相続財産の調べ方:預貯金・不動産・株式・保険・借金の見つけ方

相続の手続きで最初につまずきやすいのが、「財産がどれだけあるのか分からない」問題です。
結論から言うと、相続財産の調査は“探し方の順番”さえ押さえれば、初心者でも進められます。

  • ① まず家の中 郵便物・通帳・保険証券・スマホの手がかりを集める
  • ② 次に照会 金融機関・証券会社・保険会社へ、相続人として問い合わせる
  • ③ 最後に負債 借金・保証・税金・未払いを“漏れなく”拾う

大事な注意点
相続放棄を検討している可能性がある場合、財産を勝手に処分したり使ったりすると不利になることがあります。
迷うときは、まず「調査」から始めて、判断が必要な場面は早めに専門家へ確認するのが安全です。


目次


1. まず全体像:相続財産の調査は「5分類」で考える

相続財産は、まず次の5つに分けると整理しやすいです。
(“プラスの財産”だけでなく、“マイナスの財産”も相続の対象になり得ます)

分類 代表例 手がかり
預貯金 銀行・ゆうちょ・ネット銀行 通帳、キャッシュカード、郵便物、スマホの銀行アプリ
不動産 土地・建物・マンション・持分 固定資産税の通知、権利証、登記簿、名寄帳
有価証券 株式・投信・NISA・国債 証券会社の郵便、取引報告書、ログイン情報、配当金の通知
保険 生命保険・医療保険・個人年金 保険証券、年1回の契約内容のお知らせ、口座引落の履歴
借金・未払い ローン・カード・保証・税金・家賃 督促、契約書、信用情報、固定資産税以外の納付書

2. 図解イメージ:見つける順番(家→照会→負債)

【相続財産調査の流れ(イメージ)】

(1) 家の中で手がかり集め
   ├ 郵便物・通帳・証券/保険の書類・スマホ
   └ 固定資産税/納付書・ローン明細

(2) “当たり”を付けた先へ照会
   ├ 銀行:残高証明・取引明細
   ├ 証券:残高報告・保有銘柄
   └ 保険:契約照会・死亡保険金請求

(3) 負債の洗い出し(最後に必ず)
   ├ 借入・保証・カード
   └ 税金・未払い・訴訟/請求

→ まとめ:財産目録(一覧表)に落とす

この順番にする理由は、最初に手がかりを集めないと、照会先が増えすぎて疲れてしまうからです。
また、負債は「怖いから後回し」にされがちですが、判断期限(相続放棄など)にも関わるので、必ず早めに着手します。


3. 最初にやること:家の中の“手がかり”チェック

まずは、次の3か所を優先して確認します。短時間でも成果が出やすい場所です。

  • 郵便物 銀行・証券・保険・カード・税金の封筒(直近1年分が特に重要)
  • 財布・通帳入れ キャッシュカード、クレカ、金融機関のメモ
  • スマホ・PC 銀行/証券アプリ、メール(「ご利用明細」「取引報告」等のキーワード検索)

見つけたらすぐ“メモ”
・金融機関名、支店名(またはネット銀行名)
・口座種別(普通/定期)、口座番号の下4桁
・郵便物に記載の「お客様番号」「契約番号」
これだけ控えると、後の照会が一気に楽になります。


4. 預貯金の見つけ方(通帳がない・ネット銀行も含む)

(1)まずは“銀行名が分かる”情報を集める
  • 通帳・キャッシュカード・銀行の郵便物(残高通知、手数料改定、住所変更案内など)
  • 年金の振込先の記載(年金関係の通知)
  • 公共料金や保険料の引落(通帳がない場合は、請求書・口座振替の控え)
(2)次に銀行へ「相続手続きの開始」を連絡する

銀行は、相続の連絡が入ると口座が凍結(払戻し制限)されることがあります。
ただし、放置しても勝手に解約できるわけではないので、「調査→手続き」の順で動けば大丈夫です。

(3)通帳がないときの現実策
  • 郵便物から特定 まず銀行名を割り出す
  • スマホから特定 銀行アプリ・パスワード管理アプリ・SMS認証の履歴
  • 入出金の痕跡 他口座の通帳に「振込先」として銀行名が残っていることがあります

照会でよく使う書類(目安)
被相続人の戸籍(死亡の記載があるもの等)、相続人の本人確認、相続関係が分かる資料(戸籍一式や法定相続情報一覧図)など。
※銀行ごとに細かい指定があるので、まずは「相続窓口」に確認するとスムーズです。


5. 不動産の見つけ方(固定資産税から逆引き)

不動産は、通帳のように“一覧”で残っていないことが多いので、手がかりを固定します。

(1)一番強い手がかり:固定資産税の通知書
  • 毎年届く「固定資産税 納税通知書」「課税明細書」に、所在地や評価額が載ります
  • 土地・建物が複数ある場合、ここが最短の一覧になります
(2)通知が見当たらない場合
  • 権利証 登記識別情報通知(いわゆる権利証)
  • 登記簿 登記事項証明書を取得して名義や所在地を確認
  • 名寄帳 市区町村で「名寄帳(名寄せ)」を取ると、同一市区町村内の所有不動産が一覧化されることがあります

