相続で借金があるかも?信用情報・督促・保証人の確認ポイント

「もしかして借金があるかも…」と感じたら、最初に大事なのは“調べる順番”です。
結論から言うと、次の3つだけ先に押さえておくと失敗が激減します。

  • ①期限 相続の判断は原則3か月(迷うなら期間の伸長も検討)
  • ②やってはいけない 遺産の処分や使い込みは、相続した扱いになり得る
  • ③調査 督促・信用情報・保証人の3ルートで確認する

関連:先に全体の段取りを把握したい方へ
相続は期限がいくつも出てきます。全体像は先にこちらで押さえると安心です:
〖2026年対応〗相続手続きの全体像:やることチェックリスト(期限順)


目次


1. まず最初に:借金調査でやりがちなNG行動

借金があるか不明なとき、よかれと思ってやった行動が、後から不利になることがあります。特に次の3つは注意です。

  • NG1 故人の口座からお金を引き出して生活費に充てる
  • NG2 とりあえず督促が来たので支払ってしまう
  • NG3 価値がありそうな遺品や車・不動産を売却/名義変更してしまう

これらは状況によって、相続したものとみなされる(単純承認)方向に働く可能性があります。
判断前は基本的に「遺産は触らない・動かさない・名義を変えない」が安全です。

関連:相続放棄を検討している方へ
「やってはいけない行動」や3か月の数え方は、こちらでも具体例付きで整理しています:
相続放棄の判断基準:3か月の起算点・やってはいけない行動・費用


2. 借金チェックの全体像:3ルートで探す(督促・信用情報・保証)

借金調査は、次の3ルートを押さえると漏れにくいです。

① 督促・郵便物ルート:自宅に届く通知で見つける
② 信用情報ルート:金融取引の“痕跡”を一覧で確認する
③ 保証ルート:保証人・連帯保証・根保証など「見えにくい負債」を拾う

コツ
「督促が来ていない=借金がない」ではありません。住所変更・電子明細・保証債務などで表に出ないこともあるので、3ルートで確認しましょう。


3. 督促・郵便物の見方:見落としやすい封筒と文言

(1)封筒で要注意のもの
  • 重要 「親展」「簡易書留」「特別送達」「転送不要」
  • 見落とし 信販会社・保証会社・債権回収会社(サービサー)名義
  • 地味だけど重要 銀行の「お知らせ」風の封筒(ローン・保証関連が紛れることがあります)
(2)本文で拾うキーワード
  • 督促 「期限の利益喪失」「一括請求」「代位弁済」「保証履行」
  • 裁判 「支払督促」「訴状」「仮差押」「和解提案」
  • 保証 「保証委託」「連帯保証」「根保証」「保証極度額」

ここでの注意点
内容の確認は大切ですが、支払い・解約・名義変更など“結論が出る行動”は先にしないほうが安全です。
まずは「何の債務か」「いくらか」「いつの契約か」をメモして整理しましょう。


4. 信用情報で調べる:CIC/JICC/全銀協(死亡者開示)の使い分け

「借金の有無をまとめて確認したい」ときに強いのが、信用情報(いわゆるクレジットの履歴)です。
ポイントは、1社だけではなく取引先に応じて3つを使い分けることです。

機関 拾いやすい取引 相続で見る意味
CIC クレジットカード、割賦(分割払い)など カードローン・分割の残や、契約の痕跡を拾いやすい
JICC 消費者金融、クレカ系キャッシング等 消費者ローンの可能性を確認しやすい
全国銀行個人信用情報センター(全銀協) 銀行、信用金庫、住宅ローン等 銀行借入・ローンの痕跡を拾いやすい

信用情報の限界(大事)
信用情報は「すべての借金が載る」わけではありません。個人間の借金、税金、未払い医療費、保証の種類によっては載らないものもあります。
だからこそ、督促・保証ルートとセットで確認します。


