【最新版】障害児のための「使える制度」一覧|2026年度版
目次
障害児のための制度:全体像と「使える順番」
障害のある子どもを育てる家庭には、医療費の助成・福祉サービスの提供・経済的な手当・教育支援など、さまざまな制度が用意されています。しかし「何から手をつければいいか」「どこに申請すればいいか」がわかりにくいという声がよく聞かれます。
この記事では2026年度時点の情報をもとに、障害児が使える主な制度を分野別に整理しています。制度の詳細・金額・要件は自治体によって異なるため、必ずお住まいの市区町村窓口でご確認ください。
① 相談窓口に連絡する:市区町村の障害福祉担当課・基幹相談支援センターに相談して全体像を把握する
② 障害者手帳を申請する:手帳の種類に応じて各種サービス・割引・手当の対象になる
③ 障害児通所支援(放課後等デイサービス等)の申請:最も早く日常生活に影響する支援
④ 医療費助成・手当の申請:経済的な負担を軽減する
⑤ 将来の備え(親なき後)の準備:遺言・家族信託・成年後見の検討
障害者手帳の3種類、障害児通所支援(放課後等デイサービス・児童発達支援)、入所支援・ショートステイ、医療費助成(小児慢性特定疾病・自立支援医療)、経済的支援(手当・給付金)、教育支援、相談窓口、親なき後への法的な備えまで解説しています。
障害者手帳:3種類の違いと申請方法
障害者手帳は3種類あり、障害の種類によって申請する手帳が異なります。手帳を取得することで各種福祉サービス・医療費助成・交通費割引・手当等が利用できるようになります。
| 手帳の種類 | 対象 | 等級 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 視覚・聴覚・肢体・内部等の身体に永続的な障害がある方 | 1〜6級(1級が最重度) | 市区町村の障害福祉担当課 |
| 療育手帳 (愛の手帳等) |
知的障害のある方(児童相談所または知的障害者更生相談所の判定が必要) | A(重度)・B(中軽度)等(自治体によって区分が異なる) | 市区町村の障害福祉担当課経由で申請→児童相談所で判定 |
| 精神障害者 保健福祉手帳 |
精神疾患(統合失調症・うつ病・発達障害・てんかん等)による生活上の障害がある方(初診から6か月以上経過が必要) | 1〜3級(1級が最重度) | 市区町村の障害福祉担当課または保健センター |
発達障害は「身体」でも「知的」でもなく、精神障害者保健福祉手帳の申請対象になります。ただし知的障害を併せ持つ場合は療育手帳を取得できる場合があります。かかりつけの医師・市区町村窓口に相談してください。
障害児通所支援:放課後等デイサービス・児童発達支援
障害のある子どもが利用できる通所支援は、年齢・状況によっていくつかの種類があります。日常生活の中で最も活用頻度が高い支援です。
| 児童発達支援 |
対象:未就学の障害のある子ども(0〜6歳) 内容:日常生活の基本的動作の習得・集団生活への適応のための支援・療育。専門的なスタッフが発達を促す活動を行う 利用負担:原則1割(所得に応じた月額上限あり。低所得世帯は無償または低額) |
|---|---|
| 放課後等 デイサービス |
対象:就学中の障害のある子ども(小学生〜高校生相当) 内容:放課後・休日・長期休暇中に生活能力向上のための訓練・社会との交流・余暇活動等を提供する。共働き家庭の「放課後の受け皿」としても機能 利用負担:原則1割(所得に応じた月額上限あり) |
| 保育所等 訪問支援 |
対象:保育所・幼稚園・小学校等に通う障害のある子ども 内容:専門のスタッフが保育所等を訪問して、集団生活への適応のための支援を行う |
| 居宅訪問型 児童発達支援 |
対象:外出が著しく困難な重度障害のある未就学児 内容:自宅への訪問による発達支援 |
申請の流れ
② 「障害児支援利用計画」を相談支援事業所(または保護者自身がセルフプランとして)作成する
③ 市区町村が利用量(支給量)を決定する
④ 利用する事業所と契約してサービス開始
注意:人気の事業所は空き待ちが生じることがあります。早めの申請と複数事業所への見学が重要です。
