【徹底解説】障害者等級とは?等級の違い・判断基準・手帳との関係を解説
目次
「障害者等級」とは何か:制度ごとに異なる等級体系
「障害者等級」という言葉は一つの制度を指すように聞こえますが、実際には複数の異なる制度がそれぞれ独自の「等級」を持っており、目的・判断基準・等級の名称が全て異なります。
混乱しやすいのは、「障害者手帳の等級」と「障害年金の等級」と「障害支援区分」は全くの別制度であり、手帳の等級が高いからといって年金の等級も高くなるわけではない点です。この記事では各制度の等級体系を整理して解説します。
① 身体障害者手帳(1〜6級):身体の障害の程度を示す。各種サービス・割引の基準
② 療育手帳(A・B等):知的障害の程度を示す。自治体によって区分が異なる
③ 精神障害者保健福祉手帳(1〜3級):精神障害による生活上の支障の程度を示す
④ 障害支援区分(1〜6区分):福祉サービスの支給量を決める区分。手帳の等級とは別に認定
⑤ 障害年金の等級(1・2・3級):年金受給の等級。手帳の等級と一致しない場合が多い
⑥ 相続税の「特別障害者・一般障害者」:相続税控除のための税法上の区分
身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の各等級の判断基準、障害支援区分の仕組み、障害年金の等級認定基準、相続税の障害者控除との関係、等級によって変わるサービス・優遇、等級の変更・再審査の方法まで解説しています。
身体障害者手帳の等級:1〜6級の判断基準
身体障害者手帳は1級(最重度)〜6級(比較的軽度)の6段階の等級で区分されています。7級という区分もありますが、7級単独では手帳は交付されず、2つ以上の7級該当障害が重複した場合に6級の手帳が交付されます。
| 等級 | 障害の程度の目安 | 代表的な状態(視覚障害の例) |
|---|---|---|
| 1級 | 身体機能の著しい障害により日常生活の活動が著しく制限されるもの | 両眼の視力の和が0.01以下のもの |
| 2級 | 身体機能の著しい障害により日常生活が著しく制限されるもの | 両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの |
| 3級 | 身体機能の著しい障害により日常生活・社会生活が制限されるもの | 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの |
| 4級 | 身体機能の障害により日常生活が著しく不便なもの | 両眼の視力の和が0.09以上0.12以下のもの |
| 5級 | 身体機能の障害により日常生活が不便なもの | 両眼の視力の和が0.13以上0.2以下のもの |
| 6級 | 身体機能の障害により日常生活において軽度の不便が生じるもの | 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもの |
障害の種類別の等級認定
・視覚障害:視力・視野の程度による
・聴覚障害:聴力レベル(dB)による
・肢体不自由:上肢・下肢・体幹の機能障害の程度による
・内部障害:心臓・腎臓・呼吸器・膀胱・直腸・小腸・免疫・肝臓機能障害。日常生活活動の制限程度による
重複障害がある場合は、各障害の等級を合算して最終的な等級が決まることがあります(障害の合算ルール)。
身体障害者手帳の対象は「永続する(または将来にわたり確実に継続する)身体障害」が基本です。一時的な骨折・病気の急性期等は対象外です。指定医(都道府県が指定した医師)の診断書が必要です。
療育手帳の等級:A・Bの判断基準と自治体による違い
療育手帳は知的障害のある方に交付される手帳ですが、国が定めた統一の等級基準がなく、都道府県・政令市ごとに区分・名称が異なります。
| 呼称・等級 | 主な自治体 | 重度区分の目安 |
|---|---|---|
| A(重度)・ B(中軽度) |
多くの都道府県 | Aが重度(IQ35以下程度・常時介護が必要な行動障害等)。Bがそれ以外 |
| A1・A2・B1・B2 (4区分) |
東京都(愛の手帳)等 | 1度(最重度)〜4度(軽度)の4区分。IQのほか日常生活動作の程度も考慮 |
| 判定機関 |
18歳未満:児童相談所での判定 18歳以上:知的障害者更生相談所での判定 |
|
| 判定の基準 |
・知能指数(IQ)の測定 ・日常生活能力の判定(食事・着脱衣・排泄・コミュニケーション等) ・IQだけでなく日常生活能力が重視されるため、IQが同じでも等級が異なることがある |
|
判定基準が自治体ごとに異なるため、都道府県をまたいで引っ越した場合は転居先の自治体で再判定を受ける必要があり、等級が変わることがあります。引っ越しの際は転居先の市区町村窓口に確認してください。
精神障害者保健福祉手帳の等級:1〜3級の判断基準
精神障害者保健福祉手帳は精神疾患(統合失調症・うつ病・双極性障害・発達障害・てんかん等)による生活上の障害の程度を1〜3級で区分します。
| 等級 | 日常生活能力の程度 | 支援の必要度の目安 |
|---|---|---|
| 1級 | 精神障害により日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度の障害があるもの | 日常生活行動を1人では全くできず常に援助が必要。社会参加が著しく困難 |
| 2級 | 精神障害により日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害があるもの | 多くの日常生活行動に援助が必要。一人暮らしは困難なことが多い |
| 3級 | 精神障害により日常生活・社会生活が制限を受けるか、または日常生活・社会生活に制限を加えることを必要とする程度の障害があるもの | 一人での生活は可能だが、社会生活・就労に著しい困難がある |
精神障害者保健福祉手帳の特徴
