遺言が見つかったら最初にやること:検認が必要なケース/不要なケース

遺言書が見つかると、まず「開けて確認したい」と思う方が多いのですが、ここで焦ると手続きが遠回りになります。
結論から言うと、最初に大事なのは次の3つです。

  • 開封 封がある遺言書は、家庭裁判所以外で開封しない(ルール違反は過料の可能性)
  • 種類 遺言書の種類を確認して、検認が必要か不要かを切り分ける
  • 保全 原本を破損・紛失しないよう保全し、写真・発見状況をメモしておく

安心ポイント
「検認が必要」と聞くと、遺言が“有効か無効か”を裁判所が決める手続きに思えますが、検認はそうではありません。
検認は、相続人に遺言の存在を知らせ、遺言書の状態を明確にして偽造・変造を防ぐための手続です。遺言の有効・無効を判断するものではありません。


目次


1. まず結論:検認が必要な遺言/不要な遺言

「検認が必要かどうか」は、遺言書の種類でほぼ決まります。全体像は次のとおりです。 :contentReference[oaicite:0]{index=0}

遺言書の種類 検認 ひとこと
自筆証書遺言(自宅保管など) 原則必要 見つけたら、家庭裁判所へ提出して検認請求
秘密証書遺言 必要 内容は秘密でも、相続開始後は検認が必要
公正証書遺言 不要 公証役場作成。検認なしで手続に進みやすい
法務局で保管された自筆証書遺言
(遺言書情報証明書が出るタイプ)
不要 法務局保管の仕組みにより、検認が不要

ここがポイント
同じ「自筆証書遺言」でも、法務局保管を使っているかどうかで、検認の要否が分かれます。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}


2. 遺言書が見つかった直後にやること(5分でできる)

遺言書を見つけたら、次の順で動くと安全です。

Step1:まず「開封しない」(封があるなら特に)
Step2:遺言書の外観を確認(タイトル・作成方式・公証人の記載など)
Step3:原本を保全(折らない、ホチキス外さない、書き込まない)
Step4:発見状況をメモ(いつ・どこで・誰が・どんな状態で)
Step5:検認が必要か切り分け → 必要なら家庭裁判所へ
  • 保全 スマホで写真(表紙・封筒・封印の有無)を撮っておく
  • 状況 金庫/貸金庫/引き出し等「出てきた場所」を記録
  • 共有 他の相続人に「見つかった事実」だけ先に共有(内容の推測で揉めない)

3. 検認が必要なケース(自筆・秘密証書の基本)

遺言書の保管者、または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出し検認を請求する必要があります(公正証書等を除く)。 :contentReference[oaicite:2]{index=2}

(1)自筆証書遺言(自宅保管など)が必要な理由

自宅保管の自筆証書遺言は、改ざん・隠匿・破棄などのリスクがあるため、検認で「その時点の状態」を明らかにし、相続人へ知らせる役割があります。 :contentReference[oaicite:3]{index=3}

(2)秘密証書遺言も検認が必要

秘密証書遺言は「内容は秘密」でも、相続開始後に家庭裁判所で検認が必要なタイプです。 :contentReference[oaicite:4]{index=4}

よくある誤解
検認をしていない=遺言が無効、ではありません。
ただ、検認前に勝手に開封したり、検認を経ずに進めたりすると、別の問題(過料・トラブル)が起こりやすくなります。 :contentReference[oaicite:5]{index=5}


4. 検認が不要なケース(公正証書/法務局保管)

(1)公正証書遺言は検認不要

公正証書遺言は、公証役場で作成される遺言で、家庭裁判所の検認が不要です。 :contentReference[oaicite:6]{index=6}

(2)法務局で保管されている自筆証書遺言も検認不要

法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管されている遺言は、相続開始後に検認が不要になります。 :contentReference[oaicite:7]{index=7}

見分け方のコツ
法務局保管の遺言は、相続人等が法務局で「遺言書情報証明書」の交付を受けて手続きを進めるのが基本の流れです。 :contentReference[oaicite:8]{index=8}


