公共料金・サブスク・クレカの解約順|相続で後悔しない"停止→精算→名義変更"の手順
目次
なぜ「解約順」が重要なのか
家族が亡くなると、年金・役所の手続きに追われるあまり、公共料金・サブスク・クレジットカードの手続きが後回しになりがちです。しかしこれらを放置すると、深刻な問題が起きます。
❷ クレジットカードを先に解約すると精算できなくなる……サブスクの支払い先を変更する前にカードを解約すると、未払いが発生してサービスが強制停止される
❸ 銀行口座の凍結後は引き落としが止まり、滞納扱いになる……電気・ガスが滞納停止になるケースも実際に起きている
❹ パスワード不明のまま放置すると、解約すら困難になる……デジタル遺産問題として近年急増している
これらを防ぐには、「停止→精算→名義変更」という正しい順序で進めることが鍵です。この記事では、各カテゴリの具体的な手順と注意点を解説します。
自宅に同居の家族が引き続き使う電気・ガス・インターネット回線を誤って解約してしまったり、クレジットカードのポイントや還付金を受け取れなくなるケースがあります。手順を踏んで進めましょう。
全体の手順:停止→精算→名義変更の流れ
手続きは大きく3フェーズに分かれます。それぞれのフェーズで動く内容を先に把握してから、各カテゴリの手続きに進みましょう。
| フェーズ | 主な対象 | 優先度 |
|---|---|---|
| 停止 | 故人のみが使っていた携帯電話・サブスク・クレジットカード・有料会員サービス | 最優先(料金発生を止める) |
| 精算 | クレジットカードの残債・未払い公共料金・ポイントの確認と使用 | カード解約前に必ず実施 |
| 名義変更 | 電気・ガス・水道・固定電話・インターネット回線(同居家族が継続使用する場合) | 急ぎではないが1〜2ヶ月以内を目安に |
通帳の引き落とし履歴・クレジットカードの明細・メールの受信履歴を確認すると、契約しているサービスを漏れなく把握できます。まずこの棚卸しから始めましょう。
公共料金(電気・ガス・水道・電話)の手続き
公共料金は「解約」か「名義変更」かを最初に判断することが重要です。誰も住まなくなる家なら解約、同居家族が引き続き使うなら名義変更が原則です。
電気・ガス・水道
| 連絡先 | 各電力会社・ガス会社・水道局の「お客様センター」に電話またはWebで連絡 |
|---|---|
| 必要情報 | ・お客様番号(検針票・請求書に記載) ・亡くなった方の氏名・死亡日 ・新名義人の氏名・続柄 ・引き落とし口座の変更情報 |
| 名義変更の場合 | 多くの場合、電話一本で手続きできる。書類の郵送を求めるケースもあり |
| 解約の場合 | 最終検針日までの料金が請求される。精算方法(振込・口座引き落とし等)を確認する |
不動産の売却・片付け作業中は電気・水道が必要なため、売却・整理の完了後に解約するタイミングが現実的です。
固定電話(NTT等)
| 選択肢 | ①解約(電話番号が消える) ②名義変更(番号はそのまま継続) ③利用休止(最長10年・費用なし) |
|---|---|
| 注意点 | NTTの固定電話には「電話加入権(施設設置負担金)」が資産として存在する場合がある。相続財産として評価が必要なケースも(現在の市場価値は数千円程度) |
| 連絡先 | NTT東日本/西日本の「116」または各社のWebフォーム |
インターネット・携帯電話の手続き
携帯電話・スマートフォン
| 手続き場所 | 各キャリア(docomo・au・SoftBank・楽天等)の店頭またはWebサポート窓口 |
|---|---|
| 必要書類 | ・死亡診断書(コピー可)または戸籍謄本 ・契約者(故人)の氏名・電話番号 ・手続き者の本人確認書類(続柄を証明するもの) |
| 精算 | 解約月の月額料金は日割りの場合と月額全額請求の場合がある(キャリアによって異なる)。未使用ポイントの失効にも注意 |
| 端末の扱い | SIMロック解除・データ消去を行ってから廃棄または下取りに出す |
①スマホに登録されている各種アプリのID・パスワードをメモまたはスクリーンショットで保存
②Apple ID・Google アカウントのデータをバックアップ
