公共料金・サブスク・クレカの解約順|相続で後悔しない"停止→精算→名義変更"の手順

なぜ「解約順」が重要なのか

家族が亡くなると、年金・役所の手続きに追われるあまり、公共料金・サブスク・クレジットカードの手続きが後回しになりがちです。しかしこれらを放置すると、深刻な問題が起きます。

使っていないのに料金が発生し続ける……毎月引き落とされるサブスクや公共料金は、解約手続きをしない限り止まらない

クレジットカードを先に解約すると精算できなくなる……サブスクの支払い先を変更する前にカードを解約すると、未払いが発生してサービスが強制停止される

銀行口座の凍結後は引き落としが止まり、滞納扱いになる……電気・ガスが滞納停止になるケースも実際に起きている

パスワード不明のまま放置すると、解約すら困難になる……デジタル遺産問題として近年急増している

これらを防ぐには、「停止→精算→名義変更」という正しい順序で進めることが鍵です。この記事では、各カテゴリの具体的な手順と注意点を解説します。

⚠️ 「とりあえず全部すぐ解約」は危険です。
自宅に同居の家族が引き続き使う電気・ガス・インターネット回線を誤って解約してしまったり、クレジットカードのポイントや還付金を受け取れなくなるケースがあります。手順を踏んで進めましょう。

全体の手順:停止→精算→名義変更の流れ

手続きは大きく3フェーズに分かれます。それぞれのフェーズで動く内容を先に把握してから、各カテゴリの手続きに進みましょう。

1 「停止」フェーズ:誰も使わないサービスを止める 死亡後なるべく早く(目安:1〜2週間以内)
2 「精算」フェーズ:未払い・過払いを清算する 口座凍結前に完了させることが理想
3 「名義変更」フェーズ:家族が引き続き使うものを移管する 遺産分割協議の前後に並行して進める
フェーズ 主な対象 優先度
停止 故人のみが使っていた携帯電話・サブスク・クレジットカード・有料会員サービス 最優先(料金発生を止める)
精算 クレジットカードの残債・未払い公共料金・ポイントの確認と使用 カード解約前に必ず実施
名義変更 電気・ガス・水道・固定電話・インターネット回線(同居家族が継続使用する場合) 急ぎではないが1〜2ヶ月以内を目安に
💡 まず「故人のサービス一覧」を作ることが最初の一歩です。
通帳の引き落とし履歴・クレジットカードの明細・メールの受信履歴を確認すると、契約しているサービスを漏れなく把握できます。まずこの棚卸しから始めましょう。

公共料金(電気・ガス・水道・電話)の手続き

公共料金は「解約」か「名義変更」かを最初に判断することが重要です。誰も住まなくなる家なら解約、同居家族が引き続き使うなら名義変更が原則です。

電気・ガス・水道

💡 電気・ガス・水道の手続き 名義変更 or 解約
連絡先 各電力会社・ガス会社・水道局の「お客様センター」に電話またはWebで連絡
必要情報 ・お客様番号(検針票・請求書に記載)
・亡くなった方の氏名・死亡日
・新名義人の氏名・続柄
・引き落とし口座の変更情報
名義変更の場合 多くの場合、電話一本で手続きできる。書類の郵送を求めるケースもあり
解約の場合 最終検針日までの料金が請求される。精算方法(振込・口座引き落とし等)を確認する
⚠️ 誰も住まなくなる空き家の場合でも、すぐに解約しないほうがよいケースがあります。
不動産の売却・片付け作業中は電気・水道が必要なため、売却・整理の完了後に解約するタイミングが現実的です。

固定電話(NTT等)

📞 固定電話の手続き 解約 or 名義変更 or 休止
選択肢 ①解約(電話番号が消える) ②名義変更(番号はそのまま継続) ③利用休止(最長10年・費用なし)
注意点 NTTの固定電話には「電話加入権(施設設置負担金)」が資産として存在する場合がある。相続財産として評価が必要なケースも(現在の市場価値は数千円程度)
連絡先 NTT東日本/西日本の「116」または各社のWebフォーム

