おひとりさまの終活にかかる費用はいくら?|遺言・後見・死後事務・身元保証の費用を整理

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ハートリンク行政書士法人 代表社員
行政書士 讓原 敬 (ゆずりはら ひろし)
日本行政書士会連合会所属(登録番号: 第13091504号)
東京都行政書士会 会員番号: 第14407号

相続手続き・遺言書作成・家族信託など、生前対策から死後事務まで累計5,200件以上の相談に対応。複雑な金融機関の手続きや、ご家族の状況に合わせたオーダーメイドの相続対策を得意とする。東京(中央区日本橋人形町)と横浜、千葉を拠点に、「ご家族の絆を守る円満な相続」の実現をサポートしている。

この記事の結論

おひとりさまの終活費用は大きく「準備時の初期費用」と「発動後の継続費用」に分かれます。初期費用(遺言書作成・死後事務委任・任意後見・身元保証の契約費用)の合計目安は30〜80万円程度。発動後の継続費用(任意後見人報酬・監督人報酬・見守り料等)は月3〜10万円程度、葬儀・納骨の実費は30〜100万円程度かかります。これらは全て自分の財産から支払われる「自分のための投資」です。「費用がかかるからやらない」は最も危険な選択で、何も準備しないと死後の手続きに多大な時間・費用がかかり・希望通りの最期を迎えられません。複数の契約を一括依頼すると割安になることが多く、まずは相談だけでも始めることをおすすめします。

終活費用の全体像:初期費用と継続費用に分けて考える

おひとりさまの終活費用を正確に把握するには「一度払う初期費用」と「毎月・毎年かかる継続費用」を分けて考えることが重要です。

📋 終活費用の全体構造:初期費用と継続費用
初期費用
(一度払う)
各契約の作成費用・公証役場費用・専門家報酬等。合計30〜80万円程度が目安(内容・依頼先によって変動)。遺言書・死後事務委任・任意後見を一括依頼すると割安になることが多い
継続費用
(毎月かかる)
見守り契約の月額料金・任意後見発動後の後見人報酬・身元保証サービスの月会費等。月3,000円〜10万円程度(発動前・後で大きく変わる)
実費
(死後に発生)
葬儀・納骨費用・遺品整理・住居退去費用等。合計30〜150万円程度(葬儀形式・納骨先によって大きく異なる)。生前に積み立て・預託金として準備しておく
💡 この記事でわかること:
各契約(遺言書・死後事務委任・任意後見・身元保証・葬儀)の費用の詳細、3つのケース別総額シミュレーション、費用を抑えるポイント、費用の準備方法(どこから捻出するか)まで具体的な金額を示しながら解説しています。

①遺言書(公正証書遺言)の費用

おひとりさまの遺言書は「公正証書遺言」で作成することを強くおすすめします。費用は財産の総額・内容の複雑さによって変わります。

費用の種類 金額の目安 備考
行政書士への
作成依頼費用
5〜15万円程度 内容の相談・文案作成・公証役場との調整・証人手配等を含む報酬。死後事務委任・任意後見と一括依頼すると割安になることが多い
公証役場の
手数料
1万1,000円〜
(財産額による)
遺贈財産の価額に応じて計算される。財産総額1,000万円以下なら1万1,000円程度・3,000万円で3万円程度が目安。複数の相手に遺贈する場合は加算される
遺言書の
見直し・改訂費用
3〜10万円程度 ライフイベント(財産変動・関係者の変化等)があるたびに見直しが必要。5年に1度程度の改訂をおすすめする
自筆証書遺言(法務局保管制度)の費用:

自筆証書遺言を法務局に保管する場合の手数料は1通3,900円と安価です。ただし内容の法的有効性は法務局が確認しないため、形式・内容の不備で無効になるリスクがあります。専門家への相談なしに自作した場合、いざというときに無効になる可能性があります。費用は安くても確実性が低いことを理解した上で選択してください。
📜 公正証書遺言(推奨)
専門家報酬+公証役場手数料の合計
初期費用:7〜20万円程度
確実性が最も高い。遺言執行者を指定すれば死後の手続きもスムーズ
✍️ 自筆証書遺言(法務局保管)
法務局保管手数料のみ
初期費用:3,900円
専門家に相談せず作成した場合は無効リスクあり。内容の確認には専門家への相談が別途必要

②死後事務委任契約の費用

死後事務委任契約は「契約時の費用」と「死後に発生する実費」の2種類があります。

費用の種類 金額の目安 備考
専門家への
契約作成費用
10〜30万円程度 委任事務の範囲・内容によって変動。遺言書・任意後見と一括依頼すると割安になることが多い
公正証書化
手数料
1万1,000円程度 死後事務委任契約を公正証書で作成する場合の公証人手数料(推奨)
預託金
(実費の準備)
30〜100万円程度 葬儀費用・遺品整理・住居退去・各種解約手続き等の実費として事前に預ける金額。委任事務の範囲が広いほど多く必要。管理方法(信託・分別管理等)の確認が重要
死後の
受任者報酬
10〜30万円程度 受任者が死後に実際に動いた際の報酬。預託金から支払われることが多い
⚠️ 「預託金」は業者の信頼性確認が最重要です。
死後事務委任の預託金は業者が倒産・廃業した場合に戻らないリスクがあります。「分別管理しているか」「信託で保全しているか」を必ず確認してから預けてください。

