【初心者向け】遺言書の書き直しは有効?無効?をわかりやすく解説

遺言書は、一度作ったら終わり…ではありません。
結論から言うと、生前であれば、いつでも何度でも書き直し(撤回・変更)が可能です。大切なのは、「正しい方式で新しく作り直す」こと。
逆に、自己流の書き込みや修正は、思いが伝わらなくなる原因になりやすいので注意点があります。

この記事では、初心者の方でも迷わないように、遺言書の書き直しの基本・手順・よくある失敗をやさしく整理します。


目次


1. 遺言書は書き直せる?まず知っておきたい基本

遺言書は、遺言者(書いたご本人)が生きている間なら、いつでも・何度でも書き直せます。法律でも、遺言は方式に従って全部または一部を撤回できるとされています。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

また、古い遺言と新しい遺言の内容がぶつかる(矛盾する)ときは、ぶつかる部分は「新しい遺言が優先」されます。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

ポイントはここです。
「書き直したい」と思ったら、自己流で直すのではなく、“新しい遺言として成立させる”ことが大切です。


2. 「書き直し」と「一部訂正」は何が違う?おすすめはどっち?

遺言書の内容を変える方法は、大きく2つあります。

(A)新しく作り直す(おすすめ)
  • 内容を整理し直せる(矛盾や抜けを減らしやすい)
  • 形式ミスが起きにくい
  • 相続人にとっても読みやすい
(B)一部だけ訂正する
  • 軽微な修正に見えるが、実はルールが厳格
  • 方式どおりに訂正しないと、訂正部分が効かない可能性がある

特に自筆証書遺言の訂正には、訂正箇所の指示・変更した旨の付記・署名・押印など、法律上の手順があります。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

そのため、実務では「少し変えるだけでも、いったん作り直す」ほうが安全なケースが多いです。:contentReference[oaicite:3]{index=3}


3. 遺言書の種類別:書き直しのやり方(自筆/公正証書/秘密証書)

自筆証書遺言(手書き)

新しい自筆証書遺言を作れば、古い遺言の内容と矛盾する部分は新しいほうが優先されます。:contentReference[oaicite:4]{index=4}

公正証書遺言(公証役場で作成)

公正証書遺言も変更はできますが、原則として新たに遺言を作成する形で行います。:contentReference[oaicite:5]{index=5}

注意点として、手元にある謄本に手書きで修正したり破いたりしても、原本は公証役場に保管されているため、それだけでは変更になりません。:contentReference[oaicite:6]{index=6}

秘密証書遺言

実務では選ばれることが少なめですが、書き直しは他の方式と同様に「新しい遺言として成立」させる発想で進めるのが基本です。:contentReference[oaicite:7]{index=7}


4. 書き直しの基本手順:迷わない5ステップ

  1. 今の遺言書を確認(日付・方式・内容・保管場所)
  2. 変えたい点を書き出す(誰に何を/割合/付言事項など)
  3. 家族の状況と財産を棚卸し(不動産・預金・保険・負債も)
  4. 方式を決める(自筆でいくか、公正証書にするか)
  5. 新しい遺言を作成(必要なら専門家チェック)

一番のコツは、「部分修正」より「全体を読み直して整える」ことです。特に不動産がある場合、住所や地番の書き方で止まることがあるため、慎重に確認しておくと安心です。


5. よくあるきっかけ:こんなときは見直しどき

  • 再婚・離婚・子どもの誕生など、家族関係が変わった
  • 相続させたい人との関係性が変わった
  • 財産が増えた/減った/不動産を買った・売った
  • 遺言で指定した財産を生前に処分した(売却など)
  • 「この内容だと揉めそう」と感じ始めた(遺留分の不安など)

特に、生前に遺言と矛盾する処分をした場合、法律上「撤回された」とみなされることがあります。:contentReference[oaicite:8]{index=8}


6. 失敗しないための注意点:無効・争い・税金の落とし穴

注意点①:日付・署名・押印など「方式ミス」

遺言は方式が厳格です。自筆証書遺言を訂正するときも、ルールどおりでないと訂正部分が効かない可能性があります。:contentReference[oaicite:9]{index=9}

注意点②:「書き直したつもり」が一番危険

公正証書遺言は、手元の謄本への書き込みでは変更になりません。必ず新しい遺言として作る必要があります。:contentReference[oaicite:10]{index=10}

注意点③:古い遺言の扱い

新しい遺言が有効に成立していれば、矛盾部分は新しい遺言が優先されます。:contentReference[oaicite:11]{index=11}

ただ、「全部を撤回する」旨を明記したほうが誤解が減ります(特に公正証書遺言の作り直し)。:contentReference[oaicite:12]{index=12}


7. 公正証書遺言を作り直すときのポイント(証人・費用・保管)

公正証書遺言は、形式面の安心感が強い一方で、作り直しの際も公証役場で新しく作成する流れになります。:contentReference[oaicite:13]{index=13}

  • 証人が必要(通常2名)
  • 内容を整理し、トラブルになりにくい書き方にできる
  • 原本は公証役場で保管されるため、紛失リスクが小さい

「少し変えたいだけ」でも、公正証書遺言は結果的に“新規作成”に近い形になることが多いので、変更点を箇条書きにしてから相談に行くとスムーズです。:contentReference[oaicite:14]{index=14}


8. 自筆証書遺言を見直すときのポイント(訂正ルール・保管制度)

ポイント①:訂正より「書き直し」が安全

自筆証書遺言の訂正は厳格な手順が必要で、方式どおりでないと訂正部分が効かないことがあります。:contentReference[oaicite:15]{index=15}

ポイント②:法務局の保管制度も選択肢

自筆証書遺言は、法務局で保管してもらう制度があります。申請手数料は1通につき3,900円と案内されています。:contentReference[oaicite:16]{index=16}

また、法務局に預けている遺言書の保管をやめたい場合は、保管の申請の撤回により、預けた遺言書を返してもらえる旨が案内されています。:contentReference[oaicite:17]{index=17}

「いまの遺言をいったん見直して、作り直してから預け直したい」という方は、この“撤回→作り直し→再度保管”の流れを知っておくと安心です。:contentReference[oaicite:18]{index=18}


9. 今日からできるチェックリスト:家族に迷惑をかけない準備

まず確認(10分)
  • 今の遺言書の種類(自筆/公正証書)と作成年月日
  • 保管場所(自宅/貸金庫/法務局/公証役場)
  • 変えたい点が「誰に」「何を」「どの理由で」なのか
次に整理(30分)
  • 家族構成の変化(再婚、子の誕生、疎遠など)
  • 財産の変化(不動産の売買、預金の増減、保険の受取人)
  • “争いになりそうな点”(遺留分、共有、不公平感)
作成に進む前の一言
  • 「部分修正」で済ませたいときほど、方式ミスが起きやすい
  • 迷ったら、新しい遺言として作り直すほうが結果的に安全

遺言書の書き直しは、「気持ちが変わったから」でも、「状況が変わったから」でも大丈夫です。
大切なのは、今の家族に合う形で、きちんと伝わるように整えること。安心して次の一歩を踏み出せるよう、必要に応じて専門家も活用してください。


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