【徹底解説】基幹相談支援センターってどんな場所?誰のための相談窓口?相談内容を解説

基幹相談支援センターとは何か:役割と設置の背景

基幹相談支援センターは、障害のある方が地域で安心して生活できるよう、地域全体の相談支援体制の中核となる機関です。2012年(平成24年)の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)改正により、市区町村への設置が努力義務とされました。

「基幹」という名の通り、地域にある個別の相談支援事業所(障害者生活支援センター等)を後方支援・つなぎ役として束ねる「司令塔」のような役割を担っています。個別の相談対応も行いますが、特に「複雑で難しい問題」や「他の相談機関では対応しきれないケース」を専門的に支援する機能を持っています。

💡 この記事でわかること:
基幹相談支援センターの役割・設置背景、対象者と利用できる状況、4つの主な業務、障害者生活支援センターとの違い、相談窓口の使い方、困難ケースへの対応、「親なき後」問題・成年後見・相続との関わり、地域の支援ネットワークでの位置づけまで解説しています。

誰のための相談窓口か:対象者と利用できる状況

基幹相談支援センターは障害の種別を問わず幅広く対応します。また個人だけでなく、支援者・事業者からの相談も受け付けているのが特徴です。

📋 基幹相談支援センターを利用できる人
障害のある
本人・家族
身体障害・知的障害・精神障害(発達障害・高次脳機能障害等含む)・難病のある方とその家族。障害者手帳の有無・年齢・診断名の有無は問わない場合が多い
相談支援事業所・
サービス提供事業所
個別の相談支援事業所が対応に困った「困難ケース」の相談・後方支援を受けられる。専門的な助言・関係機関との調整を求めて相談することが多い
医療機関・
学校・職場等
「患者・生徒・従業員に障害があり支援の方法がわからない」という専門職からの相談にも対応する
地域住民・
近隣の方
「近所の方が心配」「どこに相談すればよいかわからない」という一般市民の問い合わせも受け付けている
「個別の相談支援事業所では難しいケース」が基幹の出番です:
すでに他の相談機関に相談したが解決しない・複数の問題が絡み合っている・緊急性が高い——そうした状況で基幹相談支援センターへの相談が特に効果的です。

主な業務:4つの役割を整理する

基幹相談支援センターは障害者総合支援法に基づき、4つの業務を担うことが定められています。

業務 具体的な内容
①総合的・
専門的な
相談支援
障害の種別・年齢・状況を問わない総合的な相談対応。身体・知的・精神の複合的な障害がある方・医療的ケアが必要な方・高齢障害者等の複雑なケースに専門的に対応する。個別の相談支援事業所が対応できないケースを受け止める「困難ケース対応」も含む
②地域の
相談支援体制の
強化
地域にある相談支援事業所・サービス提供事業所に対する助言・研修・スーパービジョン(専門的な指導・支援)を行う。相談支援専門員の人材育成・スキルアップ支援
③関係機関との
ネットワーク構築
医療・福祉・就労・教育・司法等の関係機関が連携できるネットワークを地域に構築する。自立支援協議会(地域の支援関係者が集まる会議体)の運営・参画を通じた連携強化
④権利擁護・
虐待防止
障害のある方の権利侵害・虐待に関する相談対応・早期発見・防止に取り組む。成年後見制度の利用相談・情報提供。市区町村の障害者虐待防止センターとの連携

障害者生活支援センターとの違い

「基幹相談支援センター」と「障害者生活支援センター」は名称が似ており混同されやすいですが、役割・対象・機能が異なります。

📋 基幹相談支援センター vs 障害者生活支援センター
基幹相談支援センター 障害者生活支援センター
(一般の相談支援事業所)
主な役割 地域の相談支援体制の中核・困難ケース対応・ネットワーク構築・人材育成 個別の相談対応・サービス等利用計画の作成・モニタリング
設置数 市区町村に原則1か所 地域に複数存在することが多い
得意な場面 複雑・困難な事例・複数機関の連携が必要な場面・支援者からの相談 日常的な相談・サービス利用支援・継続的なモニタリング
個別の
計画作成
実施する場合もあるが中心ではない 主要業務の一つ
最初の相談先 どちらに連絡しても対応可能。適切な機関につないでもらえます
💡 「まずどちらかに電話」で大丈夫:
基幹・障害者生活支援センターのどちらに最初に連絡しても、担当者が状況を聞いて適切な窓口につないでくれます。「どちらに相談すればいいか」で悩むより、まず電話してみることが最善です。