インターネット・携帯電話の手続き

携帯電話・スマートフォン

📱 携帯電話の解約手続き 早めに解約推奨
手続き場所 各キャリア(docomo・au・SoftBank・楽天等)の店頭またはWebサポート窓口
必要書類 ・死亡診断書(コピー可)または戸籍謄本
・契約者(故人)の氏名・電話番号
・手続き者の本人確認書類(続柄を証明するもの)
精算 解約月の月額料金は日割りの場合と月額全額請求の場合がある(キャリアによって異なる)。未使用ポイントの失効にも注意
端末の扱い SIMロック解除・データ消去を行ってから廃棄または下取りに出す
💡 解約前にやること:
①スマホに登録されている各種アプリのID・パスワードをメモまたはスクリーンショットで保存
②Apple ID・Google アカウントのデータをバックアップ
二段階認証の連絡先になっているサービスがないか確認(解約後にログインできなくなる)

インターネット回線・プロバイダー

同居家族が引き続き使用する場合は名義変更が原則です。解約して新規契約すると、工事費・初期費用が再度かかる場合があります。

注意点:光回線は解約時に「解約違約金(契約期間内の場合)」が発生するケースがあります。契約内容を確認したうえで手続きしましょう。プロバイダーとフレッツ光など回線が分かれている場合は、両社への連絡が必要です。

クレジットカードの解約と注意点

クレジットカードは手続きの順序を間違えると、精算ができなくなる・ポイントを失うなどのトラブルが起きやすい手続きです。必ず以下の順序で進めてください。

カードの明細を取得し、引き落とし予定のサービスを全てリストアップ
各サービスの支払い方法を別のカード・口座振替に変更する
未使用ポイント・キャッシュバック・付帯保険の確認と活用
残債(未払い残高)がゼロであることを確認してから解約を申請
💳 クレジットカードの解約手続き 残債確認後に解約
連絡先 各カード会社のカスタマーセンター(電話)または書面。Webで完結できる会社は少ない
必要書類 ・死亡診断書または戸籍謄本
・手続き者の本人確認書類と続柄証明(戸籍等)
・カード番号(カードそのものまたは契約書)
残債の扱い 未払い残高は相続人が支払う義務を引き継ぐ。リボ払い・分割払いの残高も同様。相続放棄をした場合は支払義務なし
家族カードの扱い 本会員が亡くなると家族カードも同時に使用不可となる。家族の支払い手段を事前に確保しておくことが重要
⚠️ カードを「切断・廃棄」しても解約にはなりません。
物理的にカードを切っても、年会費の請求は止まりません。必ずカード会社に連絡して「解約手続き」を完了させる必要があります。
💡 ポイント・マイルの確認を忘れずに:
クレジットカードのポイントやマイルは、カード解約と同時に失効することがほとんどです。解約前に残高を確認し、使えるものは使い切るか、商品交換・キャッシュバックに充てましょう。

サブスクリプションサービスの解約

動画配信・音楽・電子書籍・クラウドストレージなどのサブスクリプションサービスは、放置するだけで毎月料金が発生し続けます。まず「どんなサービスを契約しているか」を棚卸しすることが先決です。

サービスの洗い出し方

  • クレジットカードの月次明細を直近12ヶ月分さかのぼって確認する
  • 銀行口座の引き落とし履歴を確認する(口座振替のサービスも多い)
  • 故人のメールの受信履歴から「ご利用明細」「お知らせ」を検索する
  • スマートフォンのApp Store/Google Playの「サブスクリプション管理」画面を確認する

