法務局の相続関係説明図の作り方|押さえるべき書式と差戻しポイント

結論:法務局の「相続関係説明図」は、戸籍の束を“読みやすい家系図”に整理して、登記官が一目で相続人を判定できる形にした書類です。
差戻しを防ぐコツは、①被相続人の表示(死亡日・最後の住所)②相続人全員の表示(続柄・生年月日・住所)③戸籍で読める事実と図の内容が一致の3点を押さえること。
そして実務では、“書式の型”よりも“欠落しやすい情報”を埋める方が重要です。

この記事では、相続関係説明図の作り方を、最低限の書式差戻しポイント中心に、初心者向けに分かりやすく解説します。

※案件の類型(代襲・養子・再婚・数次相続など)で記載内容が変わります。提出先の法務局の案内がある場合はそれを優先してください。

相続関係説明図とは?法定相続情報一覧図との違い

似た名前の書類に「法定相続情報一覧図」があります。混同しやすいので、まず整理します。

書類 用途 特徴
相続関係説明図 登記申請の添付書類として提出 申請書に添付する“説明図”。作成は自由度が高いが、整合が重要
法定相続情報一覧図 法務局で「認証」された一覧図を発行してもらう制度 複数窓口で使い回ししやすい。申出の手続きが別途必要

実務の感覚:登記だけなら相続関係説明図で十分な場面が多い一方、銀行や証券など複数手続きがあるなら法定相続情報も検討価値があります。

作成前にやること:戸籍の束から相続人を確定する

相続関係説明図は「家系図」ですが、想像で書くのはNGです。戸籍で読める事実に基づいて作ります。

最低限そろえる戸籍(基本)

  • 被相続人:出生~死亡まで(除籍・改製原戸籍含む)
  • 相続人:現在戸籍(必要に応じて)
  • 代襲がある場合:代襲者の戸籍(親子関係が分かるもの)

ここで詰まるのが「戸籍以外」の追加書類です。不動産で住所がつながらないときは、除票・附票が必要になることがあります(後半で解説します)。

押さえるべき書式:最低限の“必須記載”

相続関係説明図は書式自由ですが、次の情報が抜けると差戻しになりやすいです。

必須記載(実務)

  • 被相続人:氏名・生年月日・死亡日(できれば最後の住所も)
  • 相続人全員:氏名・続柄・生年月日(住所は求められることが多い)
  • 関係線:婚姻・親子(実子/養子)・代襲の関係が誤解なく分かる線
  • 相続人以外の重要情報:先に亡くなっている子(代襲の起点)、離婚・再婚など
  • 作成日・作成者:申請人(または代理人)の氏名

実務のコツ:住所は「登記簿とつながるか」の観点で重要です。登記簿住所が古い場合、説明図だけでなく除票・附票が鍵になります。

書き方の手順:家系図を迷わず作る5ステップ

STEP やること ポイント
1 被相続人を中央(上段)に置く 「誰の相続か」が一目で分かる配置に
2 配偶者の有無(婚姻関係)を確定し、横に配置 離婚・再婚がある場合は整理して書く
3 子の有無(実子・養子)を戸籍で確定し、下段に配置 先に亡くなった子がいれば「死亡日」を入れると代襲が分かりやすい
4 代襲相続(孫)・兄弟姉妹相続(甥姪)を必要に応じて追加 代襲の起点(誰の子か)を線で明確に
5 相続人全員の住所・生年月日を入れて完成 戸籍・住民票と表記がズレないよう統一

(参考)情報の書き方の型

被相続人 山田太郎(S30.1.1生 R8.4.1死亡)
住所:東京都○○区○○・・・(最後の住所)

配偶者 山田花子(S32.2.2生)

子 山田一郎(S55.3.3生)
子 山田二郎(S57.4.4生)
(※子が死亡している場合:山田三郎(S60.5.5生 R7.12.1死亡)→代襲:孫○○)

