おひとりさまが亡くなった後、誰が手続きをする?|死亡届・葬儀・役所・銀行までの流れ

この記事の執筆・監修者
譲原 敬の写真
ハートリンク行政書士法人 代表社員
行政書士 讓原 敬 (ゆずりはら ひろし)
日本行政書士会連合会所属(登録番号: 第13091504号)
東京都行政書士会 会員番号: 第14407号

相続手続き・遺言書作成・家族信託など、生前対策から死後事務まで累計5,200件以上の相談に対応。複雑な金融機関の手続きや、ご家族の状況に合わせたオーダーメイドの相続対策を得意とする。東京(中央区日本橋人形町)と横浜、千葉を拠点に、「ご家族の絆を守る円満な相続」の実現をサポートしている。

この記事の結論

おひとりさまが亡くなった後の手続きは、「誰が動くか」によって全く異なる結末になります。事前に死後事務委任契約を結んでいれば受任者(行政書士等)が死亡届・葬儀・役所・銀行・住居退去まで一括して動きます。何も準備していなければ疎遠な親族・最終的には行政(自治体)が対応することになり、希望とはかけ離れた最期になる可能性があります。この記事では「準備あり」と「準備なし」の2つのケースを比較しながら、死後の手続きの全体像と、今から何を準備すべきかを解説します。

「準備あり」vs「準備なし」:死後の流れの決定的な違い

おひとりさまが亡くなった後の展開は生前の準備の有無で180度変わります。

✅ 準備あり(死後事務委任契約を締結)
誰が動くか:受任者(行政書士等)が主体的に動く

・死亡の連絡を受けた受任者が即座に対応開始
・事前に決めた葬儀社・形式で葬儀が実施される
・役所・銀行・施設への手続きを受任者が代行
・遺言書の指示に従って財産が遺贈先に渡る
・希望通りの納骨先に納骨される

→ 本人の意思通りの最期が実現する
❌ 準備なし(何も契約していない)
誰が動くか:疎遠な親族・最後は行政が対応

・死亡の発見が遅れる(孤独死リスク)
・疎遠な親族が連絡を受けても対応が遅れる
・葬儀の形式・場所は親族の都合で決まる
・銀行・役所の手続きが長期間放置される
・財産は国庫へ帰属する可能性がある

→ 本人の意思は全く反映されない
💡 この記事でわかること:
おひとりさまの死後に起きることの全体像、準備あり・準備なしの場合の違い、死亡届から葬儀・役所・銀行・住居退去まで各手続きの担当者と流れ、行政対応(孤独死・引取り手なし)の現実、今から準備できる対策まで解説しています。

死亡直後〜24時間:遺体の発見から最初の手続き

おひとりさまの場合「誰が・いつ・どうやって死亡を発見するか」が最初の問題です。

📋 死亡の発見パターンと初動対応
病院・施設で
亡くなった場合
医師が死亡を確認・死亡診断書を作成する。施設が事前に登録されている緊急連絡先(死後事務委任の受任者等)に連絡する。遺体の引取り先を確認する
自宅で亡くなった場合
(死後事務委任あり)
見守り担当者が定期連絡で異変を察知して確認。または近隣・管理人が発見。受任者に連絡が入り受任者が対応を開始する
自宅で孤独死した場合
(準備なし)
発見が遅れる可能性がある。警察・救急が来る。警察が遺族を探す(戸籍・住民票等から)。疎遠な親族に連絡が入るが、対応できない場合は行政が介入する
孤独死の発見遅延は「近隣・社会への影響」も深刻です。
発見が遅れると遺体の状態・住居への影響(特殊清掃が必要になる)・近隣への迷惑等が深刻になります。見守り契約(月1〜2回の定期確認)を締結しておくことで、異変を早期に察知して孤独死の長期放置を防ぐことができます。

