【やさしく解説】障害年金を受け取りたい|最もつまずくポイントとコツを徹底解説
目次
障害年金とは:2種類の制度の違いから理解する
障害年金は病気やけがによって日常生活や仕事に支障が生じた場合に受け取れる公的年金です。老齢年金と違って、受給開始に年齢制限はなく、20歳以降に初診を受けた障害であれば働いている年齢でも受け取ることができます。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、初診日に加入していた年金制度によってどちらを申請するかが決まります。
| 障害基礎年金 | 障害厚生年金 | |
|---|---|---|
| 対象者 | 初診日に国民年金加入者・20歳前発症・60〜65歳の任意加入者 | 初診日に厚生年金(会社員・公務員等)加入者 |
| 等級 | 1級・2級 | 1級・2級・3級(障害基礎にはない) |
| 年金額 (目安・2026年度) |
1級:約102万円/年 2級:約81万円/年 ※子の加算あり |
1・2級:障害基礎年金に上乗せ 3級:約60万円/年(最低保障額) ※報酬比例部分で変動 |
| 申請先 | 市区町村の国民年金担当窓口 | 年金事務所 |
受給のための3つの要件、最もつまずく4つのポイント(初診日の特定・納付要件・診断書・申立書)、受給できる金額の目安、申請の手順、不支給時の対応まで解説しています。
受給のための3つの要件:ここが最初のチェックポイント
障害年金を受け取るためには、3つの要件を全て満たす必要があります。1つでも満たさない場合は受給できないため、まずここから確認してください。
| 要件① 初診日要件 |
障害の原因となった病気・けがで初めて医療機関を受診した日(初診日)が特定できること。初診日の特定と証明が最も難しいポイントの一つ(Section 2参照) |
|---|---|
| 要件② 保険料納付要件 |
初診日の前々月までの保険料納付状況が一定の基準を満たしていること。未納があると受給できない場合がある(Section 3参照) |
| 要件③ 障害状態要件 |
障害認定日(初診日から1年6か月経過後)または請求日時点で、障害年金の等級に該当する程度の障害状態にあること。診断書で証明する(Section 4参照) |
20歳前に初診日がある先天性疾患・発達障害・20歳前の事故等による障害は、保険料の納付要件を問わず「障害基礎年金(20歳前障害)」を申請できます。ただし所得制限があります(年収850万円程度が目安)。
最もつまずくポイント①:「初診日」の特定と証明
「初診日」とは障害の原因となった病気・けがで初めて医療機関を受診した日のことです。これが特定できないと申請が進みません。初診日の特定は多くの申請者がつまずく最初の壁です。
なぜ初診日の特定が難しいか
- 診察を受けた病院が廃院・移転してカルテが残っていない
- 数十年前の受診でカルテの保存期間(5年)が過ぎている
- 「最初に受診した病院」と「今の病院」が異なり、つながりを証明するのが難しい
- 症状が出始めた頃に別の疾患で受診していた場合、どちらが「原因の初診」かが不明確
初診日を証明する書類と代替手段
| 受診状況等証明書 (最も有力な証明) |
初診の医療機関に「受診状況等証明書」の作成を依頼する。カルテが残っていれば作成してもらえる。最も信頼性が高い証明方法 |
|---|---|
| カルテ・診察券・ 領収書等 |
カルテが廃棄されていても、受診当時の診察券・領収書・お薬手帳・入院記録等が初診日の証明に使える場合がある |
| 第三者証明 | 家族・知人・職場の同僚等の第三者が「この時期に受診していた」と証明する書類。カルテがない場合の最後の手段だが、信頼性は低いため補足的に使われる |
| 健康保険組合の 記録 |
健康保険の給付記録・医療費通知に受診履歴が残っている場合がある。勤務先の健康保険組合・協会けんぽに問い合わせる |
初診の証明が困難なケースは非常に多く、年金事務所でも対処法を案内しています。「証明できないから申請できない」と思い込まず、まず年金事務所の窓口に状況を説明して相談してください。
最もつまずくポイント②:「保険料納付要件」の確認
保険料納付要件とは、初診日の前に保険料をどれだけ納めていたかのチェックです。未納が多いと受給できなくなります。
| 原則の要件 | 初診日の属する月の前々月までの「公的年金の加入期間全体」のうち、3分の2以上が「納付済み期間」または「免除期間」であること |
|---|---|
| 特例の要件 (当面の措置) |
初診日が2026年4月1日前にある場合:初診日の属する月の前々月までの直近1年間に未納がないこと(65歳未満に限る) |
| 確認方法 | 年金事務所の窓口または「ねんきんネット(日本年金機構のウェブサービス)」で確認できる。年金事務所では「納付状況の記録を確認したい」と伝えれば調べてもらえる |
学生時代の「学生納付特例」・低所得時の「保険料免除」の期間は「未納」ではなく「免除期間」として扱われます。未納期間だと思っていても免除申請をしていれば要件を満たす場合があります。年金事務所で確認してください。
最もつまずくポイント③:「診断書」の書き方と医師への依頼
障害年金の認定は診断書の内容によって大きく左右されます。等級が決まるかどうか・適切な等級になるかどうかは、診断書に「日常生活の困難さ」が正確に記載されているかどうかにかかっています。
診断書を医師に依頼するときのポイント
- 日常生活の困難さを具体的に伝える:「普通に生活できています」という言い方はしない。「一人では外出できない」「家事が全くできない」「週に何日は寝込む」等、具体的な困難を伝える
- 「日常生活状況メモ」を事前に渡す:診察時間が短い中で医師に全てを伝えるのは難しい。A4 1〜2枚程度に日常生活の困難さをまとめたメモを診察前に渡すことで、診断書に反映してもらいやすくなる
