書類の準備が格段に楽になります。ただし、手続きの窓口(軽自動車検査協会)は運輸支局とは別の場所にある場合が多いため、事前に確認が必要です。

名義変更(移転登録)の手順と必要書類

自動車の相続における名義変更は「移転登録」と呼ばれます。手順を正しく踏めば、専門家に依頼しなくても自分で行うことができます。

普通車の名義変更:手順

遺産分割協議書(または遺言書)で「誰が車を相続するか」を確定させる
必要書類を揃える(下記リスト参照)
管轄の運輸支局(陸運局)へ書類を持参して申請 申請者本人または行政書士が代理可
新しい車検証・ナンバープレートを受け取る 住所が変わる場合はナンバープレートも変更

普通車の名義変更:必要書類一覧

📋 普通車の移転登録に必要な書類 運輸支局へ持参
書類 取得先・備考
移転登録申請書(第1号様式) 運輸支局の窓口で入手。OCRシートへの記入が必要
手数料納付書 運輸支局の窓口で入手。登録手数料500円の印紙を貼付
自動車税・自動車取得税申告書 運輸支局隣の税事務所で入手・提出(同日)
車検証(原本) 故人の車に保管されているもの
遺産分割協議書(原本) 相続人全員の実印・印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)添付が必要
故人の戸籍謄本(除籍) 死亡の事実と相続人全員が確認できるもの。出生〜死亡まで一連のものが必要な場合も
相続人全員の印鑑証明書 発行後3ヶ月以内のもの(市区町村で取得)
新所有者の住民票 マイナンバーが記載されていないもの。発行後3ヶ月以内
自動車保管場所証明書(車庫証明) 管轄の警察署で取得。住所変更がある場合または同一住所でも必要な場合がある。取得に3〜7日程度かかる
💡 遺言書がある場合:遺産分割協議書の代わりに、家庭裁判所の検認済証明書が添付された遺言書(または公正証書遺言)を使用できます。

軽自動車の名義変更:必要書類一覧

🚗 軽自動車の名義変更に必要な書類 軽自動車検査協会へ持参
書類 取得先・備考
軽自動車届出済証記入申請書 軽自動車検査協会の窓口で入手
車検証(原本) 故人の車に保管されているもの
申請依頼書 相続人全員の署名・認印。軽自動車検査協会の窓口またはHPで取得
相続関係を証明する書類 戸籍謄本・除籍謄本など(窓口で確認)
新所有者の住民票 発行後3ヶ月以内のもの
自動車保管場所届出書 車庫証明の代わり。地域によって不要な場合もあり(警察署に確認)
行政書士に依頼する場合のメリット:
運輸支局への手続き代行は行政書士の独占業務です。書類の収集・作成から窓口申請まで一括して任せることができます。費用は車庫証明込みで概ね2〜5万円程度が目安です。遺産分割協議書の作成も合わせて依頼することで、手続きがひとまとめになります。

ローン残がある場合の注意点と対処法

自動車ローンが残っている場合、車検証の「所有者」欄がディーラーまたはローン会社(信販会社)になっているケースがほとんどです。この場合、ローン会社の同意なしに名義変更・売却はできません。

ローン残がある場合の手続きフロー

ローン会社(信販会社・ディーラー)に故人の死亡を連絡する
ローン残債の残高を確認する
残債を一括返済するか、相続人が引き継いで支払いを継続するかを決める
ローン完済後にローン会社から「所有権解除」を受ける
所有権解除後に通常の名義変更(移転登録)を行う

ローン残債の対応パターン

対応方法 内容・注意点
一括返済 相続財産から残債を支払い、所有権解除を受ける。繰り上げ返済手数料が発生する場合があるため、ローン会社に確認する
引き継いで分割払い継続 ローン会社が認めれば、相続人がローンを引き継いで支払い続けることも可能。ローン会社の審査が必要。認められない場合は一括返済が求められる
車を売却して返済 売却額でローンを完済し、差額があれば相続人が受け取る。残債が売却額を上回る場合(オーバーローン)は差額を補填する必要あり
相続放棄 ローン残債も相続財産に含まれるため、放棄すれば支払い義務はなくなる。ただし車も受け取れない。相続放棄は「知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申立て
⚠️ 「ローンが終わっているはず」でも要確認。
ローン完済後に所有権移転(名義変更)の手続きをしていない場合、車検証の所有者欄がディーラーやローン会社のままになっていることがあります。まず車検証を確認し、所有者が誰になっているかを必ず確かめましょう。