死亡届・火葬許可証:誰が・どこに提出するか

死亡後7日以内に「死亡届」を市区町村役場に提出しなければなりません(戸籍法86条)。

📋 死亡届の提出:おひとりさまの場合の対応
届出義務者 法律上の届出義務者は「同居者・親族・同居していない親族・家主等」(戸籍法87条)。おひとりさまの場合は法律上の義務者が明確でないケースがある
死後事務委任
契約がある場合
受任者(行政書士等)が「届出人」として提出できる場合がある(自治体によって対応が異なる)。多くの場合、葬儀社が代行して提出する。受任者が葬儀社に依頼して提出させる形が一般的
火葬許可証 死亡届提出と同時に「火葬許可証」が交付される。火葬・埋葬に必要な書類。葬儀社に渡して火葬を実施してもらう
準備なしの
場合
親族が見つからない場合、自治体の職員・社会福祉関係者等が届出を行う場合がある。手続きに時間がかかり、火葬まで遺体の保管が長引くことがある

葬儀・納骨:誰が手配して・どう実施されるか

葬儀・納骨はおひとりさまが生前に最も「希望を伝えておきたい」事項です。準備の有無で結果が大きく異なります。

死後事務委任契約がある場合:受任者が全て手配 事前に指定した葬儀社・葬儀の形式(家族葬・直葬・自然葬等)・参列者の範囲・費用上限に従って受任者が手配する。本人が「直葬(火葬のみ)で費用は30万円以内」と決めておけばその通り実施される
準備なしの場合:疎遠な親族・行政が決定 疎遠な親族が手配する場合、本人の希望(「家族葬で」「散骨したい」等)は反映されないことがある。親族が対応しない場合は自治体が直葬(最低限の火葬)を実施する
📋 納骨先の選択肢:事前に決めておくべき理由
永代供養墓 寺院・霊園が永代にわたって管理・供養する墓。後継者がいないおひとりさまに最も適した納骨形式の一つ。費用は20〜100万円程度(施設によって異なる)
散骨 遺骨を粉末にして海・山等に散布する。跡地や管理が不要。ただし実施する業者・場所・手続きを事前に決めておかないと死後に実現できない
樹木葬 樹木の下に遺骨を埋葬する形式。永代供養と組み合わせた形が多い。費用は10〜70万円程度
自治体による
無縁納骨
引取り手がなく費用が賄えない場合、自治体が公営墓地の無縁仏として合葬する。本人の希望は全く反映されない
「葬儀の生前予約+死後事務委任」で希望を100%実現する:
葬儀社との生前予約(葬儀の形式・費用の事前払い)と死後事務委任契約(受任者が葬儀社に連絡して実施させる)を組み合わせることで、自分が決めた葬儀を確実に実現できます。

役所の手続き:年金・健康保険・住民票の抹消

死亡後に必要な行政手続きは複数の窓口に分散していて、全て期限が定められています。

手続きの種類 期限 窓口・担当者
年金受給停止 国民年金:14日以内
厚生年金:10日以内
年金事務所または市区町村の国民年金担当。死後事務委任受任者または相続人が対応
健康保険
(国民健康保険)
資格喪失届
14日以内 市区町村の国保担当窓口。受任者または親族が届出。保険証を返納する
後期高齢者
医療保険
14日以内 市区町村の担当窓口
住民票の消除 死亡届提出後、
自動的に処理
死亡届の提出と連動して市区町村が処理する(別途手続き不要)
介護保険
資格喪失
14日以内 市区町村の介護保険担当。介護保険証を返納する
マイナンバー
カード返納
速やかに 市区町村の担当窓口または死亡届提出時に確認
運転免許証
返納
速やかに 警察署・運転免許センター
💡 死後事務委任契約があれば受任者が代行します:
これらの役所手続きは死後事務委任契約の委任事務として受任者が代行できます。おひとりさまの場合、相続人(疎遠な親族)がこれらを全て行うことは現実的でないことが多く、受任者が一括代行することで確実・迅速に手続きが完了します。

