相続手続きは誰がやる?代表者を決めるコツと家族の役割分担
相続が始まると、「結局、誰が手続きをやるの?」となりがちです。
先に結論をお伝えすると、相続手続きは“1人で全部やる必要はありません”。ただし、家族が動きやすくなるように窓口(代表者)を決めるのがコツです。
この記事でわかること
・「代表者=全部を決める人」ではない理由
・揉めにくい代表者の決め方(家族会議の進め方)
・役所・銀行・不動産・税金を“分担”する具体例
・やり取りがスムーズになる「共有ルール」とテンプレ
目次
1. そもそも相続手続きは「誰の仕事」?代表者は必要?
相続手続きは、法律上は相続人それぞれの手続きが積み重なって進みます。
ただ、実務では次の理由で「窓口(代表者)」がいると、驚くほどスムーズになります。
- 連絡が一本化 役所・銀行・不動産会社・専門家とのやり取りが散らばらない
- 期限管理 3か月・4か月・10か月など“期限の地雷”を踏みにくい
- 家族の負担分散 「誰か1人だけが疲弊する」を防げる
ポイント
代表者は「全部やる人」ではなく、“交通整理役(司令塔)”です。
大切なのは、代表者を決めたうえで分担することです。
2. 「代表者=決定権がある人」ではありません(よくある誤解)
相続の現場で多い誤解がここです。
相続手続きの代表者は、あくまで窓口・事務の中心であって、勝手に分け方を決められる立場ではありません。
(1)代表者ができること
- 家族の予定を調整して、話し合いの場を作る
- 必要書類(戸籍・残高証明・評価資料など)を集める“段取り”を組む
- 金融機関や役所に「問い合わせ」をする
- 進捗を共有し、タスクの抜け漏れを防ぐ
(2)代表者が「単独では」できないこと(誤解されがち)
- 分け方の決定 遺産の分け方は、原則として相続人の合意が必要です
- 勝手な売却 不動産や大きな財産の処分は、合意なしだとトラブルになりやすい
- 勝手な引出し 代表者だからといって自由に預金を動かしてよいわけではありません
似ているけど別物:遺言執行者
遺言書に「遺言執行者」が指定されている場合、遺言内容の実現(名義変更や解約など)を進める役割を担います。
一方で、この記事の「代表者」は家族の事務窓口の意味合いです。混同しないのが大切です。
3. 代表者を決めるコツ:揉めにくい“3つの基準”
「長男だから」「同居していたから」で自動的に決めると、後から不満が出やすいことがあります。
揉めにくいのは、次の3つの基準で“納得感”を作る決め方です。
基準①:連絡がつきやすい人(レスが早い人)
相続は、役所・銀行・不動産などからの確認が重なります。
「平日昼に電話できる」「メールの返信が早い」だけで、手戻りが減ります。
基準②:公平に動ける人(お金に触れない設計でもOK)
代表者に不信感が出やすいのは「お金を握っている」と見えるときです。
代表者はお金を動かさない設計にして、「記録だけ取る」役にするのも有効です。
基準③:事務が得意な人(ただし“抱え込み”は禁物)
書類や期限が多いので、事務処理が得意な人は向いています。
ただし、抱え込むと疲れてしまうので、最初から分担をセットにしましょう。
家族会議の進め方(3ステップ)
①まず「窓口(代表者)だけ」決める → ②次に役割分担を決める → ③共有ルール(記録・報告)を決める
分け方(遺産分割)の話は、材料が揃ってからで大丈夫です。
4. 家族の役割分担モデル:銀行・戸籍・不動産・税金を分ける
相続手続きは「一気に全部」ではなく、分けると進みやすいです。
下の分担表は、そのままコピペで家族に共有して使えます。
| 役割 | 主な担当内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 代表者(窓口) |
・全体の期限管理/タスク表管理 ・家族への進捗共有(週1など) ・役所・銀行・専門家への問い合わせ窓口 |
連絡が早い/調整が得意 |