注意点
名寄帳は「その自治体の課税対象になる不動産」が中心です。
他市区町村に不動産がある場合は、自治体ごとに確認が必要になります。


6. 株式・投信・NISAの見つけ方(証券会社を特定する)

株式や投資信託は、「どの証券会社を使っていたか」が分かると一気に進みます。

(1)手がかりになりやすいもの
  • 取引報告書 「取引残高報告書」「年間取引報告書」など
  • 配当金通知 配当金の支払通知書、株主関係書類
  • ログイン痕跡 証券アプリ、メール(件名に「約定」「出金」「二要素認証」など)
  • 口座引落 証券会社への入金・積立の引落が通帳に残っている
(2)NISAがある場合のヒント

NISA口座は金融機関(銀行/証券)で開設されています。
積立の引落先、口座開設時の郵便物、ログイン情報が突破口になりやすいです。

(3)証券が見つかったら「残高の確定」へ

最終的には、亡くなった日時点の保有状況(銘柄・数量・評価など)を確定し、相続手続きに進みます。
株式は評価が動くので、調査段階ではまず「有無」と「口座先の特定」を優先すると疲れにくいです。


7. 生命保険の見つけ方(請求漏れが多いポイント)

生命保険は、見つかりさえすれば手続きが進めやすい一方、請求漏れが起きやすい分野です。

(1)まず探す場所
  • 保険証券 いわゆる「保険証券」「契約内容のお知らせ」
  • 口座引落 通帳に保険会社名で定期的な引落がないか
  • 職場・団体 団体保険、共済、勤務先の制度
(2)「受取人」が誰かは必ず確認

死亡保険金は、契約内容によっては遺産分割の対象外として扱われることがあります(受取人固有の財産として整理されるケース)。
ただし、相続税の課税関係が絡むこともあるため、受取人・保険金額・契約形態は一覧化しておくと安心です。


8. 借金・保証・未払いの見つけ方(怖いのは“見えない負債”)

借金調査で大事なのは、「ローン」だけではなく、保証カード未払いまで広げることです。

(1)まずは“見える負債”を拾う
  • ローン 住宅ローン、車、リフォーム、事業性
  • カード クレカ、キャッシング、リボ
  • 未払い 家賃、施設費、医療費、税金、公共料金
(2)見えない負債:保証人・連帯保証

本人が借りていなくても、保証人になっていると請求が来ることがあります。
契約書類や郵便物に「保証」「連帯保証」の文言がないかを確認します。

(3)信用情報の確認(必要な場合)

借金の全体像がどうしても分からないときは、信用情報の開示が役立つことがあります(対象・手続きには条件があります)。
相続放棄の判断期限が迫っているときほど、「どこまで調べるか」を先に決めて動くのが安全です。


9. 財産目録の作り方(家族で揉めない見える化)

見つけた情報は、必ず財産目録(一覧表)にまとめます。ここをやるだけで、話し合いが驚くほど進めやすくなります。

項目 書き方(例) メモ
預貯金 ○○銀行△△支店 普通 口座末尾1234 残高○円(基準日) 残高証明の取得状況も書く
不動産 ○県○市○町… 土地○筆/建物○棟(登記簿取得済) 固定資産評価額も控える
株式等 ○○証券 口座あり/保有銘柄確認中 まず「有無」を確定
保険 ○○生命 契約番号… 受取人:配偶者 保険金○円 受取人・請求状況
負債 ○○銀行ローン 残債○円/カード○社 督促の有無、保証の有無

家族に共有するときのコツ
「見つかったもの」だけでなく、“調査中”の項目も書くと、不信感が出にくくなります。
例:○○銀行は照会中/証券は会社名特定中 など


10. すぐ使えるチェックリスト(1日目〜1週間でやること)

(1日目)まず“手がかり”を集める
  • 郵便 銀行・証券・保険・カード・税金の封筒を一か所に集めた
  • 通帳 通帳・カード・メモ(支店名/暗証番号メモは扱い注意)を確認した
  • スマホ 銀行/証券/保険アプリ、メール検索をした
  • 不動産 固定資産税の通知(課税明細)を探した
(3日目まで)照会先を絞って問い合わせ準備
  • 銀行 口座がありそうな金融機関をリスト化した
  • 証券 証券会社名(または取引報告書)を特定した
  • 保険 保険会社名・契約番号・受取人を控えた
  • 負債 ローン・カード・督促の有無を確認した
(1週間以内)一覧表にまとめ、期限のある判断へ
  • 目録 財産目録(一覧表)を作成した
  • 負債 借金・保証の疑いがあるものを洗い出した
  • 期限 相続放棄など、期限がある判断が必要か検討した

相続財産の調査は、「全部を完璧に見つける」より、漏れやすい場所を先に押さえるほうが成功します。
不安が強いときほど、まずは“手がかり集め → 照会 → 目録”の3段階で、淡々と進めてみてください。


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