主要サービスの解約方法

サービス 解約方法・注意点
Netflix・Hulu・Disney+等の動画配信 Webサイトまたはアプリのアカウント設定から解約。月途中でも即日解約可(日割りなし・月末まで視聴可能なケースが多い)
Amazon(プライム・Kindle等) Amazonアカウントのサービス管理から解約。Amazonギフト残高・ポイントは相続財産として申告が必要な場合がある
Apple(iCloud・Apple TV+等) Apple IDにアクセスできれば設定から解約可。パスワード不明の場合はAppleサポートに死亡証明書を提出して対応を依頼
Adobe・Microsoft 365等のビジネス系 アカウントへのログインが必要。2段階認証の突破が課題になるケースが多い。各社サポートに問い合わせる
新聞・雑誌の電子版 各社の問い合わせ窓口へ。死亡証明書の提出を求められる場合がある
スポーツジム・習い事 店舗または事務局に連絡。月額の日割り精算・違約金の有無を確認する
⚠️ パスワードが不明なサービスへの対応:
ログインできない場合でも、多くのサービスはサポート窓口に死亡証明書を提出することで解約対応してくれます。まず各サービスのサポートページで「死亡に関する手続き」を検索してみましょう。それでも対応が難しい場合は、クレジットカードの引き落とし停止(カード解約)で事実上の停止になるケースもあります。

NHK・各種会員・定期購読の手続き

見落としやすい手続き
種別 手続き方法・注意点
NHK受信料 NHKの受信料は死亡による契約者変更または解約が必要。NHKふれあいセンター(0570-077-077)へ連絡。引き続き同居家族が視聴する場合は契約者変更のみ。前払い分は返金される場合がある
新聞・雑誌(紙)の定期購読 販売店または出版社に連絡して解約。前払い分の返金を確認する
各種会員証・ポイントカード 百貨店・スーパー・航空会社のマイル等は残高を確認のうえ解約。マイルは相続できる場合とできない場合がある(各社の規約を確認)
社会保険・組合員資格 国民健康保険・介護保険は別途役所で手続き(参照:役所手続き記事)
有料の駐車場・トランクルーム 解約月の日割り精算・荷物の引き取り方法を確認する。名義変更で継続するケースも
オンラインゲーム・SNS アカウント削除は各社の「追悼アカウント・死亡申請」窓口へ。FacebookやInstagramは専用フォームあり
💡 航空会社マイルの相続:
JALマイルは相続の対象外(規約上消滅)ですが、ANAマイルは相続可能(手続き要)です。他の航空会社も規約によって異なるため、死亡前に使い切るか、生前に確認しておくことが最善策です。

銀行口座凍結前にやるべきこと

銀行は死亡の事実を知った時点で口座を凍結します。凍結後は相続人全員の同意なしに出金・引き落としができなくなります。凍結前にやっておくべきことを整理しましょう。

⚠️ 「銀行口座が凍結されると公共料金が滞納になる」ことを知っていますか?
口座振替設定の公共料金は、凍結後に引き落としが失敗します。自動的に督促状が届き、滞納扱いになるため、凍結前に支払い方法の変更または解約を進めることが重要です。

口座凍結前に確認・対応すべき事項

  • 口座振替で引き落とされているサービスを全て洗い出す(通帳で確認)
  • 公共料金・サブスクの支払い方法を遺族の口座・カードに変更する
  • クレジットカードの残債・分割払いの残高を確認しておく
  • 葬儀費用・当座の生活費として、一定額を現金で手元に確保しておく(口座凍結後は引き出し不可)
  • 故人の通帳・キャッシュカードの保管場所を相続人で共有する
仮払い制度を活用できる場合があります:
2019年7月から、遺産分割前でも相続人一人あたり最大150万円まで仮払いが可能な制度が導入されています(各金融機関で「相続預金の仮払い」として対応)。葬儀費用や当座の生活費として活用を検討しましょう。