| 戸籍・相続関係担当 |
・戸籍の収集(出生〜死亡) ・法定相続人の確定/家系図メモ ・法定相続情報一覧図の検討 |
書類集めが得意 |
| 銀行・預貯金担当 |
・残高証明の取得依頼 ・解約/払戻しに必要な書類の確認 ・各相続人への署名・印鑑依頼の段取り |
電話対応が苦じゃない |
| 不動産担当 |
・固定資産税通知書、登記情報の確認 ・名義変更(相続登記)準備 ・売却/賃貸/保有の方向性整理 |
不動産に抵抗がない |
| 税金担当 |
・準確定申告の要否チェック(期限:4か月) ・相続税がかかりそうかの一次判断(期限:10か月) ・医療費・保険・株など資料集め |
数字が得意/慎重派 |
| 家族ケア担当 |
・高齢の相続人や遠方相続人のフォロー ・説明の橋渡し(不安の吸収役) ・署名・実印・印鑑証明の段取り支援 |
気配り上手 |
分担のコツ
「代表者=全部」にならないように、“窓口”と“作業”を分けるのが成功パターンです。
たとえば、代表者は“管理”だけ、銀行担当が“手続き”を進める、という形が疲れにくいです。
5. 代表者がやると楽になる「共通タスク」チェックリスト
分担しても、代表者が押さえると全員が楽になる“共通タスク”があります。
- 期限カレンダー 3か月(放棄)/4か月(準確定申告)/10か月(相続税)などを一覧化
- 共有フォルダ 「戸籍」「銀行」「不動産」「税金」でフォルダ分け(写真でもOK)
- タスク表 誰が・いつまでに・何をするか(1枚にまとめる)
- 議事メモ 話し合った内容を短く残す(誤解と揉め事を減らす)
- 署名・実印リスト 誰に何の書類を回すかを整理(印鑑証明の期限も意識)
(おすすめの共有ルール) ・週1回:代表者が「進捗と次の予定」をグループLINEで共有 ・重要書類:写真→共有→原本の保管場所を明記 ・お金:動かす前に“必ず”相続人に共有(あとで疑念が生まれにくい)
6. うまく進まない時のサイン:放棄・トラブル・期限の見落とし
相続は「家族が協力できる前提」で組み立てると、詰まったときに一気に崩れます。
次のサインがある場合は、早めに方針転換(専門家の介入を含む)を検討すると安全です。
(1)借金や保証が不安/督促が来た
この場合は、分担より先に期限(3か月)を最優先で守る必要があります。
「調べてから決めたい」場合でも、期間の中で動けるように段取りを組みましょう。
(2)相続人の関係が悪く、連絡が取れない
代表者の人柄では解決できないケースもあります。
「連絡が取れない」「署名が集まらない」といった場合は、手続きの順番自体を見直す必要が出ます。
(3)不動産が絡み、話がまとまらない
相続登記(名義変更)や売却の話は、感情も絡みやすい分野です。
まずは“資料をそろえる”段階まで進めてから、合意形成に入るとまとまりやすくなります。
迷ったら「全体像」から整える
相続は、期限が短いもの→財産把握→分け方→名義変更…の順で整理すると、家族の衝突が減りやすいです。
手順の並べ替えは、こちらの記事も参考にしてください:
〖2026年対応〗相続手続きの全体像:やることチェックリスト(期限順)
7. まとめ:今日決めるべきことは「窓口・期限・共有ルール」
相続手続きでいちばんラクになるのは、最初に「決めるべきこと」を絞ることです。
今日の時点で、まずは次の3つだけ決めてください。
- ①窓口 代表者(連絡係)を1人決める
- ②期限 3か月・4か月・10か月の“期限”をカレンダーに書く
- ③共有 進捗共有の頻度と、書類の置き場(フォルダ)を決める
この3つが決まるだけで、「誰が何をやるか」が自然に整理され、家族のストレスも減ります。
もし、代表者を決めても動けない・揉めそう・期限が迫っている…という場合は、早めに専門家へ相談することも立派な“役割分担”のひとつです。
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