車を売却・廃車にする場合の手続き

誰も車を引き継がない場合は、売却か廃車のどちらかを選びます。いずれの場合も、先に名義変更(または所有権確認)を済ませることが原則です。

🚘 売却(下取り・買取)
買取業者・ディーラーに査定を依頼。相続であることを伝え、必要書類を業者と確認して進める。業者が名義変更を代行してくれるケースも多い
🔧 永久抹消登録(廃車)
解体業者に依頼後、運輸支局で永久抹消登録を申請。自動車税・自賠責の還付を受けられる場合がある
📦 一時抹消登録
すぐに廃車はしないが保管しておく場合に利用。自動車税の課税が止まる。再使用する場合は中古新規登録が必要

売却の際に必要な主な書類

書類 備考
車検証 現在の名義が確認できるもの
遺産分割協議書 相続人が確定していることを示す。買取業者によって書式が異なる場合あり
相続人全員の印鑑証明書 普通車の場合。発行後3ヶ月以内のもの
相続人の実印 普通車の場合
自動車納税証明書 直近の自動車税の納付を証明するもの
リサイクル預託証明書 廃車・売却時に必要。購入時の書類に同封されている
💡 自動車税・重量税の還付について:
廃車(永久抹消)した場合、廃車月の翌月分から年度末までの自動車税が還付されます。また、車検残期間がある場合は自動車重量税も還付申請できます。還付先口座を相続人の口座に指定することを忘れずに。

自動車保険(任意保険・自賠責)の手続き

車の名義変更・売却・廃車に伴い、自動車保険の手続きも忘れずに行う必要があります。特に任意保険は、名義変更せずに放置すると事故時の補償に問題が生じる場合があります。

任意保険(自動車保険)

🛡️ 任意保険の手続き 保険会社に速やかに連絡
名義変更して乗り継ぐ場合 保険契約の記名被保険者・車両所有者を相続人に変更する。保険会社に連絡して手続き。等級(ノンフリート等級)は引き継げる場合が多いが保険会社に確認が必要
売却・廃車の場合 保険契約を解約する。中途解約の場合、残期間に応じて保険料が返還される(短期率での計算)
等級の引継ぎ 故人の等級(割引)を配偶者または同居の親族が引き継げるケースがある。別居の子や親族の場合は引き継げないことが多い。保険会社に要確認
等級の引き継ぎは大きな節約になります。
長年の無事故で高い等級(20等級など)を積み上げていた場合、その等級を引き継げると保険料が大幅に安くなります。乗り継ぐ予定がある方は必ず保険会社に「等級の承継」について相談しましょう。

自賠責保険

自賠責保険は車両に紐づいているため、名義変更しても自動的に引き継がれます。特別な手続きは原則不要ですが、廃車の場合は残期間に応じた保険料の還付申請ができます(加入した保険会社へ連絡)。

相続人が複数いる場合の注意点

相続人が複数いる場合、自動車は「共有」という状態で相続されます。共有のまま放置すると、売却・廃車・名義変更のいずれにも相続人全員の合意が必要となり、手続きが非常に困難になります。

❌ よくある失敗:「誰が乗るか決まっていない」まま放置
相続人が複数いる場合に車の帰属を決めないまま時間が経過すると、相続人の一人が亡くなって次の相続が発生し、権利関係がさらに複雑化します。また、共有状態のままでは売却も廃車も一人では行えません。
対策:遺産分割協議で「誰が車を取得するか」を早期に決定し、書面化する。

複数相続人がいる場合の手続きのポイント

  • 遺産分割協議書に「車種・登録番号・取得者」を明記する(「その他の動産一切」では不十分な場合がある)
  • 車を取得しない相続人には、代償として他の財産を多く渡す「代償分割」が有効
  • 誰も引き継がない場合は、売却して売却代金を分割する「換価分割」を選択する
  • 相続人の一人が遠方にいる場合、委任状を使って代理で手続きすることができる(行政書士への依頼も有効)
💡 評価額について:
車は相続税申告における「財産評価」の対象にもなります。一般的には相続開始時点の買取市場価格(中古車市場の取引価格)で評価します。高級車・希少車・クラシックカーは専門業者の査定を取得しておくことを推奨します。

