【相続で重要となる】障害者手帳のメリット・等級・申請方法を徹底解説
障害者手帳は「障害のある方が受けられる支援・制度への入口」です。取得することで税金の軽減・交通費の割引・就労支援など多くのメリットが生まれます。手帳には身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種類があり、それぞれ対象・等級・申請先が異なります。よくある誤解として「手帳を持つと周りにわかってしまう」「一度取ると一生変えられない」はどちらも事実ではありません。申請は住所地の市区町村窓口から始められ、主治医の診断書があれば多くの方が手続きを進められます。
目次
障害者手帳とは:3種類の手帳を整理する
「障害者手帳」という言葉は一つの手帳を指すわけではなく、障害の種類によって異なる3種類の手帳の総称です。
等級:1〜6級(1級が最重度)
根拠法:身体障害者福祉法
申請先:市区町村の障害福祉窓口
等級:A(重度)・B(中軽度)等(自治体により異なる)
根拠:各都道府県・政令市の要綱
申請先:市区町村→知的障害者更生相談所等で判定
保健福祉手帳
等級:1〜3級(1級が最重度)
根拠法:精神保健福祉法
申請先:市区町村窓口→都道府県・政令市が認定
身体障害と知的障害を併せ持つ方は身体障害者手帳と療育手帳の両方を取得できます。精神疾患と発達障害を併せ持つ方も複数の手帳を持てる場合があります。それぞれで使える制度・サービスが異なるため、該当する全ての手帳を申請することをおすすめします。
3種類の手帳の違い・等級・対象障害、取得で受けられるメリット、各手帳の申請の流れ、よくある誤解の解説、障害者手帳と相続・生前対策の関係まで解説しています。制度の詳細は自治体によって異なる場合があるため、必ずお住まいの市区町村窓口で最新情報を確認してください。
障害者手帳で受けられる主なメリット・サービス
障害者手帳を取得することで様々な支援・割引・税制優遇を受けられます。等級や自治体によって内容が異なるため、お住まいの市区町村で確認してください。
| 税金の軽減 |
・所得税・住民税の障害者控除:障害者27万円・特別障害者40万円を所得から控除 ・相続税の障害者控除:85歳まで1年あたり10万円(特別障害者は20万円)を税額から控除 ・自動車税・軽自動車税の減免(等級による) ・贈与税の特定贈与信託(非課税枠3,000〜6,000万円) |
|---|---|
| 交通費の割引 |
・JR・私鉄・バス等の運賃割引(等級・区間により異なる) ・航空運賃の割引 ・タクシー料金の割引(自治体による) |
| 就労支援 |
・障害者雇用枠での就職:法定雇用率制度に基づく障害者枠での就労が可能になる ・就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)等の障害福祉サービスを利用できる ・ハローワークの障害者専門窓口の利用 |
| 医療費の助成 |
・自立支援医療(精神通院医療・育成医療・更生医療)の適用で医療費自己負担が原則1割に ・重度心身障害者医療費助成(自治体により内容が異なる) |
| 施設の 割引・優遇 |
・公共施設(博物館・美術館・動物園等)の入場料無料・割引 ・NHK受信料の減免 ・携帯電話料金の割引(各通信会社による) ・駐車禁止除外指定車の利用(等級による) |
| 住宅・生活 支援 |
・公営住宅の優先入居 ・各種手当(特別障害者手当・障害児福祉手当等)の対象になる場合がある ・日常生活用具・補装具費の給付 |
「サービスを使わないかもしれない」という理由で手帳申請をためらう方がいますが、手帳を持っていないと使いたい時に使えません。取得しておいて使わない分には何も困りません。まず申請して選択肢を持つことをおすすめします。
身体障害者手帳:等級・対象障害・申請の流れ
対象となる障害の種類と等級
| 障害の種類 | 等級の範囲 | 主な状態(目安) |
|---|---|---|
| 視覚障害 | 1〜6級 | 両眼の視力・視野の障害。1級は両眼の視力の和が0.01以下等 |
| 聴覚・平衡機能障害 | 2〜6級 | 両耳の聴力の障害。2級は両耳の聴力レベルが100dB以上等 |
| 音声・言語・そしゃく機能障害 | 3〜4級 | 発声・言語機能の消失または著しい障害 |
| 肢体不自由 | 1〜7級 (7級単独は手帳非交付) |
上肢・下肢・体幹の機能障害。1・2級は最も重度 |
| 内部障害 (心臓・腎臓・呼吸器・膀胱・直腸・小腸・肝臓・HIV) |
1・3・4級 | 各臓器の機能の著しい低下。透析・ペースメーカー使用等 |
申請の流れ
- 市区町村の障害福祉窓口で相談・申請書類を受け取る
- 指定医師(都道府県が指定した医師)に診断書を作成してもらう:主治医が指定医であるか確認する。指定医でない場合は紹介してもらう
- 申請書・診断書・写真・本人確認書類等を揃えて市区町村に提出
- 都道府県(または政令市)が認定・等級を決定する(審査に1〜2か月程度かかる場合がある)
- 手帳が交付される
身体障害者手帳の診断書は都道府県が指定した医師(指定医)でなければ作成できません。かかりつけ医が指定医かどうかを事前に確認してください。指定医でない場合は紹介状をもらって指定医のいる病院に行く必要があります。
療育手帳:等級・対象・申請の流れ