③二段階認証の連絡先になっているサービスがないか確認(解約後にログインできなくなる)
インターネット回線・プロバイダー
注意点:光回線は解約時に「解約違約金(契約期間内の場合)」が発生するケースがあります。契約内容を確認したうえで手続きしましょう。プロバイダーとフレッツ光など回線が分かれている場合は、両社への連絡が必要です。
クレジットカードの解約と注意点
クレジットカードは手続きの順序を間違えると、精算ができなくなる・ポイントを失うなどのトラブルが起きやすい手続きです。必ず以下の順序で進めてください。
| 連絡先 | 各カード会社のカスタマーセンター(電話)または書面。Webで完結できる会社は少ない |
|---|---|
| 必要書類 | ・死亡診断書または戸籍謄本 ・手続き者の本人確認書類と続柄証明(戸籍等) ・カード番号(カードそのものまたは契約書) |
| 残債の扱い | 未払い残高は相続人が支払う義務を引き継ぐ。リボ払い・分割払いの残高も同様。相続放棄をした場合は支払義務なし |
| 家族カードの扱い | 本会員が亡くなると家族カードも同時に使用不可となる。家族の支払い手段を事前に確保しておくことが重要 |
物理的にカードを切っても、年会費の請求は止まりません。必ずカード会社に連絡して「解約手続き」を完了させる必要があります。
クレジットカードのポイントやマイルは、カード解約と同時に失効することがほとんどです。解約前に残高を確認し、使えるものは使い切るか、商品交換・キャッシュバックに充てましょう。
サブスクリプションサービスの解約
動画配信・音楽・電子書籍・クラウドストレージなどのサブスクリプションサービスは、放置するだけで毎月料金が発生し続けます。まず「どんなサービスを契約しているか」を棚卸しすることが先決です。
サービスの洗い出し方
- クレジットカードの月次明細を直近12ヶ月分さかのぼって確認する
- 銀行口座の引き落とし履歴を確認する(口座振替のサービスも多い)
- 故人のメールの受信履歴から「ご利用明細」「お知らせ」を検索する
- スマートフォンのApp Store/Google Playの「サブスクリプション管理」画面を確認する
主要サービスの解約方法
| サービス | 解約方法・注意点 |
|---|---|
| Netflix・Hulu・Disney+等の動画配信 | Webサイトまたはアプリのアカウント設定から解約。月途中でも即日解約可(日割りなし・月末まで視聴可能なケースが多い) |
| Amazon(プライム・Kindle等) | Amazonアカウントのサービス管理から解約。Amazonギフト残高・ポイントは相続財産として申告が必要な場合がある |
| Apple(iCloud・Apple TV+等) | Apple IDにアクセスできれば設定から解約可。パスワード不明の場合はAppleサポートに死亡証明書を提出して対応を依頼 |
| Adobe・Microsoft 365等のビジネス系 | アカウントへのログインが必要。2段階認証の突破が課題になるケースが多い。各社サポートに問い合わせる |
| 新聞・雑誌の電子版 | 各社の問い合わせ窓口へ。死亡証明書の提出を求められる場合がある |
| スポーツジム・習い事 | 店舗または事務局に連絡。月額の日割り精算・違約金の有無を確認する |
ログインできない場合でも、多くのサービスはサポート窓口に死亡証明書を提出することで解約対応してくれます。まず各サービスのサポートページで「死亡に関する手続き」を検索してみましょう。それでも対応が難しい場合は、クレジットカードの引き落とし停止(カード解約)で事実上の停止になるケースもあります。
NHK・各種会員・定期購読の手続き
見落としやすい手続き| 種別 | 手続き方法・注意点 |
|---|---|
| NHK受信料 | NHKの受信料は死亡による契約者変更または解約が必要。NHKふれあいセンター(0570-077-077)へ連絡。引き続き同居家族が視聴する場合は契約者変更のみ。前払い分は返金される場合がある |
| 新聞・雑誌(紙)の定期購読 | 販売店または出版社に連絡して解約。前払い分の返金を確認する |
| 各種会員証・ポイントカード | 百貨店・スーパー・航空会社のマイル等は残高を確認のうえ解約。マイルは相続できる場合とできない場合がある(各社の規約を確認) |