5. 「保証人・連帯保証」が一番危ない:確認ポイントと代表例

相続で見落としやすく、しかも金額が大きくなりやすいのが保証債務です。
借りた本人ではなくても、保証人としての義務が残っていれば、相続で引き継ぐ可能性があります。

(1)確認ポイント(最低限ここ)
  • 誰のための保証? 友人・親族・会社(役員保証)など
  • 保証の種類 保証/連帯保証/根保証(極度額のある保証)
  • 書類の場所 金融機関の契約書控え、保証委託契約書、会社の借入関係ファイル
  • 見落としがち 賃貸借の保証、事業の取引保証、身元保証契約
(2)「根保証」っぽい言葉が出たら要注意

根保証(一定の範囲で繰り返し発生する債務をまとめて保証する形)は、金額が読みにくく不安が大きくなりがちです。
契約書に「極度額」や「根保証」という記載がないかをチェックしましょう。


6. 不動産がある人は登記もチェック:抵当権・根抵当権のヒント

不動産を持っている方は、借入がある場合、抵当権根抵当権が付いていることがあります。
登記事項証明書(登記簿)を見ると、金融機関名が手がかりになることが多いです。

  • 見る場所 甲区(所有者)ではなく、乙区(担保権)
  • 見る項目 抵当権者(銀行名など)、設定の年月日、極度額(根抵当権の場合)
  • 次の一手 抵当権者が分かったら、その金融機関に「残高証明」等の相談へ

関連:不動産が絡む方へ
名義変更がまだの場合は、こちらの解説もあわせてどうぞ:
〖初心者向け〗相続した不動産の名義変更(相続登記)とは?期限・必要書類・費用・進め方
相続登記の期限(義務化)については、こちらで整理しています:
相続登記はいつまで?義務化の期限・過料の考え方・間に合わない時の対処(2026年対応)


7. 借金が見つかったら:支払う前に決めるべきこと(放棄/限定承認/承認)

借金が見つかったとき、いちばん危ないのは「怖くて、とりあえず払う」ことです。
支払う前に、次の順番で整理してください。

Step1:借金の全体像(総額・相手先・保証の有無)をメモ
Step2:遺産の全体像(預金・不動産・保険・株など)をざっくり把握
Step3:3つの選択肢を比較
  ・相続放棄:プラスもマイナスも引き継がない
  ・限定承認:プラスの範囲でマイナスも整理する(相続人全員の協力が必要になりやすい)
  ・単純承認:全部引き継ぐ(何もしないとこの扱いに近づくことも)
Step4:判断が間に合わないなら「期間の伸長」を検討

関連:相続放棄の判断で迷うとき
起算点(いつから3か月?)や、やってはいけない行動を具体例で確認できます:
相続放棄の判断基準:3か月の起算点・やってはいけない行動・費用


8. 失敗例:3か月を過ぎた/払ってしまった/遺品整理で処分した

失敗例1:郵便物を放置して、気づいたら3か月が過ぎていた

相続の判断は時間勝負になりがちです。相続人が遠方・疎遠だった場合ほど、まず「郵便物の仕分け」から始めるのがおすすめです。

失敗例2:督促が怖くて払った(または口座から引き出した)

事情によって扱いが分かれることがありますが、判断前は“動かしすぎない”のが原則です。まずは証拠を固め、方針が決まってから対応しましょう。

失敗例3:遺品整理で売却・解約・名義変更を先にしてしまった

「処分」に当たる可能性がある行為をすると、後で相続放棄等が難しくなるリスクがあります。売却・解約・名義変更は、相続方針が固まってからにするのが安全です。


9. まとめ:最短で安全に進める「7日間の動き方」

Day1:郵便物を全部集める(督促/金融/保証っぽいものを分ける)
Day2:通帳・カード・契約書ファイルを探索(ローン/保証/保険)
Day3:不動産の登記を確認(抵当権・根抵当権の有無)
Day4:信用情報の申込み準備(CIC/JICC/全銀協:法定相続人としての開示)
Day5:相続人関係を整理(戸籍/法定相続情報一覧図があると楽)
Day6:借金と資産を“ざっくり表”にする(総額の見通し)
Day7:放棄/限定承認/承認の方向性を仮決め(迷うなら期間伸長も検討)

借金調査は、早い段階で「見える化」できるほど、家族の不安が減り、判断もブレにくくなります。
焦って支払うより、まずは督促・信用情報・保証の3ルートで確認して、正しい順番で進めていきましょう。


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