※上記は“イメージ”です。実際は戸籍の表記・元号・旧字などを合わせると差戻しが減ります。

差戻しポイント(多い順):ここが抜けると止まる

差戻し・補正が多いポイント

  1. 相続人が一部抜けている(前婚の子、認知、養子など)
  2. 代襲の関係が分からない(誰の子として代襲しているのか曖昧)
  3. 死亡日の記載漏れ(被相続人/代襲の起点となる子)
  4. 氏名の表記ゆれ(戸籍と説明図で旧字・略字が違う)
  5. 住所の不足(登記簿の住所とつながらず本人特定が弱い)
  6. 離婚・再婚の整理が不十分で、配偶者関係が誤解される
  7. 数次相続があるのに、どの時点の相続かが分かりにくい

実務のコツ:差戻しを防ぐには、「戸籍で読める事実だけを書く」ことと、「読み手(登記官)が迷うポイントに注釈を入れる」ことが効きます。

よくあるパターン別:代襲・再婚・養子・数次相続の書き方の考え方

(1)代襲(孫が相続人)

  • 起点となる子に「死亡日」を入れる
  • 孫は「(代襲)」と注釈し、親子線を明確に

(2)再婚・前婚の子

  • 配偶者の婚姻関係を整理(前配偶者は相続人でないが、子は相続人になり得る)
  • 子は婚姻に関係なく被相続人の子として漏れなく記載

(3)養子

  • 戸籍上の親子関係に従い記載(必要なら「養子」と注釈)
  • 実子・養子の区別が必要な案件は、提出先に求められる範囲で明確化

(4)数次相続(相続が続けて起きる)

  • 「誰の相続の説明図か」を冒頭で明確にする
  • 必要に応じて説明図を分ける(提出先の指示があれば優先)

戸籍との整合:図に書けるのは“戸籍で読める事実”

相続関係説明図は、勝手に推測して書くと危険です。登記官は戸籍で確認できない情報を前提にしません。

整合チェックの観点

  • 氏名(旧字・略字)
  • 生年月日
  • 死亡日
  • 親子関係(誰の子か)
  • 婚姻関係(配偶者の位置づけ)

実務のコツ:戸籍の読み取りに自信がない箇所(改製原戸籍や古い除籍)は、先に専門家へ確認すると、差戻しによるタイムロスを減らせます。

提出時の実務:原本還付・綴り方・チェック

最後に「提出の作法」です。ここでも差戻しが起きます。

提出実務で押さえること

  • 説明図はA4で見やすく(手書きでも可だが読みやすさ優先)
  • 戸籍一式は順番固定(出生→婚姻→死亡など、連続性が分かる並べ方)
  • 原本還付を希望する書類がある場合は、所定の方法で対応
  • 補正連絡に備えて、連絡先(電話)を申請書に正確に

原本還付は提出先のルール次第ですが、コピーの質と順番が悪いと還付以前に補正になります。原本還付の記事(内部リンク)も併せて確認すると安心です。

チェックリスト:提出前の最終確認

  1. 被相続人の氏名・生年月日・死亡日がある
  2. 相続人全員が漏れなく記載されている
  3. 代襲がある場合、起点となる死亡の記載がある
  4. 氏名の旧字・略字が戸籍と一致している
  5. 生年月日が全員分ある
  6. 住所(必要範囲)が入っている
  7. 関係線(婚姻・親子)が誤解なく分かる
  8. 数次相続など複雑な場合、どの相続の図か明確
  9. 戸籍の束と説明図の内容が一致している
  10. 作成者(申請人)と作成日が入っている

Q&A:手書きでもOK?相続人が多いときは?

Q1. 手書きでも提出できますか?

一般には手書きでも可能ですが、読みやすさが最優先です。相続人が多い場合や複雑な場合は、PC作成の方が差戻しリスクが下がります。

Q2. 相続人が多くて図が複雑になります。

まず戸籍で確定した相続人を漏れなく並べ、代襲や数次相続など“迷うポイント”に注釈を入れると読みやすくなります。必要に応じて図を分ける判断も有効です。

Q3. 住所がつながらず不動産で止まりそうです。

相続関係説明図だけで解決できないことがあります。除票・附票で住所履歴をつなぐのが定石なので、先に登記簿の住所と最後の住所を確認し、必要書類を揃えましょう。

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