相続した家の防犯・空き家対策|短期でやるべき10項目チェック
目次
- 相続直後に空き家になった家が直面するリスク
- 10項目チェックの全体像:優先度と時間軸
- チェック①:鍵の確認と交換
- チェック②:郵便受けの郵便物を回収する
- チェック③:電気を通電したまま維持する
- チェック④:ガス・水道を適切に処理する
- チェック⑤:火災保険を空き家用に確認・変更する
- チェック⑥:窓・シャッター・換気を確認する
- チェック⑦:草木・雑草を管理する
- チェック⑧:防犯サインを設置する
- チェック⑨:近隣に挨拶して管理者の連絡先を伝える
- チェック⑩:定期見回りのスケジュールを決める
- 空き家対策特別措置法:放置すると起こること
- 管理を外注する選択肢:空き家管理サービスの活用
- よくある疑問(Q&A)
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相続直後に空き家になった家が直面するリスク
親が亡くなり実家が空き家になった瞬間から、その家はさまざまなリスクに晒されます。遺産分割協議・各種手続きに追われている間も、空き家の劣化・防犯上の問題は静かに進行しています。
特に相続直後の「最初の1か月〜3か月」が最もリスクが高い時期です。誰が住んでいたかを知っている周辺の人・業者等によって、空き家であることが知られやすく、不法侵入・窃盗・不法投棄のターゲットになりやすいからです。
この記事では、相続後に空き家となった家で「まず最初にやるべき10項目」を優先度と具体的な方法を含めて解説します。
不法侵入・器物損壊・住み着き(スクワッティング)/窃盗・銅線等の盗難/不法投棄のターゲット化/カビ・湿気・害虫による建物劣化の急進行/近隣からのクレーム・行政指導/空き家対策特別措置法による「特定空き家」指定→解体命令のリスク
10項目チェックの全体像:優先度と時間軸
| 時間軸 | チェック項目 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 死亡直後〜 1週間以内 |
①鍵の確認と交換 ②郵便受けの郵便物回収 ③電気の通電維持 | 鍵交換2〜5万円程度 |
| 1〜2週間以内 | ④ガス・水道の処理 ⑤火災保険の確認・変更 ⑥窓・シャッター・換気の確認 | 保険変更手続き(費用は変わる場合あり) |
| 2〜4週間以内 | ⑦草木・雑草の管理 ⑧防犯サインの設置 ⑨近隣への挨拶 | 草刈り・看板設置:数千〜2万円程度 |
| 1か月以内に 仕組みを作る |
⑩定期見回りのスケジュール設定 | 外注なら月5,000〜2万円程度 |
専門業者に全てを任せるより、自分でできるものは自分で対応し、できないもの(遠方の場合等)だけ外注するハイブリッドな管理が費用を抑えつつ対策を実現する現実的な方法です。
空き家対策の最初の一手は鍵の把握と交換です。
- 鍵の本数を全て確認する:合鍵が何本あるか・誰が持っているかを把握する(ヘルパー・業者・知人等が合鍵を持っている可能性がある)
- シリンダー交換を検討する:合鍵の回収が難しい場合や管理を強化したい場合は鍵(シリンダー)を交換する。費用目安:玄関1か所あたり2〜5万円程度
- スペアキーは相続人代表者が管理し、他の相続人への配布方法を決める
- スマートロックの導入も選択肢:暗証番号型・スマホ操作型のスマートロックは合鍵不要で遠方の相続人にも対応しやすい(取り付け費用含め2〜5万円程度)
郵便受けに郵便物が溜まった状態は「ここは空き家だ」という最大のサインになります。
- 死亡直後に郵便受けの郵便物を全て回収する
- 日本郵便に転居届を提出する:亡くなった方宛の郵便物を相続人の住所に転送してもらう(最大1年間・無料)
- 転送できない書留・不在票が溜まらないよう、次回の見回り時にも必ず確認する
- 大量のDMが届く場合は各送付元への連絡・日本ダイレクトメール協会への停止申請も活用する
「空き家だから電気を止める」という判断は管理の観点から逆効果になります。
- 電気は通電したまま維持する:見回り時の照明・コンセント使用・センサーライトの動作に必要。遺品整理・清掃業者の作業にも不可欠
- 電力会社に連絡して相続人名義に変更する手続きを行う
- 夜間タイマー式の照明(人感センサーライト等)を外に設置すると防犯効果が高い
- 電気代は月数百〜数千円程度(最小限の使用)なので費用対効果が高い
ガスと水道は「すぐ止める」か「維持するか」の判断が必要です。
- ガス:使用しない場合は閉栓を依頼:ガス会社に「一時閉栓」を申し込む。定期的に人が出入りする場合は維持する選択肢もある
- 水道:完全停止の場合は配管の凍結・臭気対策が必要:長期空き家では配管内の滞留水がトラブルの原因になる。完全停止より「月1回程度の通水」の方が管理しやすい場合もある
- 水道・ガスの名義変更(相続人名義への変更)を各事業者に申し出る
- 冬季は凍結防止のために水抜き作業が必要な地域もある(特に寒冷地)
空き家になったことを保険会社に告知しないと、保険金が支払われないリスクがあります。
- 保険会社に「空き家になった」旨を速やかに告知する:多くの火災保険は「居住用」が前提のため、空き家になった場合の告知義務がある
- 空き家用プラン(管理建物特約等)への変更または継続可否を確認する
- 保険の名義変更:保険証券の名義を被相続人から相続人に変更する手続きを保険会社に申し出る