| 社会保険・組合員資格 | 国民健康保険・介護保険は別途役所で手続き(参照:役所手続き記事) |
| 有料の駐車場・トランクルーム | 解約月の日割り精算・荷物の引き取り方法を確認する。名義変更で継続するケースも |
| オンラインゲーム・SNS | アカウント削除は各社の「追悼アカウント・死亡申請」窓口へ。FacebookやInstagramは専用フォームあり |
JALマイルは相続の対象外(規約上消滅)ですが、ANAマイルは相続可能(手続き要)です。他の航空会社も規約によって異なるため、死亡前に使い切るか、生前に確認しておくことが最善策です。
銀行口座凍結前にやるべきこと
銀行は死亡の事実を知った時点で口座を凍結します。凍結後は相続人全員の同意なしに出金・引き落としができなくなります。凍結前にやっておくべきことを整理しましょう。
口座振替設定の公共料金は、凍結後に引き落としが失敗します。自動的に督促状が届き、滞納扱いになるため、凍結前に支払い方法の変更または解約を進めることが重要です。
口座凍結前に確認・対応すべき事項
- 口座振替で引き落とされているサービスを全て洗い出す(通帳で確認)
- 公共料金・サブスクの支払い方法を遺族の口座・カードに変更する
- クレジットカードの残債・分割払いの残高を確認しておく
- 葬儀費用・当座の生活費として、一定額を現金で手元に確保しておく(口座凍結後は引き出し不可)
- 故人の通帳・キャッシュカードの保管場所を相続人で共有する
2019年7月から、遺産分割前でも相続人一人あたり最大150万円まで仮払いが可能な制度が導入されています(各金融機関で「相続預金の仮払い」として対応)。葬儀費用や当座の生活費として活用を検討しましょう。
よくある失敗パターンと対策
対策:サービスの支払い変更が完了してからカードを解約する。
対策:家族自身のカードを事前に用意しておく。または本会員死亡直後に家族カードの状況をカード会社に確認する。
対策:スマホ解約前に各サービスの認証設定を確認し、必要なデータを取り出しておく。
対策:死亡後2週間以内に「使わないサービスの一覧」を作り、停止の連絡を入れる。
対策:解約前に残高を確認し、使い切る・現金化・商品交換を行う。
手続きチェックリスト
印刷してご活用ください。チェックしながら進めることで、手続き漏れを防げます。
- 通帳の引き落とし履歴・カード明細で契約サービスを全て洗い出す
- スマートフォンのサブスクリプション一覧を確認する(App Store / Google Play)
- 口座凍結前に当座の現金・生活費を確保する
- 家族カードの利用停止時期をカード会社に確認し、代替カードを用意する
- 電気:名義変更または解約(各電力会社へ連絡)
- ガス:名義変更または解約(各ガス会社へ連絡)
- 水道:名義変更または解約(市区町村の水道局へ連絡)
- 固定電話:解約・名義変更・利用休止を選択(NTT116)
- インターネット回線・プロバイダー:名義変更または解約(違約金確認)
- NHK:受信料の契約者変更または解約(0570-077-077)
- 携帯電話:スマホのデータバックアップ→二段階認証確認→キャリアで解約
- Apple ID・Googleアカウント:必要データを取り出してからアカウント削除申請
- SNS(Facebook・Instagram等):各社の「追悼アカウント」申請または削除申請
- サブスク各社の支払い方法を変更してからカードを解約
- ポイント・マイル・ギフト残高を確認・使用する
- 残債(分割・リボ残高)を確認し、相続人として精算を行う
- 動画配信・音楽・クラウド各サービスを個別に解約
- 新聞・雑誌(紙・電子版)の定期購読を解約
- スポーツジム・習い事・有料駐車場等を解約
- 航空会社マイル・百貨店ポイント等の残高確認・解約(規約ごとに相続可否を確認)
- 有料メルマガ・オンラインサロン等を解約
- トランクルーム・貸し倉庫を解約(荷物の引き取りを先に行う)
- オンラインゲームアカウントの削除申請
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