【専門家が解説】遺産分割協議書はやり直せる?条件・手続き・注意点をわかりやすく解説
【目次】
遺産分割協議書はやり直しできるのか
やり直しが認められる代表的なケース
やり直しができないケース
やり直しのために必要な手続き
すでに名義変更した財産はどうなる?
税金への影響(相続税・贈与税)
トラブルを防ぐためのポイント
まとめ
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1|遺産分割協議書はやり直しできるのか
結論として、
遺産分割協議書は原則として“やり直し可能”です。
相続人全員が合意すれば、
すでに作成済みの遺産分割協議書を“撤回”し、新たに協議書を作り直すことができます。
ただし、
すでに財産の名義変更が終わっている
取得した本人が第三者に売却してしまった
税金の時効が迫っている
など、状況によってはやり直しに制限が生じるため、慎重な判断が求められます。
2|やり直しが認められる代表的なケース
(1)重要な財産が漏れていた
相続財産の中に、
・古い通帳
・タンス預金
・忘れていた不動産
などの“未発見の財産”があると、協議書のやり直しが必要です。
(2)内容に誤りがあった
財産額の記載ミス
名義の誤り
表現の不備
などが見つかった場合は、修正目的で再作成します。
(3)相続人の合意内容を変更したい
「実は不動産より預金を多く欲しい」
「介護していた人への分配割合を増やしたい」
など、家族間の状況の変化により見直すケースも多く見られます。
(4)相続人の負担を調整したい
税金、介護負担、借金の返済など、
状況に応じて配分を変更することがあります。
3|やり直しができないケース
以下のような場合は注意が必要です。
● 協議書に基づき取得した財産が第三者に売却された
→ すでに利益を得た後で巻き戻すことは事実上困難。
● 相続人の一部が反対している
→ 全員の同意がなければやり直しは不可。
● 遺産の範囲や相続人が争っている
→ 別途“調停・審判”で解決が必要。
● 税金の申告期限が過ぎてしまった
→ やり直しはできても税務上の修正に制限がある。
4|やり直しのために必要な手続き
① すべての相続人で協議
→ 新しい案をまとめる
② 新しい遺産分割協議書を作成
→ 全員の署名・押印が必要(実印が望ましい)
③ 名義変更の訂正
不動産:法務局で再登記
預金:金融機関で再手続き
株式:証券会社で変更届
④ 税務署への修正申告
相続税額が変わる場合は“修正申告”が必要。
5|すでに名義変更した財産はどうなる?
結論:
名義を戻して再変更することは可能。ただし手続きは複雑。
● 不動産
→ 法務局で再度登記申請
→ 登記費用が発生
● 預金
→ 新協議書を持って金融機関で名義変更
→ 金融機関によっては審査が必要
● 株式
→ 証券会社で再手続き
いずれも「なぜやり直すのか」を合理的に説明する資料が求められることがあります。
6|税金への影響(相続税・贈与税)
遺産分割のやり直しで最も重要なのが“税務”です。
● 相続税の修正申告が必要な場合
初回申告と内容が異なれば、修正申告や更正の請求が必要です。
● 贈与税が発生する可能性あり
協議書やり直しによって、
「相続ではなく贈与」と扱われるリスクがあります。
例:
最初の協議書でAが不動産を取得 →
やり直し後にBが取得する
これは贈与と判断され、
贈与税が課税される可能性があるため要注意。
税務判断は非常に複雑であり、
専門家のサポートが不可欠です。
7|トラブルを防ぐためのポイント
相続人全員の合意を文書で残す
やり直しの理由を明確にしておく
名義変更前・申告前であれば早めに対応
税務リスク(贈与税)を必ず確認
家庭裁判所の調停を視野に入れる
第三者(専門家)を入れて冷静に進める
8|まとめ
遺産分割協議書は「作ったら終わり」ではありません。
家族の状況や財産の内容は変わるため、
全員が合意すればいつでもやり直し可能です。
ただし、
名義変更済みの財産
税務上の扱い
贈与と判断されるリスク
相続人の対立
といった問題もあるため、
慎重な検討と専門家のサポートが欠かせません。
「やり直したい」と思ったら、
まずは相続全体を整理し、法務と税務の両面から判断することが重要です。
【お問い合わせ】
障害を持つ子どもの親亡き後を支える会
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