- 良い日の状態だけを伝えない:「今日は調子がいい」という日に受診すると、医師が「状態が良い」と判断してしまう。「調子が悪い日はこんな状態」という情報を必ず伝える
- 診断書に「日常生活能力の判定」欄がある場合は、医師に実際の状態を正確に記載してもらえるよう丁寧に説明する
- 完成した診断書は受け取る前に内容を確認する権利がある。明らかに実態と異なる場合は修正を依頼できる
「先生に迷惑をかけたくない」「軽く見られたくない」という気持ちから困難さを控えめに伝えてしまうと、実際より軽い認定になることがあります。等級認定に使う診断書は「普段の日常生活の困難さ」を正確に反映させることが重要です。
最もつまずくポイント④:「病歴・就労状況等申立書」の書き方
病歴・就労状況等申立書(以下「申立書」)は、診断書では記載しきれない「生活の具体的な困難さ・経緯」を本人(または家族)が記載する書類です。認定に大きく影響するにもかかわらず、書き方がわからず手が止まる方が多い書類です。
申立書の書き方のポイント
| 発症から現在まで の経緯を 時系列で書く |
「いつ・どんな症状が出て・どんな生活をしていたか」を時系列で記載する。空白期間(受診していない期間)もその理由を書く |
|---|---|
| 日常生活の 困難さを 具体的に書く |
「生活が大変」ではなく、「一人で買い物に行けない」「週に〇日は外出できない」「食事の支度ができず宅配に頼っている」等、具体的な数字・エピソードで書く |
| 「良い日」と 「悪い日」の 両方を書く |
症状が波のある疾患(うつ病・双極性障害等)は「調子のいい日もあるが、悪い日はどんな状態か」を必ず書く。良い日の状態だけが記載されると実態より軽く評価される |
| 就労状況を 正確に書く |
働いている場合でも受給できる場合がある。「どんな配慮を受けながら働いているか」「どれだけ休みがちか」「職場のサポートなしでは働けないか」を具体的に書く |
| 家族・支援者が 代わりに書ける |
本人が書けない場合は家族・支援者が代筆できる。その場合は代筆であることを明記する |
申立書を読む審査官は申請者を直接見ることができません。「この書類だけを読んで生活の困難さが伝わるか」を意識して、具体的・丁寧に書くことが審査を通過するコツです。
受給できる金額の目安:等級と年金額
障害年金の受給額は等級・加入していた年金の種類・加入期間・加算(子の加算等)によって変わります。
| 種類・等級 | 年金額の目安(2026年度) | 月額換算 |
|---|---|---|
| 障害基礎年金 1級 | 約102万円/年 | 約8万5,000円/月 |
| 障害基礎年金 2級 | 約81万円/年 | 約6万7,000円/月 |
| 障害厚生年金 3級 | 約60万円/年(最低保障額) | 約5万円/月 |
| 子の加算 (18歳年度末まで) |
1人目・2人目:各約23万円/年 3人目以降:各約7万7,000円/年 |
(加算分) |
障害厚生年金の1・2級には「報酬比例部分」が加算されるため、給与が高かった・勤続期間が長かった方ほど受給額が増えます。具体的な金額は年金事務所またはねんきんネットで確認してください。
申請の手順と提出先
| STEP1 年金事務所・ 市区町村窓口に 相談 |
・障害基礎年金申請:市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所 ・障害厚生年金申請:年金事務所 相談時に「申請に必要な書類一式」を受け取る |
|---|---|
| STEP2 初診の医療機関で 「受診状況等証明書」 を取得 |
現在通院している医療機関と初診の医療機関が同じ場合は不要。異なる場合は初診の病院に依頼する(Section 2参照) |
| STEP3 現在の主治医に 「診断書」を 依頼・取得 |
障害の種類ごとに決められた診断書様式がある。依頼から作成完了まで数週間〜1か月程度かかることが多い |
| STEP4 「病歴・就労状況等 申立書」を作成 |
発症から現在までの経緯・日常生活の困難さを記載する(Section 5参照) |
| STEP5 書類一式を 提出する |
年金事務所または市区町村窓口に全書類を提出する。審査には通常3〜6か月程度かかる |
| STEP6 認定・受給開始 |
認定された場合「年金証書」が届き、年金の支払いが始まる(遡及して支払われる場合もある) |
不支給・等級に不服がある場合の対応
申請結果が「不支給(受給できない)」または「思っていた等級より低い」場合でも、不服申立て(審査請求・再審査請求)や再申請ができます。あきらめずに対応することが重要です。
| 審査請求 (第一段階) |
不支給・等級が低い決定の通知を受けた日から3か月以内に「審査請求書」を地方厚生局社会保険審査官に提出する。所定の様式は年金事務所で入手可能 |
|---|---|
| 再審査請求 (第二段階) |
審査請求の結果に不服がある場合、審査請求の決定通知を受けた日から2か月以内に「再審査請求書」を社会保険審査会に提出する |
| 行政訴訟 | 再審査請求の結果にも不服がある場合は裁判所に提訴することができる(弁護士への依頼が一般的) |
| 「額改定請求」 (等級の見直し) |
受給中に症状が悪化した場合、「額改定請求」で等級の引き上げを求めることができる(受給開始から1年経過後が原則) |
障害年金の請求・不服申立てを専門とする社会保険労務士(社労士)に相談することで、申立て書類の作成・戦略的な対応が可能になります。初回相談が無料の社労士事務所も多くあります。
よくある疑問(Q&A)
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