【徹底解説】地域包括支援センター・おとしより相談センターとは?相談・支援内容を解説
目次
地域包括支援センターとは何か:役割と設置の背景
地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、介護・医療・福祉・権利擁護の4分野を一体的に支援する地域の拠点です。
2006年(平成18年)の介護保険法改正により全国の市区町村に設置が義務づけられ、現在は全国に5,000か所以上が運営されています。直営(市区町村が運営)と委託(社会福祉法人・医療法人等に委託)の2種類があります。
「介護保険の申請をしたい」「認知症の親の対応がわからない」「一人暮らしの高齢の親が心配」——高齢者に関するあらゆる相談の「最初の窓口」として機能しており、必要に応じて適切な専門機関につないでくれます。
地域包括支援センターの役割・「おとしより相談センター」との関係・利用できる人・4つの支援内容・相談窓口の使い方・介護保険申請との関係・認知症対応・成年後見・生前対策との関わり・相続との接点・虐待対応まで解説しています。
「おとしより相談センター」との関係:東京都の呼称について
東京都では地域包括支援センターのことを「おとしより相談センター」という名称で呼んでいる区市町村が多くあります。名称は異なりますが、役割・機能・法的な位置づけは全国の地域包括支援センターと同じです。
・全国の一般的な呼称:地域包括支援センター
・東京都内の多くの区市町村での呼称:おとしより相談センター
・その他、地域によっては「高齢者相談センター」「在宅介護支援センター」等と呼ばれる場合もある
※ 練馬区では「地域包括支援センター」と「おとしより相談センター」の両方の表記が使われています。どちらに連絡しても同じ窓口につながります。
どんな人が利用できるのか
地域包括支援センター(おとしより相談センター)は、原則として65歳以上の高齢者とその家族・支援者を対象としています。
| 65歳以上の 高齢者本人 |
介護・医療・生活全般に関する相談が可能。介護認定を受けていない方・まだ元気な方でも相談できる |
|---|---|
| 高齢者の 家族・親族 |
「親の介護をどうすればいいか」「認知症の症状が出てきた」「一人暮らしが心配」等の家族からの相談を広く受け付けている。家族だけで来所・電話相談も可能 |
| 近隣住民・ 支援者 |
「近所の高齢者が心配」「異変に気づいた」という近隣住民からの相談・通報も受け付けている |
| 40〜64歳の 特定疾病がある方 |
若年性認知症・末期がん等の特定疾病がある場合は40歳以上から介護保険の対象になるため相談可能 |
介護が必要になる前から相談することで、地域のサービス・制度を把握して将来の備えができます。「まだ介護は必要ないが将来の準備について聞きたい」という相談も歓迎されます。
主な支援内容:4つの業務の柱
地域包括支援センターの業務は法律上4つの柱で構成されています。それぞれ専門職(保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャー等)が担当します。
| 業務の柱 | 担当職種 | 主な内容 |
|---|---|---|
| ①総合相談・ 支援 |
社会福祉士 | 高齢者に関するあらゆる相談の受付・情報提供・関係機関へのつなぎ。介護・医療・福祉・生活全般について「まず何でも相談できる窓口」 |
| ②権利擁護 | 社会福祉士 | 高齢者虐待の防止・早期発見・対応。成年後見制度の活用支援。消費者被害・金融詐欺への対応。日常生活自立支援事業の案内 |
| ③包括的・ 継続的 ケアマネジメント |
主任ケアマネジャー | 地域のケアマネジャー(介護支援専門員)へのサポート・指導・相談。困難なケースへの支援。医療・介護の連携推進 |
| ④介護予防 ケアマネジメント |
保健師等 | 要支援1・2の認定を受けた方の介護予防サービス計画(ケアプラン)の作成。介護予防事業への参加案内。フレイル予防等の健康増進 |
最初に電話や来所で相談すれば、センターの職員が内容に応じて適切な担当者や専門機関につないでくれます。「保健師に相談したい」「社会福祉士に聞きたい」と指名しなくても問題ありません。
相談窓口の使い方:初めて連絡するときのポイント
「何を話せばいいかわからない」という方も、「困っていること」を伝えるだけで大丈夫です。
最初の連絡で伝えるとよいこと
- 誰のことで相談したいか:本人・親・配偶者・近隣の方等
- 年齢・性別(わかれば):対象者の概要
- どんなことで困っているか:「物忘れが増えた」「介護保険を使いたい」「一人暮らしが心配」等、具体的でなくても構わない
- 現在介護保険を利用しているかどうか(利用している場合は担当のケアマネジャー名)
- 連絡先と折り返しの連絡が取れる時間帯
センターの探し方
① 住んでいる市区町村の公式ウェブサイトで「地域包括支援センター」または「おとしより相談センター」を検索する
② 市区町村の高齢福祉担当課(介護保険課・高齢者支援課等)に電話して近くのセンターを聞く
③ 厚生労働省の「地域包括支援センター検索」サービスで郵便番号から検索できる
担当エリアが決まっているため、住所によって管轄のセンターが異なります。必ず住所で管轄を確認してから連絡してください。
介護保険サービスの申請と地域包括支援センターの関係
