【2026年対応】相続手続きの全体像:やることチェックリスト(期限順)
相続手続きは「やることが多すぎて、何から手をつければいいか分からない…」となりがちです。
結論としては、①期限が短い手続き(相続放棄など)→ ②財産の全体把握 → ③遺産分割 → ④名義変更や税金の順に並べると、驚くほど整理できます。
この記事では、2026年時点での制度(相続登記の義務化など)を踏まえ、「期限順チェックリスト」として全体像をやさしくまとめました。
※個別事情で優先順位が入れ替わることがあります。迷ったら「期限が短いもの」だけでも先に確認すると安心です。
目次
1. まず最初に:相続手続きは「3つのゴール」を決めると迷わない
相続は、最終的に「どこに着地させたいか」を先に決めると、手続きがスッと整理できます。
- ゴール①:借金が心配 → まず相続放棄・限定承認の検討(期限が短い)
- ゴール②:不動産をどうするか → 売る/住む/貸す/残すを早めに方向づけ
- ゴール③:揉めずに分けたい → 相続人と財産の全体像を先に可視化
どれに当てはまるかが分かるだけで、「今やるべきこと」が自然に見えてきます。
2. 【すぐ】死亡後すぐにやること(当日〜1週間の目安)
目安:当日〜1週間 相続の序盤は「大事な期限が始まる準備期間」です。落ち着ける範囲で、次を押さえます。
(A)最優先:期限カウントの起点を意識する
- 相続放棄などの期限は、一般に「亡くなったこと」と「自分が相続人だと分かったこと」を知った時点から意識します
- 借金があるかもしれないと感じたら、財産調査を急ぐ(通帳、郵便物、督促状、保証人関係など)
(B)情報を集める(まずは“箱”を作る)
- 死亡診断書(コピー)/健康保険証/年金手帳(基礎年金番号が分かるもの)
- 印鑑(実印・銀行印)/通帳・キャッシュカード
- 不動産の固定資産税の納税通知書・権利証(あれば)
- スマホ・パソコンのID/パスワードの手がかり(サブスクやネット銀行確認に有用)
(C)相続人の“あたり”を付ける
- 配偶者・子・親・兄弟姉妹など、家族関係をメモ(家系図のラフでOK)
- 再婚・養子・認知などがある場合は、早めに整理すると後がラクです
3. 【期限:14日目安】年金・健康保険などの手続き
目安:14日以内の手続きが多い この時期は「役所・年金・保険」の事務手続きがまとまって発生します。
- 年金の停止・未支給年金の請求、遺族年金の手続き
- 健康保険の資格喪失・葬祭費などの請求
- 介護保険、障害福祉サービス等の利用がある場合の届出
自治体・加入制度で必要書類が変わるため、最初は「窓口でチェックリストをもらう」感覚でも大丈夫です。
4. 【期限:3か月】相続放棄・限定承認(いちばん注意が必要)
期限:3か月(熟慮期間) ここは相続手続きの中でも特に重要で、間に合わないと選択肢が狭まりやすいポイントです。
(A)相続放棄を検討したい典型例
- 借金・保証人・未払いが心配(督促状が届く、事業の負債がある等)
- 遠方の不動産・山林など管理が難しい財産が多い
- 相続人間の関係が難しく、関与したくない
(B)「うっかり承認」になりやすい注意点
- 遺産を使ってしまう(預金を引き出して生活費に充てる等)と、判断が難しくなる場面があります
- 葬儀費用の支払い等は事情により評価が分かれうるため、心配なら早めに専門家へ相談すると安心です
(C)期限に間に合わないときの考え方
- 財産調査が間に合わない場合、家庭裁判所に期間伸長の申立てが検討されます
- 限定承認は相続人全員で進める必要があるため、現実にはハードルが上がることがあります
5. 【期限:4か月】準確定申告(必要な人だけ)
期限:4か月 亡くなった方に所得がある場合(事業・不動産収入・年金以外の収入など)、準確定申告が必要になることがあります。
- 該当しやすい例:個人事業主、不動産賃貸、株の売買が多い、医療費控除の対象が大きい等
- 必要かどうかの判断が難しいときは、税理士と一緒に整理すると早いです