相談窓口の使い方:初めて連絡するときのポイント

初回の相談で伝えるとよいこと

  • 誰についての相談か:本人・子ども・親・兄弟姉妹・近隣の方等
  • 障害の種類・診断名(わかれば):なくても相談可能
  • 現在困っていることを具体的に:「他の相談機関に行ったが解決しなかった」「複数の問題が重なっている」等の状況を伝える
  • 現在利用しているサービス・支援機関(ある場合)
  • 連絡先と折り返し可能な時間帯

センターの探し方

管轄の基幹相談支援センターを探す方法:

住んでいる市区町村の障害福祉担当課(障害福祉課・障害支援課等)に電話して「基幹相談支援センターはどこですか」と尋ねる
② 市区町村の公式ウェブサイトで「基幹相談支援センター」を検索する
③ 近くの障害者生活支援センターや相談支援事業所に問い合わせて紹介してもらう

市区町村に1か所が原則のため、「自分の住んでいる市区町村の基幹相談支援センター」を探すことがポイントです。

困難ケースへの対応:専門的な支援が必要な場面

基幹相談支援センターが特に力を発揮するのが「困難ケース」と呼ばれる複雑な事例です。

📋 基幹が対応する「困難ケース」の例
複合的な
障害がある
身体障害と知的障害を併せ持つ・精神障害と発達障害が重複している等、複数の障害種別にまたがる支援が必要なケース
医療的ケアが
必要
人工呼吸器・経管栄養・たんの吸引等が必要な方の在宅生活支援。医療機関との密接な連携が必要
高齢障害者 障害のある方が高齢になり、介護保険サービスと障害福祉サービスの両方を利用する場面での調整。地域包括支援センターとの連携が必要
サービス拒否・
支援拒否
本人や家族がサービスを拒否していて支援が届かないケース。アウトリーチ(訪問)での丁寧な関係構築が必要
家族全体が
課題を抱える
障害のある方の家族が高齢化・病気・経済的困窮等の問題を抱えている「8050問題」等。家族全体を支援する視点が必要
緊急的な
支援が必要
介護者が突然倒れた・虐待が疑われる等の緊急事態への迅速な対応

「親なき後」問題・成年後見・相続との関わり

基幹相談支援センターへの相談の中で近年特に増えているのが、障害のある子の「親なき後」問題——親が高齢になった・亡くなった後の生活をどう守るかという課題です。

基幹相談支援センターができること

  • 住まいの確保の支援:グループホーム・入所施設等への移行を支援。待機状況の確認・申込手続きのサポート
  • 日中活動・サービスの継続確認:親の死亡後も生活介護・就労継続支援等のサービスが途切れないよう調整する
  • 成年後見制度の利用相談:知的障害・精神障害等により判断能力に不安がある方への成年後見制度の案内・市区町村への申立て支援
  • 専門家へのつなぎ:遺言書・家族信託・任意後見等の法的な生前対策について、行政書士・弁護士・司法書士等の専門家を紹介する
  • 地域の「親なき後」支援ネットワーク(NPO・親の会・後見センター等)への接続

相続手続きで「障害のある相続人がいる場合」の注意点

判断能力が不十分な方は遺産分割協議に参加できません。
知的障害・精神障害等により判断能力が不十分な相続人がいる場合、その方の代理人として成年後見人の選任が必要です。後見人が選任されるまで遺産分割協議は進められません。早めに家庭裁判所への申立てを検討してください(具体的な手続きは弁護士・司法書士へ)。
📋 親が生前にできる「親なき後」への法的準備
遺言書の作成 障害のある子への配分を遺言書に明記することで、遺産分割協議の必要性を最小化できる。遺言執行者を指定しておくと手続きがスムーズ。公正証書遺言が最も確実
家族信託の設定 信頼できる兄弟姉妹等を受託者として財産管理を委ねる仕組み。親が亡くなった後も受託者が障害のある子のために財産を管理・活用できる。「受益者連続型信託」で細かな承継設計も可能
生命保険の活用 障害のある子を受取人に指定することで、遺産分割協議なしに直接財産を渡せる。ただし受取人が判断能力に問題がある場合は後見人が受け取る形になる
任意後見契約 障害のある子本人の判断能力に応じて任意後見契約を締結しておく方法。知的障害が重い場合は難しいが、軽度の場合は選択肢になる
「福祉の準備」と「法的な準備」の両方が必要:
基幹相談支援センターで「グループホーム・サービスの確保」という福祉的な準備を進めながら、行政書士・司法書士等の専門家で「遺言書・家族信託」という法的な準備を並行して行うことが、親なき後問題の最も包括的な解決策です。

