相続税がかかる人・かからない人:基礎控除から逆算する早見表(2026年対応)

結論から言うと、相続税がかかるかどうかは、まず「課税価格の合計(ざっくり:正味の遺産)」基礎控除を超えるかで一次判定できます。
基礎控除の式はシンプルで、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。

この記事では、難しい計算の前に、「だいたい税金がかかりそうか」を基礎控除から逆算できるよう、早見表とチェックリストにまとめました。
※注意:税額が0でも申告が必要になるケース(特例を使う場合など)があります。そこも一緒に整理します。


目次


1. まずはここだけ:相続税の“超基本”3行まとめ

  • 相続税がかかるかは、まず「課税価格の合計」が基礎控除を超えるかで大枠が見えます。
  • 基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
  • 超えなければ原則相続税の申告は不要、超えるなら申告・納税の可能性を検討します(ただし例外あり)。

2. 基礎控除の早見表(法定相続人の数から逆算)

基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
まずは、相続人の人数(法定相続人の数)を当てはめて、「ここまでは相続税がかかりにくいライン」を確認します。

法定相続人の数 基礎控除 一次判定(目安)
1人 3,600万円 正味の遺産が3,600万円以下なら、原則かからない
2人 4,200万円 正味の遺産が4,200万円以下なら、原則かからない
3人 4,800万円 正味の遺産が4,800万円以下なら、原則かからない
4人 5,400万円 正味の遺産が5,400万円以下なら、原則かからない
5人 6,000万円 正味の遺産が6,000万円以下なら、原則かからない
6人 6,600万円 正味の遺産が6,600万円以下なら、原則かからない

※ここでいう「正味の遺産」は、ざっくり言うと「財産-借金-葬式費用」等を反映したイメージです。次の章で、何を足して何を引くかを整理します。


3. ざっくり計算:何を足して、何を引けばいい?(課税価格の合計)

一次判定に使うために、完璧な評価をいきなり目指さなくて大丈夫です。まずは「足すもの/引くもの」を分けるだけで見通しが立ちます。

(A)まず足す:だいたいの財産の合計
  • 預貯金(ネット銀行も含む)
  • 不動産(自宅・土地・賃貸)
  • 有価証券(株・投信)
  • 生命保険金(課税対象になる分)
  • 退職金(課税対象になる分)
  • その他:車、金地金、貸付金など
(B)次に引く:借金・葬式費用など
  • 借入金、未払金(医療費・施設費など)
  • 葬式費用(一定範囲)
(C)さらに注意:非課税の財産もある

相続税は「すべてが課税」ではなく、典型的に次のような非課税枠があります。早見の段階で知っておくと、判断がブレにくいです。


4. “かからない”と勘違いしやすいポイント(保険・退職金・借金)

ポイント①:生命保険金には非課税枠がある(相続人が受け取る場合)

相続人が受け取る死亡保険金は、一定額まで非課税になる仕組みがあります。目安は
500万円×法定相続人の数です。
ただし、相続人以外が受け取る場合は、この非課税の適用がない点に注意が必要です。

ポイント②:退職金にも同じ考え方の非課税枠がある

退職手当金等も、一定額まで非課税になる枠があります(こちらも目安は500万円×法定相続人の数)。

ポイント③:借金があるなら“必ず引く”発想に

借金は「あるかないか」で結論が変わりやすい要素です。
通帳だけでなく、郵便物(督促・ローン明細)、信用情報、保証人関係なども確認できると安心です。


5. 税額が0でも申告が必要なことがある(配偶者控除・小規模宅地など)

ここがとても大事です。
基礎控除以下なら原則申告不要ですが、基礎控除を超える場合は、特例を使うことで税額が0になることがあります。
ただし多くの特例は、「申告してはじめて適用」となるため、税金が0でも申告が必要になり得ます。

  • 配偶者の税額軽減(配偶者が多く相続しても税負担が軽くなる代表例)
  • 小規模宅地等の特例(自宅や事業用の土地評価を下げる代表例)

「かからないと思って申告しなかったら、特例が使えず結果的に税金が出た」という事態を避けるため、基礎控除を少しでも超えそうなら、早めに“申告の要否”まで確認するのがおすすめです。


6. よくある質問:養子がいると基礎控除は増える?

法定相続人の数が増えると基礎控除も増えますが、相続税の計算上、法定相続人に含められる養子の人数には上限があります。

  • 被相続人に実子がいる場合:養子は1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合:養子は2人まで

「相続人の数の数え方」だけで結論が変わることがあるので、早見表を使う前に、ここは丁寧に確認できると安心です。


7. 今日からできるチェックリスト(10分で一次判定)

STEP1:法定相続人の数を数える
  • 配偶者+子(子がいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹)
  • 相続放棄があっても、基礎控除の人数は「放棄がなかったもの」として数える点に注意
  • 養子がいる場合は人数カウントの上限に注意
STEP2:基礎控除ラインを出す
  • 3,000万円+600万円×人数
STEP3:正味の遺産をざっくり出す
  • 預貯金+不動産+有価証券+(保険・退職金は非課税枠も意識)
  • 借金・葬式費用を引く
STEP4:基礎控除と比較する
  • 下回る:原則、相続税申告は不要(ただし個別例外あり)
  • 上回る:申告の可能性。特例の適用で税額が変わるので、早めに整理

「うちはギリギリかも…」という段階で一度整理しておくと、10か月の申告期限に追われにくくなります。


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