銀行・保険・証券:誰が・どうやって解約・払戻しするか

金融機関の相続手続きは「遺言書の有無」と「相続人の存在」によって対応が変わります。

📋 おひとりさまの金融手続き:パターン別の対応
遺言書あり
(遺贈先が決まっている)
遺言執行者(遺言書で指定)または受任者が遺言書を持参して金融機関に手続きを申請する。遺贈先(友人・NPO等)に財産が渡る
遺言書なし・
法定相続人あり
疎遠な親族(兄弟姉妹・甥姪等)が相続人として手続きをする。全員の協力が必要なため手続きに時間がかかる場合がある
遺言書なし・
相続人なし
家庭裁判所が「相続財産清算人」を選任して清算・手続きを行う。最終的に財産は国庫へ。手続きに半年〜1年以上かかることがある
⚠️ 金融機関の口座は「死亡を知った時点で凍結」されます。
銀行が被相続人の死亡を知ると口座が凍結され、遺言書や相続手続きが完了するまで払戻しができません。自動引落しも停止するため、公共料金・施設費用等の支払いが止まります。死後事務委任契約で受任者が速やかに手続きを進める体制が重要です。

住居の退去・遺品整理:賃貸・施設入居者の場合

おひとりさまが賃貸住宅・施設に入居していた場合、退去手続き・遺品整理・部屋の明渡しが必要になります。

  • 賃貸住宅の場合:死亡後も家賃が発生し続ける:退去通知・荷物搬出・鍵の返却が完了するまで家賃が発生する。速やかに対応しないと費用が膨らむ。死後事務委任の受任者が速やかに管理会社・大家に連絡して退去手続きを進める
  • 施設入居者の場合:入居費用の精算が必要:死亡後、施設との契約を解除して未払い費用の精算・荷物の引取りが必要。受任者が施設と連絡して対応する
  • 遺品整理:専門業者への委託:遺品整理業者に依頼して家財・衣類・書類等を整理・処分する。費用は部屋の広さにより異なるが10〜50万円程度が目安。死後事務委任に遺品整理を盛り込んでおくことで受任者が業者を手配する
  • 自宅が持ち家の場合:遺言書で遺贈先を指定しておく。管理・売却・国庫帰属の選択肢がある(別記事「おひとりさまの家・不動産は死後どうなる?」参照)
「特殊清掃」が必要になる場合のコスト:

孤独死で発見が遅れた場合、通常の遺品整理に加えて特殊清掃(臭気・汚染の除去)が必要になることがあります。費用は状況によって異なりますが20〜100万円程度かかる場合があります。大家・管理会社に多大な迷惑をかける可能性もあります。見守り契約で孤独死の早期発見を図ることが、経済的・社会的な損害を防ぐためにも重要です。

何も準備しなかった場合:行政が対応するケースの現実

死後事務委任契約も遺言書もなく・引取り手もいない場合、自治体(行政)が最終的に対応することになります。その現実を正確に把握しておくことが重要です。

📋 引取り手がない場合の行政対応の実態
葬儀・火葬 市区町村長が「墓地、埋葬等に関する法律9条」に基づいて最低限の直葬(火葬のみ)を実施する。葬儀の形式・場所等の希望は一切反映されない。費用は自治体が立て替えて後に遺産から回収
遺骨の扱い 遺骨は公営墓地の無縁仏として合葬される。「散骨したい」「特定のお寺に納骨したい」等の希望は実現しない
財産の扱い 家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立てが行われる(申立て人がいる場合)。手続きに時間がかかり、最終的に財産は国庫に帰属する
住居・遺品 自治体・大家が対応するが費用・手間・時間の負担が大家・近隣に及ぶ。賃貸の場合は大家が敷金を超える費用を負担するケースもある
「行政に任せればいい」は本人にとっても・周囲にとっても最悪の結末です。
行政の対応は「最低限の処置」であり、本人の希望・尊厳とはかけ離れた形になります。また大家・近隣・遠縁の親族等に多大な迷惑と費用負担をかけることになります。