6. 【期限:10か月】相続税申告(税金が心配なときの見取り図)
期限:10か月 相続税は「かかる人」と「かからない人」が分かれますが、判断には財産の棚卸しが必要です。
(A)まずやること:財産を“見える化”する
- 預貯金(ネット銀行も含む)
- 不動産(自宅・賃貸・土地)
- 有価証券(株・投信)
- 生命保険(受取人・非課税枠の確認)
- 負債(借入、未払金、葬儀費用など)
(B)不動産がある場合のコツ
- 評価(固定資産税評価額、路線価、倍率など)で税額が大きく動きやすい
- 売却予定があるなら、「いつ売るか」で使える特例や手続きの組み立てが変わることがあります
「税金がかかるかも」と感じたら、10か月ギリギリではなく、早めに方向づけるほど安心です。
7. 【期限:1年〜】遺留分・名義変更・“その後の手続き”
期限が短いものを乗り越えたら、次は「分け方の確定」と「名義の整理」に移ります。
(A)遺産分割協議(遺言がない/遺言で足りないとき)
- 相続人全員で合意して、誰が何を相続するか決めます
- 不動産が絡むと共有になりやすいので、売る・住む・貸すの方針を早めに確認できるとスムーズです
(B)遺留分(最低限の取り分)に関する期限
- 遺留分侵害額請求は、一般に「侵害を知った時から1年」など期限が意識されます
- 争いになりそうなら、感情がこじれる前に第三者を入れて整理すると負担が減りやすいです
(C)銀行・証券・保険の名義手続き
- 凍結解除には戸籍一式や遺産分割協議書等が必要になりやすい
- 2024年から戸籍の広域交付が始まり、戸籍収集の負担が軽くなる場面があります
8. 【期限:3年】相続登記(不動産の名義変更)は後回しにしない
期限:原則3年
2024年4月から、相続登記(不動産の名義変更)は義務化されています。
「売らないから後でいい」と思っていても、名義が整っていないと、売却・賃貸・担保設定などが止まりやすくなります。
(A)いつまでに必要?(2026年時点の整理)
- 相続で不動産を取得したことを知った日から、原則3年以内
- 2024年4月より前の相続で未登記の不動産も対象になり、経過措置の期限が設定されています(代表例:2027年3月末まで)
(B)分割がまとまらないときの“つなぎ”
- 事情により相続登記が進めにくい場合、簡易な申出で義務に対応する制度(相続人申告登記)が用意されています
- ただし、売却などの活用の場面では別途しっかりした登記が必要になることが多いため、「時間を稼ぐ制度」として理解しておくと安心です
9. まとめ:期限順チェックリスト(このままコピペでOK)
【0】まず最初(当日〜1週間)
- 家族関係メモ(相続人の候補)を作る
- 借金の気配チェック(督促・保証・ローン)
- 通帳・保険・不動産書類を「箱」に集める
【1】役所・制度手続き(〜14日目安)
- 年金、健康保険、介護保険等の手続き
- 葬祭費などの給付の確認
【2】いちばん重要(〜3か月)
- 相続放棄・限定承認の要否を判断(借金が心配なら最優先)
- 財産調査が間に合わない場合の「期間伸長」も視野に入れる
【3】必要な人だけ(〜4か月)
- 準確定申告(事業・不動産収入などがある場合)
【4】税金が絡む(〜10か月)
- 相続税の要否を判断するための棚卸し
- 必要なら税理士と評価・特例の確認
【5】分け方を確定(1年〜)
- 遺産分割協議(不動産があるなら方針を先に)
- 銀行・証券・保険の名義変更
- 遺留分が争点になりそうなら期限に注意
【6】不動産は期限あり(〜3年)
- 相続登記(名義変更)を計画的に進める
- 分割が難航する場合の“つなぎ”制度も検討
相続は「一気に全部」ではなく、期限順に“今日やること”を1つずつがいちばん確実です。
不安が強いときは、3か月・10か月・3年の期限だけでも一緒に整理すると、見通しが立ちやすくなります。
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