障害児入所支援・短期入所(ショートステイ)
| 障害児入所支援 (福祉型・医療型) |
施設に入所して日常生活の支援・学習・療育を受ける制度。福祉型(日常生活支援・療育中心)と医療型(医療的ケアが必要な場合)の2種類がある。申請先:児童相談所 |
|---|---|
| 短期入所 (ショートステイ) |
介護者(保護者)が病気・冠婚葬祭・育児疲れ等で一時的に介護できない場合に、施設に短期間入所して支援を受ける。介護者のレスパイト(休息)としても重要な制度。申請先:市区町村の障害福祉担当課 |
| 日中一時支援 | 昼間の一時的な預かり支援。保護者の就労・休息等を目的として日中に子どもを預かってもらえる。実施の有無は市区町村によって異なる |
いざという時にすぐ使えるよう、保護者の体力が元気なうちに事前に利用登録・体験利用をしておくことをおすすめします。突然の入院等の緊急時に慌てずに対応できます。
医療費の助成制度:小児慢性特定疾病・自立支援医療
| 小児慢性特定 疾病医療費 助成制度 |
対象:18歳未満(一定条件で20歳まで延長可)で指定の疾病(788疾病・2024年時点)がある子ども 内容:指定医療機関での医療費の自己負担を軽減。所得に応じた月額上限を超えた分が助成される 申請先:都道府県・政令市・中核市の担当窓口(市区町村ではない点に注意) |
|---|---|
| 自立支援医療 (育成医療) |
対象:18歳未満で身体に障害がある(または将来障害が生じる可能性がある)子ども 内容:手術等の治療で障害を除去・軽減することが見込まれる医療費を助成。自己負担は原則1割(所得に応じた上限あり) 申請先:市区町村の障害福祉担当課 |
| 自立支援医療 (精神通院医療) |
対象:精神疾患(発達障害・てんかん等を含む)で継続的な通院治療が必要な方 内容:精神科・心療内科への通院医療費の自己負担を原則1割に軽減 申請先:市区町村の障害福祉担当課または保健センター |
| 子ども医療費 助成制度 (自治体独自) |
市区町村・都道府県が独自に実施する医療費助成。助成の対象年齢・所得制限・自己負担の有無は自治体によって大きく異なるため、お住まいの市区町村窓口で確認してください |
診断がついたら早めに申請することで、医療費の自己負担が大幅に減ります。かかりつけの医師・相談支援事業所・市区町村窓口に申請方法を確認してください。
経済的支援:手当・給付金の一覧
障害のある子どもを育てる家庭への経済的な支援制度を整理します。申請していないと受け取れないものがほとんどのため、全て確認することをおすすめします。
| 制度名 | 対象・金額の目安(2026年度) | 申請先 |
|---|---|---|
| 特別児童扶養手当 |
20歳未満の中度以上の障害がある子どもを養育する保護者への手当 1級(重度):月額約5万5,000円 2級(中度):月額約3万7,000円 ※ 所得制限あり。金額は毎年改定 |
市区町村の障害福祉担当課 |
| 障害児福祉手当 |
20歳未満の重度障害がある方で日常生活に常時介護が必要な方 月額約1万5,000円程度 ※ 施設入所者は対象外。所得制限あり |
市区町村の障害福祉担当課 |
| 児童扶養手当 (ひとり親家庭) |
ひとり親家庭で障害のある子どもを育てる場合に受給できることがある。所得制限あり | 市区町村の子育て支援担当課 |
| 特別支援教育就学 奨励費 |
特別支援学校・特別支援学級に通う子どもの保護者への学用品費・給食費・交通費等の援助。所得に応じた支給 | 在籍する学校または教育委員会 |
| 補装具費の支給 | 車椅子・補聴器・義肢等の補装具の購入・修理費用の助成(原則1割負担) | 市区町村の障害福祉担当課 |
| 日常生活用具の 給付 |
障害の種類・程度に応じた日常生活用具(入浴補助用具・意思疎通支援機器等)の給付(原則1割負担) | 市区町村の障害福祉担当課 |
| 交通機関の 割引 |
鉄道・バス・タクシー・航空機等の運賃割引。手帳の種類・等級によって割引率が異なる | 手帳取得後に各交通機関で手続き |