③任意後見契約・見守り契約の費用

任意後見の費用は「発動前(見守り期間)」と「発動後(後見開始後)」で大きく異なります。

費用の種類 金額の目安 発生タイミング
専門家への
契約作成費用
5〜15万円程度 契約時(一度)
公正証書化
手数料
1万1,000円程度 契約時(一度)。法律上、任意後見契約は公正証書作成が必須
見守り契約の
月額費用
月3,000〜1万円程度 毎月継続(発動前の期間)。定期的な電話・訪問による状態確認
任意後見人への
月額報酬
月1〜5万円程度 毎月継続(発動後)。財産管理の規模・業務量による
任意後見監督人への
月額報酬
月1〜3万円程度 毎月継続(発動後)。裁判所が金額を決定。本人の財産から支払われる
発動前は月数千円・発動後は月3〜8万円程度というイメージで計画を:
認知症が進んで任意後見が発動するまでの間は見守り費用のみ(月3,000〜1万円)で済みます。発動後は後見人報酬+監督人報酬で月3〜8万円程度かかります。施設入居費用と合わせて老後資金のシミュレーションをしておくことをおすすめします。

④身元保証サービスの費用

身元保証サービスは事業者によって費用体系が大きく異なります。複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

費用の種類 金額の目安 備考
入会金・登録料 5〜30万円程度 初回のみ。サービスの範囲・法人の種類によって差が大きい
月額会費 月3,000〜1万円程度 見守り・緊急連絡先提供・書類対応等が含まれることが多い
身元保証書
発行料
1〜5万円/件 入院・施設入居のたびに発生することがある。回数制限・上限の確認が必要
預託金 30〜100万円程度 緊急費用・葬儀費用等として事前に預ける場合がある。解約時の返還条件を必ず確認する
⚠️ 身元保証サービスは業者によって費用が3〜10倍異なります。
「入会金3万円・月額5,000円」の業者から「入会金30万円・預託金100万円」の業者まで幅があります。高額な業者が必ずしも良いサービスとは限りません。費用だけでなく「倒産リスクへの対策(分別管理・信託)」「実績・継続性」を必ず確認してください。

⑤葬儀・納骨の費用

葬儀・納骨は死後に発生する最大の実費です。生前に概算を把握して準備しておくことが重要です。

項目 費用の目安 おひとりさまの選択肢
葬儀費用
(直葬)
10〜30万円程度 火葬のみ。費用最小・手続き簡素。おひとりさまに最も多い選択
葬儀費用
(家族葬)
50〜150万円程度 少人数(5〜20人)での葬儀。親しい人にお別れしてもらいたい場合
納骨費用
(永代供養墓)
20〜100万円程度 後継者不要・管理費なし。おひとりさまに最も向いた選択
納骨費用
(樹木葬)
10〜70万円程度 自然に還りたい方に。場所・形式によって費用差が大きい
納骨費用
(散骨)
5〜30万円程度 海洋散骨・山林散骨等。最も費用が抑えられる選択肢
遺品整理費用 10〜50万円程度 部屋の広さ・荷物の量による。業者に委託。死後事務委任に含めることが多い

総額シミュレーション:3つのケース別まとめ

実際にどれくらいかかるかを3つの典型的なケースでシミュレーションします。

ケースA:最小限プラン(遺言書+死後事務委任のみ)

💡 ケースA:最小限プラン(70歳・年金収入あり・大きな病気なし・施設入居の予定なし)
公正証書遺言(専門家費用+公証役場)約15万円
死後事務委任契約(作成費用)約15万円
葬儀費用(直葬)約20万円
納骨費用(散骨)約15万円
遺品整理費用約20万円
概算総額 約85万円

※ 継続費用(見守り等)は含まず。実費は死後に遺産から支払われることが多い

ケースB:標準プラン(遺言書+死後事務委任+任意後見+見守り)

💡 ケースB:標準プラン(65歳・認知症リスクを考慮・施設入居の可能性あり)
公正証書遺言(作成)約15万円
死後事務委任契約(作成)約15万円
任意後見契約(作成)約10万円
見守り費用(月5,000円×12か月×10年)約60万円
葬儀費用(家族葬)約80万円
納骨費用(永代供養)約50万円
遺品整理費用約20万円
概算総額 約250万円

※ 任意後見発動後の後見人・監督人報酬(月3〜8万円×数年)は別途かかります

ケースC:フルプラン(全契約+身元保証+施設入居対応)