- 空き家の場合、建物外に人が来ることで第三者への損害が発生する可能性もある。賠償責任も含めた補償内容を確認する
- 解体・売却まで保険を切らさないことが重要
空き家の建物劣化は換気不足と雨水侵入から急速に進みます。
- 窓ガラスのひび・破損を確認する:割れた窓は雨水・害虫・不法侵入者の入口になる。発見したら速やかに修理する(ガラス屋に連絡)
- シャッターを閉めるか換気できる状態を作るか判断する:シャッターを全て閉めると防犯にはなるが換気できなくなる。縦すべり窓の換気口を少し開けておく方法もある
- 見回り時に各部屋の換気を行う(窓を開けて10〜15分換気)。カビ・湿気の蓄積を防ぐ
- 屋根・雨どい・外壁のひびを目視確認する。雨漏りは放置すると急速に構造劣化が進む
- 床下・天井裏への害虫(シロアリ等)の侵入がないか定期的に確認する
草木・雑草の放置は近隣トラブル・行政指導・「空き家サイン」の3つのリスクを同時に生む最も目立つ問題です。
- 最初の除草・剪定を早めに行う:特に夏場は雑草が急速に伸びる。相続発生後1か月以内に一度整理しておく
- 隣地に越境している枝・根は優先的に対処する(民法上、越境した枝は対応が必要な問題になり得る)
- 定期管理の依頼先を決める:近隣の造園業者・シルバー人材センター・便利屋等(月5,000〜2万円程度)
- 自分で管理できる場合は月1〜2回の除草・草刈りを習慣化する
- 落ち葉・雨どいの詰まりも定期的に確認・清掃する
「管理されている」と見せることが不法侵入・不法投棄の抑止になります。
- 「管理中」の看板を設置する:「この物件は管理されています。不審者は110番通報します」等の看板(100円均一〜ホームセンターで数百円〜2,000円程度)を門扉や外壁に貼る
- 防犯カメラ(ダミーも含む)の設置:玄関・駐車場・庭への入口等に設置。実機(5,000〜3万円程度)またはダミーカメラでも抑止効果がある
- センサーライトの設置:人が近づくと点灯するライト(1,000〜5,000円程度)を玄関や裏口付近に設置する
- 不法投棄が続く場合は「不法投棄禁止・監視中」の看板を追加設置する
近隣への挨拶は「地域のセキュリティ」を活用する最もコストゼロの防犯対策です。
- 両隣・向かい・裏の4方向に挨拶する:「先日〇〇が亡くなりまして、現在は空き家になっています。管理は私(連絡先)が担当します。不審者や問題がありましたらご連絡ください」と伝える
- 管理者の連絡先を渡す:名刺または連絡先メモを手渡す。相続人が複数いる場合は窓口を1人に絞って伝える
- 近隣の方が「声かけ」や「見守り」をしてくれることで、不審者の早期発見につながる
- 町内会・自治会に報告しておくと、地域の見守りネットワークに入れてもらえることもある
一度きりの対策ではなく「継続的な管理の仕組み」を作ることが最終目標です。
- 見回り頻度を決める:近距離なら月2〜4回、遠方なら月1回が目安。夏場(草木繁茂・換気必要)は頻度を増やす
- 見回り時のチェックリストを作る(郵便物・施錠・窓・草木・水道・異臭・不審な跡 等)
- 見回り記録を残す:日時・確認事項・対応内容を記録する。相続人間での情報共有と費用精算の根拠になる
- 遠方で自分では見回りできない場合は空き家管理サービスを活用する(次のセクション参照)
- 見回りのたびに「換気・通水・郵便物回収」を必ず行う習慣をつける
空き家対策特別措置法:放置すると起こること
空き家を放置した場合の法的なリスクについても把握しておきましょう。
| 特定空き家 への指定 |
・倒壊・崩壊の恐れがある ・著しく衛生上有害な状態(ゴミ・害虫) ・著しく景観を損なっている ・その他周辺の生活環境への支障 上記に該当すると市区町村から「特定空き家」に指定される |
|---|---|
| 指定後の 行政手続き |
① 助言・指導(任意対応を求める) ② 勧告(改善を正式に求める) ③ 命令(強制的に改善を命じる) ④ 行政代執行(強制撤去等)→費用を所有者に全額請求 |
| 固定資産税の 優遇停止 |
「特定空き家」に指定・勧告を受けると、住宅用地の固定資産税の軽減特例(最大6分の1)が適用されなくなる。固定資産税が最大6倍になるリスク |
| 2023年改正 「管理不全空き家」 |
「特定空き家」になる前段階として「管理不全空き家」という新たな区分が創設された。除草・外壁修繕等を指導できる権限が強化された |
管理を外注する選択肢:空き家管理サービスの活用
遠方に住んでいて定期的に実家に行けない場合や、相続人全員が忙しい場合は空き家管理サービスへの委託が有効です。
① 定期見回り:月1〜2回の現地確認・報告
② 郵便物の回収・報告:重要書類の写真撮影・送付等
③ 換気・通水:カビ・臭気防止のための定期作業
④ 草木の管理:定期的な除草・剪定
⑤ 緊急時の対応:雨漏り・不法侵入等の緊急連絡と初期対応
費用目安:月5,000〜2万円程度(内容・地域・業者によって異なる)
依頼先:地元の不動産会社・専門の空き家管理業者・シルバー人材センター(地域によって利用可)・便利屋等
年間に数回しか帰省できない場合、空き家管理サービスへの委託(年間6〜24万円程度)と比べると、建物の劣化・不法侵入による損害の方がはるかに高額になるリスクがあります。費用対効果で考えると、管理サービスへの投資は理にかなっています。
よくある疑問(Q&A)
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