- 初診から6か月以上経過していることが申請要件:発症・初診から6か月以上経過した後に申請可能
- 有効期間は2年:2年ごとに精神保健指定医等の診断書を添付して更新が必要
- 発達障害・高次脳機能障害も対象:ASD・ADHD・学習障害等の発達障害も精神障害の一区分として取り扱われる
- 申請先:市区町村の障害福祉担当課または保健センター
障害支援区分:福祉サービス利用のための区分
障害支援区分は障害福祉サービスの支給量を決めるための区分で、手帳の等級とは全く別に認定されます。「どれだけ支援が必要か」を客観的に測る指標です。
| 区分の種類 | 区分1(最も軽度)〜区分6(最も重度)の6段階。区分なし(非該当)の場合は一部のサービスしか利用できない |
|---|---|
| 認定の流れ | ①市区町村に申請 → ②認定調査員が80項目の調査 → ③一次判定(コンピューター判定) → ④医師の意見書 → ⑤審査会の二次判定 → ⑥区分決定 |
| 手帳の等級との 関係 |
手帳の等級と障害支援区分は連動しません。身体障害者手帳1級の方が区分3になることも、手帳3級の方が区分5になることもある。「支援の必要度」を測るための別の基準 |
| 区分によって 使えるサービス |
・居宅介護・同行援護:区分1以上 ・行動援護:区分3以上 ・重度訪問介護:区分4以上 ・重度障害者等包括支援:区分6のみ |
「実際より低い区分になった」と感じる場合は不服申立て(審査請求)ができます。調査時の回答が実態を正確に反映していなかった・症状の変化があった等の場合は再申請も検討してください。
障害年金の等級:1・2・3級の認定基準
障害年金の等級は手帳の等級とは全く異なる基準で認定されます。「日常生活・労働がどれだけ制限されているか」が判断基準です。
| 1級 | 他人の介助を受けなければほとんど日常生活が送れない程度の障害。「長期にわたり病床生活」「常時介護が必要」な状態が目安 |
|---|---|
| 2級 | 日常生活が著しく制限される程度の障害。必ずしも他人の介助は必要でないが、日常生活に「著しい制限」がある状態。一人では家事・外出等が困難なレベル |
| 3級 (障害厚生年金のみ) |
労働が著しく制限される程度の障害。日常生活は何とか送れるが、通常の労働は著しく制限される状態 |
よくある誤解として「身体障害者手帳2級だから障害年金2級」というものがありますが、手帳の等級と年金の等級は全く別の基準で判断されます。手帳1級でも年金は不支給のケース・手帳3級でも年金2級のケース等があります。
相続税の「特別障害者・一般障害者」との関係
相続税の障害者控除で使われる「特別障害者・一般障害者」の区分は、手帳の等級・障害年金の等級とも一致しない税法独自の区分です。
| 税法上の区分 | 主な対象(手帳等級との対応) | 相続税控除額(1年あたり) |
|---|---|---|
| 特別障害者 |
・身体障害者手帳1・2級 ・療育手帳A(重度) ・精神障害者保健福祉手帳1級 ・常時介護が必要な程度の知的障害(判定された場合) |
20万円 |
| 一般障害者 |
・身体障害者手帳3〜6級 ・療育手帳B(中軽度) ・精神障害者保健福祉手帳2・3級 ・その他税法上の障害者 |
10万円 |
6か月以上寝たきりで常時介護が必要な方・医師に精神障害と診断された方等は、手帳がなくても医師の診断書等によって税法上の「特別障害者」と認定される場合があります。相続税申告の際は税理士に必ず確認してください。
等級によって変わること:使えるサービス・優遇の一覧
手帳の等級によって受けられるサービス・優遇が変わります。等級が重いほど多くの支援を受けられるのが基本ですが、制度ごとに異なります。
| 税制上の優遇 |
・相続税の障害者控除:特別障害者(1・2級等)は20万円/年、一般障害者は10万円/年 ・所得税・住民税の障害者控除:特別障害者は40万円、一般障害者は27万円(所得控除) ・自動車税・自動車取得税の減免(等級による) |
|---|---|
| 交通費の割引 |
・JR・私鉄の割引(1〜2級は本人と介護者の割引) ・バス・タクシー割引(自治体による) ・航空運賃の割引(等級によって割引率が異なる) |
| 公共料金等の 割引・免除 |
NHK受信料の免除(1・2級で低所得の場合は全額免除)・一部公共施設の入場料免除・携帯電話料金の割引(各社のユニバーサルサービス制度) |
| 医療費の助成 | 自立支援医療(精神通院)・重度心身障害者医療費助成(都道府県・市区町村による。1〜2級が対象が多い) |
| 手当・給付金 |
・特別障害者手当(20歳以上・重度障害・常時介護が必要な方) ・障害児福祉手当(20歳未満・重度障害) ・特別児童扶養手当(20歳未満の子を養育する保護者・1・2級区分あり) |
等級の変更・再審査を求める場合
「実際の状態より等級が低い」「症状が悪化して等級の見直しが必要」という場合に、等級の変更・再審査を求める方法があります。
身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の場合
② 不服申立て(審査請求):等級の決定に不服がある場合は、都道府県の審査請求担当部署に審査請求ができる(決定通知を受けた日の翌日から3か月以内)
障害支援区分の場合
② 不服申立て(審査請求):区分認定に不服がある場合は都道府県の審査請求担当部署に申立てができる。認定調査の際に実態を正確に伝えられていなかった場合は特に有効
障害年金の場合
② 審査請求・再審査請求:不支給または等級に不服がある場合は、決定通知から3か月以内に審査請求ができる
等級認定は提出する診断書・調査時の回答内容に大きく左右されます。「良い日」だけでなく「悪い日の状態」を正確に医師・調査員に伝えることが、実態に合った等級を得るための最重要ポイントです。
よくある疑問(Q&A)
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