地域の支援ネットワークにおける位置づけ

基幹相談支援センターは単独で機能するのではなく、地域の多様な機関と連携するネットワークの中核として機能します。

📋 基幹相談支援センターが連携する主な機関
市区町村の
障害福祉担当課
障害福祉サービスの支給決定・申請受付。基幹相談支援センターの設置・運営を担当する行政窓口
障害者生活
支援センター
(相談支援事業所)
個別の相談支援・サービス等利用計画の作成を担う事業所。基幹はこれらを後方支援・指導する立場
地域包括支援
センター
高齢障害者が介護保険サービスと障害福祉サービスの両方を利用する際の連携。「8050問題」等への協働対応
医療機関 精神科・小児科・リハビリ病院等との連携。退院支援・地域移行支援の調整
就労支援機関 ハローワーク・就労移行支援事業所・障害者就業・生活支援センター等との連携
法的専門機関 弁護士・行政書士・司法書士・成年後見センター等。権利侵害・虐待・相続・後見問題への対応での連携
自立支援協議会 地域の支援関係者が定期的に集まる協議の場。基幹相談支援センターが事務局を担うことが多い

利用にかかる費用

基幹相談支援センターへの相談は無料です。

相談・情報提供:無料(公費負担のため利用者の自己負担なし)

計画相談支援(サービス等利用計画の作成・モニタリング):利用者負担なし(全額公費)

障害福祉サービス本体:原則1割負担(所得に応じた上限月額あり。低所得の方は軽減制度あり)

成年後見申立て・後見人報酬:別途費用が発生(申立て費用:数千〜1万円程度の収入印紙等。後見人報酬:月額2〜6万円程度。費用が困難な場合は市区町村の「成年後見制度利用支援事業」の助成制度あり)

よくある疑問(Q&A)

Q. すでに障害者生活支援センターに相談しています。基幹相談支援センターにも相談したほうがいいですか?
現在の相談支援事業所(障害者生活支援センター等)で解決できている場合は、無理に基幹相談支援センターに相談し直す必要はありません。ただし「複数の問題が絡み合っていて対応が難しい」「専門的なアドバイスが必要」「他の機関との連携が必要」と感じている場合は、現在の担当者に「基幹相談支援センターに相談してほしい」と伝えることで、バックアップ支援を受けられます。
Q. 知的障害のある兄が相続人になりました。遺産分割協議はどう進めればいいですか?
知的障害により判断能力が不十分な場合は、成年後見人の選任が必要です。家庭裁判所に「後見開始の審判の申立て」を行い、後見人が選任された後に後見人が兄を代理して遺産分割協議に参加します。申立てから選任まで数か月かかることがあるため早めに対応してください。また基幹相談支援センターに相談することで、成年後見制度の案内・申立て費用の助成制度の情報・専門家の紹介を受けられます。
Q. 障害のある子のために財産を残したいのですが、どこに相談すればいいですか?
2か所に相談することをおすすめします。①基幹相談支援センター(または障害者生活支援センター)で「将来の生活支援・グループホームの確保・成年後見の準備」という福祉的な側面を相談する。②行政書士・司法書士・弁護士等の相続専門家で「遺言書・家族信託・生命保険の受取人設定」という法的・財産的な準備を相談する——この2つを並行して進めることが最も確実です。
Q. 「8050問題」で家族全員が困っています。基幹相談支援センターで相談できますか?
はい、相談できます。「8050問題」(80代の高齢の親が50代のひきこもり・障害のある子を支えている状況)は基幹相談支援センターが対応する典型的な困難ケースの一つです。障害のある方の支援だけでなく、高齢の親の介護も絡む場合は地域包括支援センターとも連携して家族全体を支援する体制を作ります。まず基幹相談支援センターか市区町村の障害福祉担当課に相談するところから始めてください。

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