今から準備できること:死後事務委任契約と遺言書の組み合わせ

死後の手続きを「自分の希望通りに・誰かに迷惑をかけずに」実現するために今から準備できることを整理します。

  • 死後事務委任契約を締結する:葬儀・納骨・役所手続き・銀行解約・住居退去・遺品整理等を行政書士等の専門家に委任する。詳細はシリーズ第2記事「おひとりさまの死後事務委任契約とは?」参照
  • 遺言書(公正証書遺言)を作成する:財産の行き先を決める。遺言執行者(死後事務委任の受任者と同一人物が望ましい)を指定する。詳細はシリーズ第1記事「おひとりさまに遺言書は必要?」参照
  • 葬儀社との生前予約をする:葬儀の形式・費用・連絡先を事前に決めて契約しておく。受任者が葬儀社に連絡するだけで実施できる体制を作る
  • 納骨先を決めておく:永代供養墓・散骨・樹木葬等の希望を決めて事前に手配・予約しておく
  • 見守り契約を締結する:孤独死の早期発見・認知症の察知のために定期的な見守りを依頼する
  • エンディングノートに全情報を記録する:財産の一覧・連絡してほしい人のリスト・各種アカウント情報等を記録して受任者が確認できる場所に保管する
「今日やること」は「行政書士に電話・メールすること」だけです:
死後事務委任契約・遺言書・見守り契約は全て行政書士が一括してサポートできます。一人で全部考えようとせずに、まず専門家に相談することから始めてください。ハートリンクグループでは初回相談をご利用いただけます。

よくある疑問(Q&A)

Q. 死後事務委任契約の受任者が「死亡の連絡を受けるタイミング」はどうなりますか?病院から連絡がいくのですか?
受任者が「緊急連絡先」として病院・施設に登録されていれば、病院・施設から直接連絡が入ります。契約時に「緊急連絡先として受任者の氏名・電話番号を登録する」ことを徹底しておくことが重要です。また自宅で亡くなった場合は「見守り契約」で異変を察知した受任者が確認・対応するという流れになります。「誰が死亡を受任者に知らせるか」という連絡ルートを事前に設計しておくことが死後事務委任の最重要ポイントです。
Q. 遠縁の親族(甥)がいますが、全く関わってほしくありません。死後事務委任契約と遺言書があれば親族を排除できますか?
死後の「手続き」は死後事務委任契約の受任者が担うため、親族が介入する余地を最小化できます。ただし法定相続人である甥には「相続権(法定相続分)」があります。遺言書で全財産を友人・団体等に遺贈する旨を明記することで財産が親族に渡ることを防げますが、甥には遺留分(法定相続分の原則として2分の1)はなく(兄弟姉妹・その代襲相続人には遺留分がない)、遺言書通りに遺贈を実現できます。遺言書・死後事務委任契約の二点セットで「財産も手続きも希望通り」を実現できます。
Q. 死後事務委任の受任者(行政書士)が私より先に亡くなってしまったらどうなりますか?
受任者が先に亡くなった場合、死後事務委任契約は終了します。このリスクに備えて「補充条項(受任者が亡くなった場合の代替後継者)」を契約に盛り込んでおくことが重要です。また個人の行政書士ではなく「行政書士法人(法人)」と契約することで、担当者が変わっても組織として継続されます。ハートリンクグループでは定期的な契約の見直し・連絡で状況変化に対応しています。5年に1度程度の契約内容の見直しを行い、受任者の状況確認も合わせて行うことをおすすめします。

📚 おひとりさま終活シリーズ(全15記事)

📞 ご相談はこちら

ハートリンクグループでは、
行政書士を中心に税理士などの専門家が連携し、
相続手続き、遺言書作成、成年後見、死後事務などについて
一人ひとりの状況に合わせた相談対応を行っています。

相続専門 ハートリンクグループ

【東京オフィス】 東京・人形町で相続相談先をお探しの方へ。相続手続き、遺言書作成、生前対策などに対応。人形町駅徒歩すぐ。中央区・日本橋エリアのご相談も承ります。
【横浜オフィス】 横浜・関内で相続相談先をお探しの方へ。相続、遺言、家族信託、任意後見などに対応。関内駅徒歩約3分。横浜市中区を中心にご相談を承ります。
【千葉オフィス】 千葉市・市川・船橋で相続相談先をお探しの方へ。相続手続き、遺言書作成、家族信託などに対応。千葉ニュータウン駅徒歩約5分。印西市・白井市・成田市・佐倉市など千葉県北部エリアのご相談も承ります。

☎ 0120-905-336

まずはお気軽にご連絡ください。

次へ
次へ

おひとりさまの家・不動産は死後どうなる?|空き家・売却・遺贈・国庫帰属の注意点