【初心者向け】相続した不動産の名義変更(相続登記)とは?期限・必要書類・費用・進め方をやさしく解説
相続した不動産の名義変更は、法務局で行う「相続登記」のことです。
結論から言うと、スムーズに進めるコツは「誰が相続するか(遺言・遺産分割)」→「必要書類の準備」→「登記申請」の順番を守ること。
そして現在は、相続登記が原則3年以内に必要となり、放置し続けると将来の売却や次の相続がぐっと難しくなる可能性があります。
目次
1. そもそも名義変更って何?「相続登記」を一言でいうと
相続登記とは、亡くなった方(被相続人)名義の不動産を、相続人など新しい所有者名義に変更する手続きです。
名義が被相続人のままだと、基本的に次のような場面で困りやすくなります。
- 売却したいのに手続きが進まない(買主・金融機関から名義変更を求められる)
- 相続が次の世代に重なり、相続人が増えて話し合いが難しくなる
- 共有者が増えて、修繕・管理・活用の意思決定ができなくなる
「いま住む予定はないし、急がなくても…」と思っても、時間が経つほど関係者が増え、必要書類も複雑になりやすいのが相続登記の特徴です。
2. いつまでにやるの?期限と「やむを得ない事情」の考え方
相続登記には期限があります。基本は「相続で取得したことを知った日から3年以内」です。
さらに、遺産分割協議で「誰が不動産を取得するか」が決まった場合は、分割成立から3年以内にその内容に沿った登記も必要になります。
ただし、相続人が多く調査に時間がかかる、行方不明者がいる、話し合いが難航している、重病など、すぐに動けない事情があることも現実にはあります。
そうした場合でも「放置」ではなく、いま何が理由で止まっているのかを整理し、できる手を先に打つことで負担が軽くなることが多いです。
3. 最初に確認する3つ:遺言・相続人・登記名義
ここを先に押さえると、手戻りが減ります。
- 遺言書はある?(遺言が有効なら、原則として遺言の指定が優先されます)
- 相続人は誰?(戸籍で確定させるのが基本です)
- 登記簿の名義は誰?(祖父母名義のままなど、世代がずれていると難易度が上がります)
特に「登記簿の名義」が被相続人ではなく、さらに前の世代のままの場合は、相続が重なっている可能性があります。
この場合は、いきなり申請せず、戸籍関係と相続の回数(何次相続か)を丁寧に整理するのが近道です。
4. 相続登記の流れ:迷わない7ステップ
相続登記は、次の流れで進めると迷いにくいです。
- 遺言書の有無を確認(公正証書/自筆など)
- 相続人を確定(被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集)
- 対象不動産を確定(登記事項証明書・固定資産税の通知書で確認)
- 誰が取得するか決める(遺言/遺産分割協議/法定相続分)
- 必要書類をそろえる(住民票、印鑑証明、評価証明など)
- 申請書類を作成(登記申請書、登記原因証明情報など)
- 法務局へ申請(窓口・郵送・オンライン)
「相続人の確定」と「誰が取得するか」が固まると、一気に進みやすくなります。逆に、この2点が曖昧なまま進めると止まりやすいので、最初に丁寧に整えるのがおすすめです。
5. 必要書類は何がいる?ケース別にやさしく整理
書類は大きく3種類です。①相続関係を証明するもの、②誰が取得するかを示すもの、③税金(登録免許税)の計算に使うものです。
(A)共通で必要になりやすい書類
- 被相続人の戸籍(出生から死亡まで)
- 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
- 相続人全員の戸籍(現在戸籍など)
- 不動産の固定資産税評価証明書(登録免許税の計算に使用)
(B)遺言がある場合
- 遺言書(公正証書遺言なら謄本、自筆証書遺言は状況により手続きが変わります)
- 遺言執行者がいる場合は、その権限関係が分かる資料
(C)遺産分割協議で決める場合
- 遺産分割協議書(誰がどの不動産を取得するか明記)
- 相続人全員の印鑑証明書
戸籍が多くなる方は、法務局の法定相続情報一覧図を作っておくと、銀行・保険など他の相続手続きでも「戸籍の束」を毎回出さずに進められることがあります。
6. 費用はいくら?登録免許税・実費・専門家費用の目安
相続登記で必ず意識したいのが登録免許税です。原則として、
登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%
例:評価額1,000万円なら約4万円が目安です(不動産の数や端数処理などで変動します)。
このほか、戸籍や住民票などの取得費用(実費)がかかります。
また、専門家に依頼する場合は、難易度(相続人の人数、過去の未登記、遺産分割の有無、対象不動産の数など)で費用が変わります。
「どこまで自分でできて、どこから任せた方が安心か」を切り分けるだけでも、精神的な負担が軽くなることが多いです。
7. 遺産分割がまとまらない…そんなときの現実的な選択肢
相続人同士で話がまとまらない、連絡が取れない相続人がいる、相続人が多く調査に時間がかかる…というケースは少なくありません。
そんなときに「何もできない」と感じがちですが、現実的には次のような整理が役立ちます。
- まず相続人関係だけ先に確定(戸籍収集を進める)
- 不動産の現状把握だけ先に(登記簿・評価・境界・管理状況)
- 期限を意識し、できる手続きを先に(状況により相談しながら進め方を決める)
特に、不動産が空き家になっている場合は、時間が経つほど管理負担や近隣トラブルのリスクが増えます。
「決まってから動く」ではなく、「決めるために必要な材料を先に集める」発想に切り替えると前に進みやすいです。
8. よくあるつまずきポイント:ここで止まりやすいです
つまずき①:戸籍が多すぎて心が折れそう
被相続人の出生から死亡までの戸籍は、転籍や改製があると想像以上に多くなります。
まずは「どの市区町村に請求するか」を整理し、手元に届いた戸籍から順番に不足を埋めていくと、作業が分断されずラクになります。
つまずき②:相続人の一部と連絡が取れない
遺産分割協議は相続人全員の合意が前提になるため、連絡が取れない方がいると止まりやすいです。
ただ、止まっている理由が「連絡」なのか「意見の対立」なのかで、進め方が変わります。状況整理を優先すると次の一手が見えやすいです。
つまずき③:名義が祖父母のまま(世代がずれている)
この場合、相続の回数が増え、相続人が想定以上に増えることがあります。
早めに戸籍関係を整理し、必要なら専門家と一緒に「全体像」を先に作ることが、結果的に最短になります。
つまずき④:不動産を売りたいのに名義が変えられない
売却は名義が整ってからの方が進みやすいです。
先に相続登記の道筋をつけ、不動産会社の査定や片付けなど「売却準備」を並行して進めると、全体の時間が短くなることがあります。
9. 今日からできるチェックリスト:まずはここだけ
「大変そう…」と感じたときは、まずこの順番だけで十分です。
- 登記簿の名義人を確認(登記事項証明書を取得)
- 固定資産税の通知書を探す(所在地・評価の手がかり)
- 遺言書の有無を確認(保管場所・公正証書の有無)
- 相続人の候補をメモ(家族関係図でOK)
- 「売る/貸す/残す」希望を家族で共有(方針が決まると必要手続きが見えます)
相続登記は、やることが多く見えますが、実際は「確認する→集める→決める→申請する」の繰り返しです。
一度全体像が見えれば、必要以上に不安にならずに進められることが増えていきます。
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