療育手帳は知的障害のある方に交付される手帳です。根拠となる統一的な法律がなく、都道府県・政令市ごとに独自の要綱に基づいているため、等級の表記・名称が自治体によって異なります。
| 等級(例) | 一般的な状態の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| A(重度) または1度 |
IQ概ね35以下・日常生活に全面的支援が必要 | 東京都は「マルA」「A」「B」等の区分を使用。政令市・都道府県で表記が異なる |
| B(中軽度) または2〜4度 |
IQ概ね36〜75・日常生活に一部支援が必要 |
申請の流れ
- 市区町村の障害福祉窓口に相談・申請書を提出する
- 知的障害者更生相談所(18歳以上)または児童相談所(18歳未満)による判定を受ける
- 判定結果に基づき都道府県・政令市が手帳を交付する(審査・判定に1〜3か月程度かかる場合がある)
療育手帳の判定は知的障害者更生相談所(または児童相談所)が行います。主治医の診断書は参考資料として必要になる場合がありますが、判定機関での面接・知能検査等が行われます。
精神障害者保健福祉手帳:等級・対象・申請の流れ
精神障害者保健福祉手帳は精神疾患による生活上の障害がある方が取得できる手帳です。2005年以降は発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD等)も対象に含まれています。
| 等級 | 日常生活・社会生活の状態の目安 |
|---|---|
| 1級 | 精神障害のために日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。常時支援が必要 |
| 2級 | 精神障害のために日常生活が著しく制限される程度のもの。一定の援助が継続的に必要 |
| 3級 | 精神障害のために日常生活や社会生活に一定の制限があり、労働に制限を受けている程度 |
対象となる主な精神疾患
- 統合失調症・統合失調症型障害・妄想性障害
- 気分(感情)障害(うつ病・双極性障害等)
- てんかん
- 発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD・学習障害等)
- 依存症(アルコール・薬物等)による精神障害
- その他の精神疾患(高次脳機能障害等)
申請の流れ
- 市区町村の障害福祉窓口または保健所に相談・申請書類を受け取る
- 精神科・心療内科の医師に診断書を作成してもらう:初診日から6か月以上経過していることが条件
- 申請書・診断書・写真・本人確認書類を市区町村または保健所に提出
- 都道府県・政令市が審査・認定(審査に1〜2か月程度)
- 手帳が交付される(有効期間2年。2年ごとの更新が必要)
診断を受けてからすぐには申請できません。初診日から6か月以上が経過した後に診断書を書いてもらえます。「まだ日が浅いから申請できない」と諦めずに、6か月後を目安に主治医に相談してください。
よくある誤解:7つの「思い込み」を解説
障害者手帳に対するよくある誤解が、申請をためらわせる原因になっています。正しい理解を持つことが大切です。
障害者手帳と相続・生前対策との関係
障害者手帳を持っている方の相続・生前対策には手帳を持っていない方とは異なる有利な制度・特有の注意点があります。
| 相続税の 障害者控除 |
障害者が相続人として遺産を相続した場合、85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)を相続税額から直接控除できます。例えば40歳の一般障害者なら45年×10万円=450万円の控除 ・一般障害者:障害者手帳1〜3級(身体)・療育手帳B・精神障害者保健福祉手帳2〜3級等 ・特別障害者:障害者手帳1・2級(身体)・療育手帳A・精神障害者保健福祉手帳1級等 |
|---|---|
| 特定贈与信託 (非課税贈与) |
特別障害者には6,000万円まで、一定の障害者には3,000万円まで信託銀行経由の贈与が非課税になる「特定贈与信託」が使えます。通常の贈与税(年間110万円超は課税)の例外として、生前に大きな財産を障害のある家族に渡す際に有効 |
| 親なき後の 財産管理 |
判断能力が不十分な障害のある方が相続した財産を適切に管理するには成年後見制度・家族信託(福祉型信託)の活用が重要です。親が元気なうちに設計しておかないと、認知症・死亡後に財産管理ができなくなります |
| 障害者控除 (所得税・住民税) |
本人または扶養親族に障害者手帳保有者がいる場合、所得税で27万円(特別障害者は40万円)の所得控除が毎年受けられます。確定申告または年末調整で申告が必要 |
障害のある子がいる親にとって最も重要な生前対策は、親が判断能力を持っている間に「遺言書+家族信託(福祉型信託)+成年後見の準備」を整えることです。手帳の取得を機に専門家への相談を始めることをおすすめします。
よくある疑問(Q&A)
📞 ご相談はこちら
ハートリンクグループでは、
行政書士を中心に税理士などの専門家が連携し、
相続手続き、遺言書作成、成年後見、死後事務などについて
一人ひとりの状況に合わせた相談対応を行っています。
相続専門 ハートリンクグループ
☎ 0120-905-336
まずはお気軽にご連絡ください。