空き家の相続で損しない:管理・売却・解体・特例の考え方

相続で「実家が空き家になった」とき、損をする原因はだいたい同じです。
①管理が後回しになり傷みが進む②売却・賃貸の選択肢が減る③費用と税金だけが増える、という流れです。

結論から言うと、空き家相続で損しないために最初に固めたいのはこの3つです。

  • 管理 いますぐ「最低限の管理」を回し始める(近隣・劣化・防犯)
  • 方針 売却/賃貸/解体/保有 のどれに寄せるか、期限を切って決める
  • 特例 売却なら「空き家の特例(3,000万円控除など)」の可能性を先に確認する

安心ポイント
「今すぐ売る」必要はありません。
ただし、空き家は“放っておくほど”選択肢が減ります。まずは管理、その次に方針、最後に税金(特例)という順番で整理すると迷いが減ります。


目次


1. 空き家相続で損が出る3大パターン

  • パターンA 片付けできず内覧ができない → 売れ残って値下げ
  • パターンB 共有で意思決定が止まる → 管理費・固定費だけが積み上がる
  • パターンC 特例の期限や条件を知らず、あとで「使えなかった」と判明

この3つは、「先に少しだけ整える」だけで回避しやすいです。次章から、最短ルートを順に整理します。


2. まず最初の48時間:最低限の管理チェック

空き家は、住んでいないだけで傷みが早く進みます。まずは「事故と近隣トラブル」を防ぐための最低限からでOKです。

  • 防犯 施錠、窓・勝手口の破損チェック、郵便物の滞留を止める
  • 水回り 漏水・異臭の確認(長期不在は要注意)
  • 外回り 雑草・樹木・ゴミ(苦情が出やすい)
  • 火災 ブレーカー・ガス元栓(状況により管理会社と相談)
  • 記録 写真を撮る(劣化・被害・修繕判断の材料になります)

コツ
「毎週行く」より「月1回でも必ず行う」ほうが効果的です。遠方なら、地域の管理サービスや不動産会社に“見回りだけ”を頼むのも現実的です。


3. 放置のリスク:行政からの指導と税負担が増える流れ

空き家は、状態が悪化すると行政からの働きかけが入りやすくなります。法律上、自治体は所有者等に対して助言・指導・勧告・命令などの措置を行え、状況によっては代執行もあり得ます。

(イメージ)
助言・指導
  ↓
勧告(ここが分岐点になりやすい)
  ↓
命令
  ↓
代執行(自治体が除却等を行い、費用請求の可能性)

近年は「特定空家等」だけでなく、放置すれば悪化する段階の管理不全空家等も位置づけられ、早い段階から是正を促す運用が進んでいます。

さらに現実的な痛手になりやすいのが、勧告を受けると住宅用地の特例が外れて税負担が重くなる点です。一般に「固定資産税が6倍」と言われるのは、この特例(課税標準の軽減)が外れることで負担が増え得る、という意味合いです。


4. 選択肢の比較:売却/賃貸/解体/保有(どれが向く?)

選択肢 向いているケース 注意点(損が出やすい所)
売却 使う予定がない/維持が負担/相続人で公平に分けたい 共有の合意・片付け・境界などで止まりやすい
賃貸 立地が良い/家が比較的きれい/収益化したい 管理と修繕が長期化(共有だと運用ルール必須)
解体 倒壊リスク/活用困難/更地で売る方が動きやすい 解体後に税負担が増える場合、補助金・届出が絡む
保有 将来使う予定/親族が戻る可能性/売り時を待ちたい 管理コスト・固定費・近隣リスクが継続

迷うときは、「半年だけ保有して考える」ではなく、“半年後に売却か賃貸かを決める”というように期限を決めると、損が膨らみにくいです。


5. 売却で損しない:価格より先に「権利と状態」を整える

空き家売却は、値段の前にまず「売れる状態」にするのが近道です。

  • 権利 共有なら、売る方針と分配方法(換価分割など)を先に合意
  • 状態 最低限の片付け(内覧ができるライン)
  • 書類 固定資産税の資料、境界資料、建築図面など“ある分だけ”集める
  • 査定 1社だけで決めず、複数社で相場感(価格の幅)を確認

ポイント
「片付けが無理だから売れない」ではありません。
ただ、片付けゼロだと買い手の不安が増えやすいので、優先度は危険物・生ごみ・貴重品・書類の順でOKです。


6. 解体で損しない:やる前に確認したい“3つの落とし穴”

  • 落とし穴1 解体後、住宅用地の軽減がなくなり税負担が増えることがある
  • 落とし穴2 境界が曖昧だと更地売却で揉めやすい(測量の要否)
  • 落とし穴3 補助金・届出・近隣対応(工期・騒音・粉じん)を見落とす

解体は「危険を止める」には有効ですが、税金や売却戦略とセットで考えると失敗しにくいです。
特に、自治体からの指導が入っている場合は、改善(修繕)と解体のどちらが合理的か、早めに整理しましょう。


7. 空き家の特例(3,000万円控除など):使えるかの考え方

相続した空き家を売ったとき、条件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円(相続人が3人以上など一定の場合は1人あたり2,000万円)を控除できる特例があります。
大きな制度なので、売却を視野に入れたら「最初に」可能性を確認するのがおすすめです。

(1)ざっくり要件チェック(初心者向け)
  • 住まい 亡くなった方が主に住んでいた家(同居者の有無などがポイント)
  • 期限 相続開始から一定期間内の譲渡(「いつ売るか」が重要)
  • 状態 耐震基準を満たすようにする、または取り壊す等の要件(取引形態で整理)
  • 書類 市区町村の被相続人居住用家屋等確認書が必要

よくある誤解
「売れば自動的に控除される」わけではありません。
確認書の取得確定申告がセットです。売却が決まったら、物件所在地の市区町村で確認書の手続きを早めに確認しましょう。

(2)老人ホーム入所だった場合も“対象になり得る”

被相続人が相続開始直前に老人ホーム等へ入所していた場合でも、一定の要件を満たせば特例の対象になり得ます。
「実家は空き家だけど、住んでいなかったから無理」と決めつけず、入所の経緯や家の利用状況を整理して判断するのが安全です。


8. そのまま使えるチェックリスト(家族会議用)

  • 共有 相続人は誰?共有になる?意思決定の窓口は誰?
  • 管理 見回り頻度/鍵/郵便物/草木/防犯をどう回す?
  • 費用 固定費(税金・保険・光熱)を誰がいつ精算する?
  • 方針 売却・賃貸・解体・保有の“第一候補”は?期限は?
  • 特例 空き家特例の可能性がある?確認書が必要?
  • 不安 近隣からの苦情、倒壊・漏水など緊急時の対応窓口は?

9. まとめ:迷ったら“期限を切って”最小損で動く

  • 最優先 まず管理(事故・苦情・劣化を止める)
  • 次に 共有と運用(誰が決めるか・誰が払うか)を決める
  • その次 売却/賃貸/解体の方針を「期限付き」で決定
  • 最後に 税金(特例)を見立て、使える可能性を早めに確認

空き家相続で損をしないコツは、「大きな決断」よりも、先に小さな整理をして、期限を切って動くことです。
管理と共有の整理ができるだけで、売却も賃貸も解体も、現実的な選択肢になっていきます。


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