よくある失敗パターンと対策

❌ 失敗① クレジットカードをサブスクより先に解約してしまった
カードが解約されると、そのカードを支払い手段にしていたサービスが未払いとなって強制停止・違約金が発生することがあります。
対策:サービスの支払い変更が完了してからカードを解約する。
❌ 失敗② 家族カードが突然使えなくなった
本会員が死亡すると、家族カードも同時に利用停止になります。日常の買い物・公共料金の支払いが突然できなくなるケースが多発しています。
対策:家族自身のカードを事前に用意しておく。または本会員死亡直後に家族カードの状況をカード会社に確認する。
❌ 失敗③ スマホを解約したら二段階認証が通らなくなった
携帯番号宛てのSMS認証を設定していたサービスは、スマホ解約後にログインできなくなります。相続の手続きで必要なアカウントへのアクセスが困難になります。
対策:スマホ解約前に各サービスの認証設定を確認し、必要なデータを取り出しておく。
❌ 失敗④ 使っていない空き家の公共料金を解約し忘れた
誰も住んでいない実家の電気・ガス・水道代が数ヶ月にわたって引き落とされていたという事例は非常に多くあります。
対策:死亡後2週間以内に「使わないサービスの一覧」を作り、停止の連絡を入れる。
❌ 失敗⑤ マイルやポイントをそのまま失効させてしまった
クレジットカードやサービスの解約と同時に、数万円相当のポイント・マイルが失効することがあります。
対策:解約前に残高を確認し、使い切る・現金化・商品交換を行う。

手続きチェックリスト

印刷してご活用ください。チェックしながら進めることで、手続き漏れを防げます。

📋 まず最初にやること
  • 通帳の引き落とし履歴・カード明細で契約サービスを全て洗い出す
  • スマートフォンのサブスクリプション一覧を確認する(App Store / Google Play)
  • 口座凍結前に当座の現金・生活費を確保する
  • 家族カードの利用停止時期をカード会社に確認し、代替カードを用意する
💡 公共料金・インフラ
  • 電気:名義変更または解約(各電力会社へ連絡)
  • ガス:名義変更または解約(各ガス会社へ連絡)
  • 水道:名義変更または解約(市区町村の水道局へ連絡)
  • 固定電話:解約・名義変更・利用休止を選択(NTT116)
  • インターネット回線・プロバイダー:名義変更または解約(違約金確認)
  • NHK:受信料の契約者変更または解約(0570-077-077)
📱 携帯・デジタル
  • 携帯電話:スマホのデータバックアップ→二段階認証確認→キャリアで解約
  • Apple ID・Googleアカウント:必要データを取り出してからアカウント削除申請
  • SNS(Facebook・Instagram等):各社の「追悼アカウント」申請または削除申請
💳 クレジットカード・サブスク
  • サブスク各社の支払い方法を変更してからカードを解約
  • ポイント・マイル・ギフト残高を確認・使用する
  • 残債(分割・リボ残高)を確認し、相続人として精算を行う
  • 動画配信・音楽・クラウド各サービスを個別に解約
  • 新聞・雑誌(紙・電子版)の定期購読を解約
  • スポーツジム・習い事・有料駐車場等を解約
📮 その他の会員・サービス
  • 航空会社マイル・百貨店ポイント等の残高確認・解約(規約ごとに相続可否を確認)
  • 有料メルマガ・オンラインサロン等を解約
  • トランクルーム・貸し倉庫を解約(荷物の引き取りを先に行う)
  • オンラインゲームアカウントの削除申請
💡 手続きが多くて手が回らない場合は:
相続手続き全体を専門家に依頼する際、公共料金・サブスクの整理についても相談できる行政書士事務所があります。ハートリンクグループでは、役所手続きから民間サービスの整理まで、一体的にサポートしています。

📞 ご相談はこちら

ハートリンクグループでは、
行政書士を中心に税理士などの専門家が連携し、
相続手続き、遺言書作成、成年後見、死後事務などについて
一人ひとりの状況に合わせた相談対応を行っています。

相続専門 ハートリンクグループ

【東京オフィス】 東京・人形町で相続相談先をお探しの方へ。相続手続き、遺言書作成、生前対策などに対応。人形町駅徒歩すぐ。中央区・日本橋エリアのご相談も承ります。
【横浜オフィス】 横浜・関内で相続相談先をお探しの方へ。相続、遺言、家族信託、任意後見などに対応。関内駅徒歩約3分。横浜市中区を中心にご相談を承ります。

☎ 0120-905-336

まずはお気軽にご連絡ください。

次へ
次へ

遺族年金の手続きはいつ・どこで?|必要書類・もらえる人・よくある不支給原因