「介護保険サービスを使いたい」という場合、地域包括支援センターが申請の相談から計画作成まで一連の流れを支援してくれます。
| STEP1 相談・申請 |
地域包括支援センターまたは市区町村の介護保険担当窓口に相談・申請する。センターが申請手続きをサポートしてくれる |
|---|---|
| STEP2 認定調査 |
市区町村の認定調査員が自宅等を訪問して心身の状態を調査する(全国共通の74項目) |
| STEP3 要介護認定 |
審査会が調査結果と主治医意見書をもとに要支援1〜2・要介護1〜5のいずれかを認定する(非該当の場合もある)。申請から認定まで通常30日程度 |
| STEP4 ケアプラン作成 |
・要支援1〜2:地域包括支援センターが介護予防ケアプランを作成 ・要介護1〜5:居宅介護支援事業所のケアマネジャーが介護サービス計画を作成(センターが事業所を案内) |
| STEP5 サービス開始 |
ケアプランに基づいてサービス提供事業者と契約してサービスを開始する |
要支援1・2と認定された場合、地域包括支援センターが「介護予防ケアプラン」を無料で作成します。利用者がケアプラン作成費用を負担する必要はありません(全額公費)。
認知症・成年後見・生前対策との関わり
地域包括支援センターは、認知症への対応・成年後見制度の活用・生前対策に関する情報提供でも重要な役割を果たします。
認知症への対応
- 認知症の疑いがある場合の相談:「物忘れが増えた」「同じことを何度も言う」等の症状について相談を受け付け、受診先の案内・認知症診断の流れを説明する
- 認知症初期集中支援チームへのつなぎ:医療・介護の専門家チームが自宅を訪問して早期の支援につなぐ「認知症初期集中支援チーム」が各センターまたは市区町村に設置されている
- 認知症カフェ・家族会の案内:認知症の方や家族が集える場所・情報の案内
- 認知症サポーターの養成や地域の見守りネットワークへの参加案内
成年後見制度の案内
・制度の仕組みや手続きの流れの説明
・市区町村長申立て(身寄りのない高齢者等)の案内
・「成年後見制度利用支援事業」(申立費用・後見人報酬の助成)の案内
・弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門家へのつなぎ
ただしセンターが後見の申立て手続きを代行することはありません。具体的な申立ては弁護士・司法書士に依頼する必要があります。
相続・遺言・家族信託との接点:高齢の親を持つ家族へ
地域包括支援センターへの相談をきっかけに、親の認知症・老後の生活設計という流れから相続・生前対策の必要性が見えてくることがよくあります。
| 「認知症が進む前に 財産管理の準備を したい」 |
センターで認知症の状況・進行度を確認しながら、判断能力があるうちに任意後見契約・家族信託・遺言書を専門家と準備することが重要。センターが専門家(行政書士・司法書士・弁護士)へのつなぎ役になることがある |
|---|---|
| 「施設に入る費用が 心配」 |
施設費用の見通しを立てながら、自宅の売却・賃貸活用・生命保険・家族信託での財産活用を検討する必要が生じることがある。不動産の売却は認知症後は原則できないため、判断能力があるうちに決断する |
| 「一人暮らしの親が 亡くなった後の 手続きが心配」 |
生前から「死後事務委任契約」「遺言書」を準備しておくことで、死後の手続きをスムーズにする。センターが死後事務委任を扱う専門家を案内することがある |
| 「不動産の相続を どうするか 話し合いたい」 |
センターの相談をきっかけに家族が集まり、実家の今後・相続の方針について話し合う機会が生まれることがある。相続登記の義務化(2024年4月〜)についても情報提供できる |
地域包括支援センターで介護・医療・生活面の支援を受けながら、行政書士・司法書士等の相続専門家で法的な生前対策を進める——この両輪が揃うことで、親が安心して老後を過ごせる環境と、残された家族が困らない相続の準備が同時に実現します。
虐待・権利侵害への対応
地域包括支援センターは高齢者虐待の防止・早期発見・対応において重要な役割を担っています。
| 虐待の種類 | 身体的虐待・心理的虐待・性的虐待・経済的虐待(財産の無断使用等)・ネグレクト(世話の放棄)の5種類。家族による虐待だけでなく施設従事者による虐待も対象 |
|---|---|
| 相談・通報できる人 | 高齢者本人・家族・近隣住民・医療や介護の関係者等、誰でも相談・通報できる。通報は義務ではないが「虐待かもしれない」という段階での相談も受け付けている |
| 相談後の対応 | センターが状況を確認して市区町村と連携しながら対応する。必要に応じて警察・福祉事務所・弁護士等と連携する |
| 経済的虐待と 相続の問題 |
認知症の高齢者の預金を家族が無断で引き出す・財産を勝手に処分するといった「経済的虐待」は相続でも深刻な問題になる。センターに相談することで早期対応につながる |
認知症の親の口座から家族が無断で引き出しを行っていた場合、死後の相続手続きで「使い込み」として問題になり、遺産分割が紛糾するケースが多くあります。早い段階でセンターに相談し、成年後見制度や家族信託で財産管理の仕組みを整えることが重要です。
よくある疑問(Q&A)
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