5. 「封がある遺言書」は勝手に開けない(過料の注意)

封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもと開封する必要があります。 :contentReference[oaicite:9]{index=9}

これに反して家庭裁判所以外で開封した場合、5万円以下の過料の対象となり得ます。 :contentReference[oaicite:10]{index=10}

「うっかり開けてしまった」場合
遺言が直ちに無効になるとは限りませんが、状況を隠すと揉めやすくなります。
速やかに家庭裁判所で検認手続に進み、開封してしまった事実も含めて整理するのが安全です。 :contentReference[oaicite:11]{index=11}


6. 検認の流れ:何を準備して、どう進む?

検認は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。申立てがあると、裁判所から相続人に検認期日の通知がされ、全員がそろわなくても手続は進みます。 :contentReference[oaicite:12]{index=12}

(1)ざっくり流れ
① 家庭裁判所に「検認」を申立て
② 裁判所が相続人へ検認期日を通知
③ 検認期日に遺言書の状態を確認(開封が必要なら裁判所で)
④ 検認済証明の取得 → 以後の相続手続に進む
(2)準備のイメージ(戸籍が要になる)

一般に、遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍等、相続人全員の戸籍等が必要になります(同じ書類は1通で足りる扱いが多いです)。 :contentReference[oaicite:13]{index=13}

現場のつまずきポイント
相続人が多い・戸籍が複数自治体にまたがる場合は、戸籍収集に時間がかかりがちです。
検認は「相続の入口」なので、早めに戸籍の見通しを立てると後が楽になります。


7. 検認が終わった(または不要だった)その次にやること

検認が終わったら(または検認不要の遺言なら)、次は「遺言の内容を実現する段取り」に進みます。

  • 確認 遺言の内容(誰が何を相続するか、遺言執行者の指定があるか)
  • 手続 不動産の名義変更(相続登記)、預貯金の解約・名義変更など
  • 注意 遺留分(最低限の取り分)を侵害していないかの見立て
  • 管理 相続人間で「いつまでに」「誰が窓口で」進めるかを決める

補足
遺言があっても、財産の種類や名義、相続人の状況によって必要書類・進め方が変わります。
「どこから手を付けると早いか」を整理すると、余計なストレスが減ります。


8. よくあるつまずきQ&A(相続人が多い/内容に納得できない等)

Q1:遺言書が複数見つかりました。どれが優先?

原則として、内容が抵触する場合は新しい日付の遺言が優先されることが多いですが、形式や記載状況で判断が難しいこともあります。
勝手に取捨選択せず、見つかったものはまとめて保全し、手続の中で整理するのが安全です。

Q2:内容に納得できません。サインしたら終わりですか?

遺言がある場合でも、相続人の権利(遺留分など)や、遺言の方式不備の可能性など、検討ポイントがあります。
感情的に対立する前に、「争点になりやすい点」をいったん整理してから動くと、話がこじれにくいです。

Q3:相続人の一人と連絡が取れません

検認の通知は相続人に送られ、全員が揃わなくても手続は進みます。 :contentReference[oaicite:14]{index=14}
ただ、後続の相続手続(不動産・預金など)で連絡不能が問題になることがあるため、早めに対応策を検討するのがおすすめです。


9. まとめ:迷ったら「開封しない・種類を見る・保全する」

  • 最優先 封がある遺言書は、家庭裁判所以外で開封しない(過料の可能性) :contentReference[oaicite:15]{index=15}
  • 切り分け 公正証書・法務局保管は検認不要。自筆(自宅保管)・秘密証書は原則検認が必要 :contentReference[oaicite:16]{index=16}
  • 保全 原本を守り、発見状況を記録して、手続をスムーズにする
  • 次の一手 検認後(または不要確認後)、遺言の実行(登記・預金等)に進む

遺言書は、相続の話し合いをスムーズにする強い味方になります。
だからこそ、最初の一歩は「焦って開けない」。この一点だけでも、手続きの混乱がぐっと減ります。


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