💡 ケースC:フルプラン(60歳・施設入居の予定あり・全方位の備えを希望)
公正証書遺言・死後事務委任・任意後見(一括)約35万円
身元保証サービス(入会金)約15万円
身元保証サービス(月額5,000円×12か月×20年)約120万円
見守り費用(月5,000円×12か月×15年)約90万円
葬儀費用(直葬〜家族葬)約50万円
納骨費用(永代供養)約50万円
遺品整理・住居退去費用約30万円
概算総額 約390万円

※ 任意後見発動後の後見人・監督人報酬は別途。数字はあくまで目安です


費用を抑えるポイント:一括依頼・優先順位・段階的準備

終活費用を少しでも賢く抑えるためのポイントを整理します。

  • 複数の契約を同じ事務所に一括依頼する:遺言書・死後事務委任・任意後見・見守りを同一の行政書士事務所に依頼すると個別依頼より20〜30%程度安くなることが多い。また情報の一元管理・連携がスムーズになるメリットも大きい
  • 優先順位をつけて段階的に準備する:一度に全部揃える必要はない。まず「①遺言書(最重要)→②死後事務委任→③任意後見→④身元保証」の順で準備する。遺言書だけでもあれば財産の行き先問題は解決できる
  • 葬儀は直葬を選ぶ:葬儀形式の選択で費用は大きく変わる。「直葬(10〜30万円)」と「一般葬(150万円以上)」では100万円以上の差がある。おひとりさまには直葬または小規模家族葬が費用・手続きともに適している
  • 身元保証サービスは複数社を比較する:業者によって費用が3〜10倍異なる。任意後見の受任者(行政書士等)が緊急連絡先・手続き代行を担える場合は身元保証サービスが不要または簡易なものでよい場合もある
  • 自筆証書遺言(法務局保管)を活用する(ただし要注意):法務局保管の自筆証書遺言は3,900円と安価だが、内容の不備で無効になるリスクがある。専門家に有料で内容確認してもらった上で法務局保管にするという組み合わせが費用を抑えながら確実性を高める方法
「まず遺言書1本だけ」でも大きな違いが生まれます:
全ての準備を一度に揃えるのが難しい場合、まず「公正証書遺言(遺言執行者付き)」を1本作成するだけで「財産の行き先・手続きの担当者」という最大の問題が解決されます。費用は15万円前後。これが終活の最初の一歩として最も費用対効果が高い選択です。

費用の準備方法:どこから捻出するか

終活費用は全て「自分の財産から支払う自分のための投資」です。捻出方法を考えておくことも重要です。

📋 終活費用の準備方法
預貯金から
捻出する
最もシンプルな方法。「終活専用の口座」を作って積み立てておくことで、死後に受任者が確認・使用しやすくなる。「終活費用用:〇〇万円」とエンディングノートに記載しておく
死後事務委任の
預託金として準備
葬儀・遺品整理等の実費相当額を受任者に預託金として預けておく。受任者が死後に必要経費を支払う。預託金の管理方法(信託・分別管理)を確認することが必須
生命保険・
死亡保険金の活用
死後事務委任の受任者または友人・団体を保険金の受取人に指定することで、死後の費用として活用できる。ただし保険金の受取人指定は保険会社ごとに手続きが必要。事前に保険会社に確認する
遺産からの
事後精算
初期費用は自分で支払い、葬儀等の実費は遺産から精算する方法。遺言書に「葬儀費用等の諸経費は遺産から支払うこと」と記載しておく。ただし口座凍結後は払戻しに時間がかかるため受任者への事前の資金準備の方が確実

よくある疑問(Q&A)

Q. 「費用がかかるから終活の準備はしない」という選択はありですか?
お勧めできません。「準備しない」ことの代償の方が遥かに大きいからです。準備しないと①財産が望まない人・国庫に渡る②葬儀・納骨が自分の希望と全く異なる形で行われる③疎遠な親族が手続きに関わることになる④死後事務の費用が整理されずに無駄な支出が発生する等の問題が生じます。準備費用(最小限なら20〜30万円程度)は「自分の最期を自分でデザインするためのコスト」として考えてください。
Q. 生活保護を受給しています。終活の準備はできますか?
生活保護受給中でも遺言書の作成は可能です。ただし生活保護費から「終活費用」として積み立てることは困難な場合が多い。生活保護受給者が亡くなった場合は自治体が最低限の葬儀を実施することになりますが、「誰に財産(保護費の残金等)を渡すか」という点では遺言書が有効です。また生活保護受給者には遺留分の問題も複雑になるため、担当ケースワーカーおよび行政書士に早めに相談することをおすすめします。
Q. 終活の準備費用を「相続財産から差し引いて」もらうことはできますか?
はい、遺言書に記載することで対応できます。「葬儀費用・死後事務に要した費用は遺産から支払い、残余を〇〇に遺贈する」と遺言書に明記することで、受任者が遺産から費用を精算した後の残余を遺贈先に渡す設計が可能です。ただし口座凍結後の払戻しには相続手続きが必要なため時間がかかります。当面の費用として「受任者への事前の預託金(30〜50万円程度)」を準備しておいて、精算後に遺産から補填するという二段階の設計が最も現実的です。

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