よくある疑問(Q&A)

Q. 名義変更しないままでも乗ることはできますか?
物理的には乗れますが、事故を起こした際に保険が適用されない・売却できない・次の車検に支障が出るなどのリスクがあります。法律上、速やかな名義変更が求められます。
Q. 車検が切れている車の名義変更はできますか?
名義変更(移転登録)は車検の有効期間に関係なく手続き可能です。ただし、公道を走るには車検の取得が別途必要です。廃車にする場合も、車検切れのままで廃車手続きは行えます。
Q. 遺産分割協議が整う前に車を動かしても問題ありませんか?
協議成立前でも相続人全員の同意があれば使用することは可能ですが、事故・損傷時の責任の所在が不明確になるリスクがあります。できるだけ早く協議を成立させ、名義変更まで完了させることが望ましいです。
Q. 相続放棄した場合、車はどうなりますか?
相続放棄をした場合、その方は最初から相続人でなかったとみなされるため、車を取得する権利も義務も生じません。ただし、他の相続人全員が放棄した場合は相続財産管理人(相続財産清算人)の選任が必要になります。
Q. 自動車税の納税通知書が故人宛に届きました。どうすれば?
故人名義のまま自動車税の課税が継続している状態です。名義変更前であっても、相続人が納税義務を引き継ぐため支払いが必要です。都道府県の自動車税事務所に状況を伝えて対応を相談しましょう。
Q. 手続きを行政書士に依頼したほうがよいケースは?
以下のケースでは行政書士への依頼が特に有効です。①相続人が多く全員の書類収集が大変な場合、②ローン残があり所有権解除から必要な場合、③車庫証明の取得が必要な場合、④遺産分割協議書の作成を合わせて依頼したい場合。

手続きチェックリスト

🔍 まず確認すること
  • 車検証を確認し、所有者欄・使用者欄の名義を把握する
  • ローン残債の有無を確認する(ローン会社に問い合わせ)
  • 相続人間で「乗り継ぐ・売る・廃車にする」の方針を決める
  • リサイクル預託証明書・自動車納税証明書の保管場所を確認する
🚗 名義変更(乗り継ぐ場合)
  • 遺産分割協議書に車の情報(車種・登録番号・取得者)を明記する
  • 相続人全員の印鑑証明書を取得する(普通車の場合)
  • 新所有者の住民票を取得する
  • 車庫証明を取得する(管轄警察署・3〜7日かかる)
  • 管轄の運輸支局(普通車)または軽自動車検査協会(軽自動車)で移転登録を行う
  • 新しい車検証・ナンバープレートを受け取る
💰 ローン残がある場合
  • ローン会社に死亡の連絡をして残債額を確認する
  • 一括返済・引き継ぎ・売却のいずれかを選択する
  • ローン完済後に所有権解除を受ける
  • 所有権解除後に移転登録を行う
🔧 売却・廃車の場合
  • 売却の場合:買取業者に査定を依頼し必要書類を確認する
  • 廃車の場合:解体業者に依頼し、運輸支局で永久抹消登録を行う
  • 自動車税・自動車重量税の還付申請を行う
  • 自賠責保険の残額還付申請を行う(廃車の場合)
🛡️ 保険の手続き
  • 任意保険会社に死亡の連絡をして手続き方法を確認する
  • 乗り継ぐ場合:記名被保険者・所有者変更の手続き。等級引継ぎの可否を確認する
  • 売却・廃車の場合:任意保険を解約し、残期間分の保険料還付を受ける
⚠️ 放置すればするほど手続きは複雑になります。
故人名義のままでは売却も廃車もできず、自動車税の課税が続き、保険の補償にも問題が生じます。相続の方針が決まり次第、なるべく早く手続きを開始することが最善策です。書類の収集・運輸支局への手続きに不安がある方は、行政書士への相談をご検討ください。

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