障害者手帳がなくても申請できる場合があります。「うちの子は手帳がないから対象外」と思っていても、医師の診断書で申請できるケースがあります。市区町村の窓口に確認してください。
教育に関する支援:特別支援教育・就学相談
障害のある子どもの教育については、子どもの状況に応じた多様な学びの場が用意されています。
| 通常学級 (合理的配慮) |
障害のある子どもが通常の学級に在籍する場合、学校・教育委員会は合理的配慮(試験時間の延長・座席の配慮・補助機器の使用等)を提供する義務がある(2016年・障害者差別解消法) |
|---|---|
| 通級指導教室 | 通常学級に在籍しながら、週に数時間だけ「通級指導教室」で個別の特別支援を受ける。言語障害・発達障害等に対応 |
| 特別支援学級 | 通常の小・中学校内に設置された少人数の学級。知的障害・肢体不自由・情緒障害等の種別ごとに設置される |
| 特別支援学校 | 障害のある子どもが通う専門の学校。幼稚部・小学部・中学部・高等部がある。重度の障害がある場合や医療的ケアが必要な場合に選択される |
就学相談の流れ
① 就学年度の前年(多くは年中〜年長)に市区町村教育委員会に就学相談を申し込む
② 専門家による検査・面談・医療機関の意見等をもとに就学先を検討する
③ 保護者の意向を尊重しながら就学先を決定する(最終的な決定権は保護者にある)
⚠️ 就学相談は就学の半年〜1年前から準備を始めることをおすすめします。
相談窓口:どこに連絡すればいいか
「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、以下の窓口のどこに連絡しても適切な機関につないでもらえます。
| 市区町村の 障害福祉担当課 |
手帳・手当・サービスの申請窓口。「まず何から始めればいいか」という相談に対応してくれる |
|---|---|
| 基幹相談支援 センター |
地域の相談支援の中核。複雑な事例・複数機関にまたがる問題に専門的に対応する |
| 障害者生活 支援センター (相談支援事業所) |
個別の相談・サービス等利用計画の作成・モニタリングを担う。日常的な支援機関として関係を続けやすい |
| 児童相談所 | 療育手帳の判定・障害児入所施設への入所・虐待相談等。18歳未満の子どもに関する専門機関 |
| 発達障害者 支援センター |
発達障害のある方とその家族を対象とした専門的な支援機関。都道府県・政令市ごとに設置 |
親なき後への備え:相続・後見・信託との関係
障害のある子を育てる親にとって避けて通れない問題が、「自分が亡くなった後、子どもの生活と財産をどう守るか」という「親なき後」問題です。
| 遺言書の作成 | 障害のある子への財産の配分を明記する。公正証書遺言が最も確実。遺言執行者を指定しておくと手続きがスムーズ。遺留分にも注意して設計する |
|---|---|
| 家族信託 | 信頼できる兄弟姉妹等を「受託者」として財産管理を委ねる仕組み。親が亡くなった後も受託者が障害のある子のために財産を管理・活用できる。グループホームの費用・医療費等に充当できる |
| 成年後見制度 | 子ども自身の判断能力が不十分な場合、成年後見人が財産管理・身上監護を行う。相続手続きに参加できない場合は後見人の選任が必要。費用助成制度(成年後見制度利用支援事業)あり |
| 生命保険の 受取人指定 |
障害のある子を受取人に指定することで遺産分割協議なしに財産を渡せる。ただし受取人自身の判断能力に問題がある場合は後見人が受け取る形になる |
基幹相談支援センター・障害者生活支援センターでグループホームの確保・サービスの継続という福祉的な準備を進めながら、行政書士・司法書士等の専門家で遺言書・家族信託・成年後見という法的な準備を同時に行うことが、子どもの将来を守る最も包括的な対策です。
知的障害・精神障害等により判断能力が不十分な方は遺産分割協議に参加できません。成年後見人の選任が必要になるため、相続発生前から準備しておくことが重要です。
よくある疑問(Q&A)
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